普段は敬遠されがちな毒きのこ。
実は、彩り豊かで森の生長を助ける魅力的な一面も多い存在です。

ぜひ散策を楽しむ中で毒きのこの姿・形・特徴をシン発見してみましょう。

おいらせ毒きのこ分布図
おいらせ毒きのこ図鑑
おいらせ毒きのこフォトギャラリー

「#毒きのこさんぽ」
「#奥入瀬渓流ホテル」「#星野リゾート」
見つけた毒きのこをInstagramに投稿しよう!

種 名 クサウラベニタケ
種小名 クサウラベニタケ
学 名 Entoloma rhodopolium

夏から秋にかけてブナやミズナラなどの広葉樹林内の地面から現れる毒きのこ。
ウラベニホテイシメジと見た目がそっくりで美味しそうに見える為、中毒例は全国でもトップクラスを誇ります。
傘の部分は乾くとシルクの様な光沢が現れ、その輝きによって「可食」であると惑わす魅惑のきのこ。
主な中毒症状は嘔吐・腹痛・下痢などの胃腸系。外見上のバリエーションが豊富でプロでも間違えてしまうことが多い、やっかいな毒キノコです。

種 名 テングタケ
種小名 テングタケ
学 名 Amanita pantherina

傘に付着した白いイボが豹柄に見えることから別名ヒョウタケとも呼ばれ、学名のPantherinaもヒョウを表しています。
毒の主成分はイボテン酸で胃腸系や中枢神経に強く働きかけます。イボテン酸は化学調味料の基であるグルタミン酸の10倍のうま味成分を含んでいるらしく、毒を持つけど美味しいという…やっかいな毒きのこです。興味本位で絶対に食べない様にしましょう。
奥入瀬渓流にはテングタケによく似た大型のイボテングタケも出ます。

種 名 ドクツルタケ
種小名 ドクツルタケ
学 名 Amanita virosa

日本の猛毒きのこ御三家として有名な毒きのこ。ヨーロッパでは昔から「死の天使」などと呼ばれ、1本食べれば、ほぼ死に至るという恐ろしい毒きのこです。
毒の主成分はアマトキシン類。症状は二段階に分かれ、最初にコレラの様な嘔吐・腹痛・下痢が生じ、その後は肝臓や腎臓などの内臓を破壊していきます。
猛毒きのこですが外見は妖艶な、しかしどこか聖性をも感じさせる美しい姿であり、多くのきのこファンを魅了しています。

種 名 ヒトヨタケ
種小名 ヒトヨタケ
学 名 Coprinopsis atramentaria

地上に現れた傘の部分が一晩でたちまち墨汁のような液状と化してしまうことから「一夜茸」と名付けられた毒きのこです。
幼菌は食べることができますが、お酒と一緒に摂取すると紅潮・発汗・頭痛・めまいなどの悪酔い症状が生じます。
毒の主成分であるコプリンという物質がアルコールを分解する酵素の作用を阻害するらしく、お酒とのマリアージュは最悪です。外見上は優美な姿をしており、幼菌の時はランプの様なかわいい姿です。

種 名 カエンタケ
種小名 カエンタケ
学 名 Podostroma cornu-damae

炎の様な独特な姿・形をしたきのこで、小さいながらも外見上はとてもインパクトがあるきのこです。
猛毒きのこのひとつとして有名で、致死率は生のきのこで何と3g。毒の主成分であるトリコセテン類は毒ガス兵器に用いられる成分と似ており、身体のあらゆる所を攻撃して臓器や脳にも大きなダメージを与えます。
2022年に石ヶ戸休憩所付近のミズナラの切株とその周辺から発生し、青森県では30年ぶりの発見となり話題となりました。

種 名 ヒナノヒガサ
種小名 ヒナノヒガサ
学 名 Rickenella fibula

歩道橋の木で作った欄干や倒木のコケのマットから発生するオレンジ色の小型のきのこです。 名前の「雛日傘」は小ささ、可愛らしさ、弱々しさを表しており、高さ2cm・傘幅1cm未満のはかなげな「日傘」です。
しかし可愛い姿とは裏腹に毒成分のシロシビン類を含み、大量に食べると幻覚や精神攪乱などを引き起こす、れっきとした毒きのこです。
このきのこはルーペで鑑賞するのがおすすめ。
コケとヒナノヒガサの相性は抜群です。

