開館前の30日間、奈良監獄にゆかりのある30組が日替わりで登場する特別企画「美しき監獄と30人」。
第16回目は、奈良監獄ミュージアムのランドスケープデザインを担当した長谷川浩己さんです。
第16回目は、奈良監獄ミュージアムのランドスケープデザインを担当した長谷川浩己さんです。
茫漠としたバッファゾーンとのコントラストのような環境デザインを考えました
監獄とは「内の内」であり、塀の外は「外の外」。そして私たちが担当するランドスケープデザインは「内の外」。「監獄」という特殊な存在と、その個性的な建造物にふさわしい景観デザインとは何かを考えて辿り着いたキーワードが、この3つでした。監獄の「内の外」というのは、もともと茫漠としたバッファゾーンのような空間で、そこに塀の外の外部環境である「外の外」が、物理的にも感覚的にも少し影響を及ぼしている。受刑者にとっては、そんな空間だったのでは、と想像しました。ですので、綺麗に整備して花壇のようなものを作るのではなく、あまり手を入れず、それでいながら、塀の外を象徴的に感じさせる断片のような、具体的に言えば小さな芝生の帯などをところどころに置く、という設計にしました。ランドスケープデザインは、普通はその場所の魅力をどのように引き出すかを考えますが、奈良監獄ミュージアムの場合は、訪れた人がどれだけ監獄という存在を身近に感じることができるか、ということを優先しました。そういった意味では、普通とは異なるアプローチの個性的なプロジェクトでした。
PROFILE

長谷川浩己さん
オンサイト計画設計事務所
「オンサイト計画設計事務所」は、ランドスケープデザインを専門とする会社で、美術館や図書館などの公共施設や商業施設周辺の空間デザイン、公園の計画・設計などを専門とする。これまでに、「星のや軽井沢」をはじめ「星のや竹富島」「星のや沖縄」など、「星のや」や「界」などのランドスケープデザインも手がける。長谷川さんは、武蔵野美術大学の教授として教鞭を執る一方で、『風景をさわる ランドスケープデザインの思考法』をはじめ、著書も多数。
Instagramでも「美しき監獄と30人」を公開中。ぜひこちらもご覧ください。





