開業前の30日間、奈良監獄にゆかりのある30組が日替わりで登場する特別企画「美しき監獄と30人」。
第27回目は、奈良監獄ミュージアムのC棟で作品が展示されているアーティストの三田村 光土里さんです。
第27回目は、奈良監獄ミュージアムのC棟で作品が展示されているアーティストの三田村 光土里さんです。
残されていた少年刑務所時代の写真を作品に用いました
古い写真や家具、そこに重ねた個人的な記憶をモチーフに空間を作り、その場を訪れた人が何らかのノスタルジーや親和性を感じる。私が手掛けてきた作品のこうしたひとつの手法を、奈良監獄で展開したらどのような空間が生まれるでしょうか? C棟での展示の話をいただいて現地を訪れたとき、場所の持つ独特の空気感に圧倒されました。そこに少年刑務所時代の写真がたくさん残っていると知って、昭和の少年刑務所の写真に、私の生家に遺る古い家具や家族写真を組み合わせて、記憶の残像が現れるような部屋をつくろうと思いました。刑務所で生活した人々の時間と、同じ時代を生きてきた私の家族の時間。それらの記憶が重なりながら、過去と現在、他者と自己、内と外の境界が曖昧に溶け合っていきます。
かつて少年刑務所で過ごした人々も、出会いと別れを繰り返し、それぞれの道へ歩み出していったでしょう。どんな場所や境遇にも等しく時間は流れ、過ぎない時間はありません。この空間で、止めどない時間の、一瞬の輝きに思いを巡らせることで、遠い存在に感じられていた刑務所が、少しだけ身近に思えてくるかもしれません。
PROFILE

三田村光土里さん
アーティスト
自身の記憶をベースに、写真、映像、家具、日用品などさまざまな素材を組み合わせた空間が、やがてノスタルジー伴う普遍的な記憶の空間へと転換していくインスタレーションで知られる三田村光土里さん。これまでも、あいちトリエンナーレ2016や、瀬戸内国際芸術祭2022をはじめ、世界各地で作品を発表してきた。奈良監獄ミュージアムでは、C棟で「過ぎてゆく部屋」と題した作品が展示されている。
Instagramでも「美しき監獄と30人」を公開中。ぜひこちらもご覧ください。