種 名 ドクベニタケ
種小名 ドクベニタケ
学 名 Russula emetica

紅い傘と白の柄のコントラストがなんとも美しい、人気の高い毒きのこです。
名前に毒がつきますが猛毒ではなく、吐き気や嘔吐、腹痛といった胃腸系の症状が現れます。
味はひどく苦いらしく、食べた人の気が知れません。
ドクベニタケは樹木と共生する菌根菌で、奥入瀬渓流ではブナやミズナラなどの広葉樹林の中でよく見かけます。
雨に濡れると紅色が薄くなってしまうので、観察は出て来たばかりの幼菌がおすすめです。

種 名 ツキヨタケ
種小名 ツキヨタケ
学 名 Omphalotus japonicus

夏から秋にかけてブナの倒木や枯立木にまとまって群生します。
名前は暗闇の中で傘の裏のひだ部分が緑白色に光ることに由来します。英名はMoonlight Mushroomと呼ばれており、仄かに青白く光る様子が洋の東西を問わず月光を想わせたのでしょう。
肉厚でいかにも美味しそうに見えるので全国的に誤食による中毒例が後を絶たない人気ぶり(?)。
特にシイタケやムキタケといった優秀な食菌と似ている為、全国で最も多い食中毒例を誇ります。

種 名 ニガクリタケ
種小名 ニガクリタケ
学 名 Hypholoma fasciculare

倒木や切株にまとまって群生する小型のきのこ。奥入瀬渓流では春から晩秋まで、かなり長い期間見られます。
クリタケという美味しいきのこに似ますが、本種の傘と柄の色は硫黄色で肉は黄色。
味はひどく苦いため佃煮等の調理をしなければ、きっと吐き出してしまうでしょう。
過去に死亡例もある強い毒性を持っているので、間違っても食べないように気を付けてください。時には大きさや色味の違うものもあるので要注意です。

種 名 ドクササコ
種小名 ドクササコ
学 名 Paralepistopsis acromelalga

2021年10月に奥入瀬渓流内で見つかり、青森県内初確認となった毒きのこ。
傘は漏斗型に窪み色は地味な茶色をしており、ひだは黄白色のクリーム色です。
このきのこは胃腸系や神経系に作用する毒成分ではなく、食べてから四肢の末端がパンパンに腫れあがり、焼け火箸を差し込んだような激痛が続くという恐怖の毒きのこです。
その痛みはなんと約一か月も続くらしく、間違っても口にはしたくない要注意のきのこです。

種 名 タマゴタケモドキ
種小名 タマゴタケモドキ
学 名 Amanita subjunquillea

一風変わったネーミングは「タマゴタケに似て非なるもの」という意味合いです。
外見上はどちらかというとタマゴタケよりもキタマゴタケ(どちらも食菌)に似ていますが、本種は猛毒きのこであるドクツルタケと同様に強い毒成分を持ちます。
湿っている時には弱い粘性があり美味しそうに見えますが、絶対に食べてはいけない毒きのこ。
識別ポイントはひだの色が白いこと、湿った時の粘性、柄の上部のつばが脱落しやすい等です。

種 名 ハナホウキタケ
種小名 ハナホウキタケ
学 名 Ramaria formosa

サンゴのような形状をしており、色は橙紅色から淡桃色、傷つくと赤褐色に変わる美しいきのこです。学名の「Ramaria formosa」は”美しい枝”という意味。古の時代からきのこに美を感じている人は多かったようです。
ハナホウキタケは外見上、可食とされるホウキタケにそっくりですが、このグループは色も形もさまざまタイプがあるので識別は一筋縄ではいきません。
毒性は嘔吐や下痢や腹痛といった胃腸系の症状がメインのようです。

種 名 カワラタケ
種小名 カワラタケ
学 名 Trametes versicolor

瓦を敷き詰めた様に生えることからカワラタケと名前が付いており、落葉樹、広葉樹を問わず世界中に分布しています。
年々成長して大きくなり触感は強靭な革質、食感は固くてとても食べられたものではありません。菌糸体からはクレスチンという成分を抽出し、抗腫瘍剤として実際に臨床使用がされているので、身体の為に食べようと思う人がいるかもしれませんが、細胞を壊してしまう毒成分も含まれているので注意が必要です。

種 名 キララタケ
種小名 キララタケ
学 名 Coprinellus micaceus

新鮮な傘の表面に付いた鱗片が、光を受けるとキラキラ輝く鉱物の「雲母」に似ていることから「雲母茸」と名前が付いています。「きらら」はその古称とされます。
腐朽した倒木、立木の幹や樹洞、根元などからまとまった数で群生し、可愛らしい姿は絶好の被写体となります。
過去には可食とされていましたが、中枢神経にはたらきかける毒成分が見つかり、ヒトヨタケ同様にアルコールと一緒に摂取すると酷い悪酔いを起こします。