みちくさの達人
パンの激戦区・京都でまず訪ねたい、実力派ベーカリー5選

和食好きのイメージがある京都ですが、実は地元の人はパンも大好き。消費量調査でも毎回ベスト3に入るほどです。当然ベーカリーの数も多く、街の至るところでおいしいパンを食べることができます。珠玉の名店が揃う中から、まず訪ねたい5軒をご紹介します。100年続く名店から気鋭の実力派まで、パンをテーマに旅をしてみるのもおすすめです。

営業は金土日のみ。料理人が愛用するパンを旅のお土産に

左上から「山食」430円、「カンパーニュ」1,840円(ハーフと1/4もあり)、「バタール」440円、「五穀パン」300円
左上から「山食」430円、「カンパーニュ」1,840円(ハーフと1/4もあり)、「バタール」440円、「五穀パン」300円

有名レストランやホテルへの卸売を長年手がけ、数々のシェフの指名を受けてきた店主が2018年にオープンしたお店です。粉選びから配合、発酵まで、セオリーに縛られず探求を重ねて生まれたパンは、生地のおいしさが格別。料理やワインを存分に引き立てます。自家製レーズン酵母で作る「カンパーニュ」の旨みや心地よい弾力感、国産小麦「はるゆたか」を使用した「山食」の香りや歯切れのよさ、無農薬全粒粉で作る風味豊かな「クロワッサン」など、どれも噛むほどに深い味わいに満たされます。

こだわり抜いたパンは約15種類。旨みや香りを堪能して

パンづくりに情熱を注ぐご主人。シンプルな店構えにも彼の哲学が反映されている
パンづくりに情熱を注ぐご主人。シンプルな店構えにも彼の哲学が反映されている

「店を構えたことで、卸売りではできなかった新しい挑戦ができるようになりました。お客さんの感想を直に聞けるのもありがたい。だから、うちのパンはまだまだ進化していくと思います」と真っ直ぐな瞳で語るご主人。
店があるのは、街中から離れた閑静な北山通。金土日限定の営業ですが、あの「吉田パン」を直接買えるとあって遠方からも多くの人がかけつけます。おすすめの食べ方、保存方法を記したメモも添えてくれる心づかいもうれしい。細部にまでパンへの愛情があふれています。

みちくさの達人コメント
内容は日々変わりますが、カレーパンなどのおやつパンも数種並びます。生地のおいしさを引き立てるよう具材も工夫されていて、目から鱗の味です。定番パンを詰め合わせた通販もあります。詳細はInstagramで確認を。
吉田パン工房
  • URLhttps://www.instagram.com/yoshidapan.kyoto/
  • 住所京都府京都市左京区松ヶ崎雲路町2-2アルカディア松ヶ崎1F MAP
  • アクセス京都市営地下鉄烏丸線 松ヶ崎駅から徒歩約8分
  • バスアクセス京都市バス「松ヶ崎大黒天」下車徒歩約2分
  • 営業時間8:30〜14:00(売り切れ次第閉店)
  • 定休日月〜木曜、祝日
  • TEL075-712-7233
  • 駐車場なし

本場フランス仕込みの味を、いつでも気軽に

ランチ限定の「半熟卵と燻製ベーコンのサラダ(パン付き)」とコーヒーのセット950円、単品パンの盛り合わせ
ランチ限定の「半熟卵と燻製ベーコンのサラダ(パン付き)」とコーヒーのセット950円、単品パンの盛り合わせ

地下鉄烏丸御池駅から少し西へ。のんびりとした空気が流れる姉小路通にある「Année」は、フランスで修業された店主によるベーカリー。徒歩10分ほどの距離にある人気カフェ「コチ」の姉妹店で、パンはもちろんイートインの手料理も評判です。ランチは5種類から選ぶことができ、旬の野菜で仕立てるスープやキッシュ、具だくさんのサラダのセットのパンはおかわり自由。バゲットやブリオッシュ、全粒粉のパンなど、いろんな味を好きなだけ堪能できます。

飾らない心地よさのある店内は、旅の休憩にもぴったり

セルフビルドで改装した店内を、古びた木の床やヴィンテージ家具が彩る。外には緑いっぱいのテラス席も
セルフビルドで改装した店内を、古びた木の床やヴィンテージ家具が彩る。外には緑いっぱいのテラス席も

本場仕込みのパンの中でも、国産小麦を使い、48時間の低温長時間熟成で焼き上げる「バゲット・トラディショナル」はぜひ試してほしい逸品。小麦の栄養や風味が凝縮されていて、食べるほどに虜になる味わいです。
「フランスで実感したのは、パンは気取った存在じゃなくて、子どもがおこづかいで買いに来るような日常の食事。だから気軽な店の雰囲気やメロンパンのような子どもが好きな菓子パンも大切にしていきたい」と笑顔で語るご主人。家族連れの休憩や、おやつ探しにもおすすめです。

みちくさの達人コメント
外はサクサク&中はしっとりとコクがあるクロワッサン、タルトや季節のフルーツサンドも人気。夜21時閉店なので、夜食や翌朝の朝食選びでもお役立ちのお店です。
Année(アネ)

ワインや食事に合う絶品パンで、おうちごはんをランクアップ

左上から「赤ワインのパン」380円、「ベーコンエピ」280円、「カヌレ ショコラ」300円、「ブルーチーズとはちみつのパン」200円など
左上から「赤ワインのパン」380円、「ベーコンエピ」280円、「カヌレ ショコラ」300円、「ブルーチーズとはちみつのパン」200円など

飲食店やオフィスが集まる室町通にある「HANAKAGO」は、料理人やソムリエからの信頼が篤い店。東京の名門フレンチやフランスでパティシエとして経験を積んだ店主が、食事に合うハードパンを中心に、ブルーチーズやラグーなどの食材を組み合わせ、ワインにも合うパンを手がけています。
注目は水の代わりに赤ワインで仕込み、イチジクやナッツを練り込んだ「赤ワインのパン」。ウォッシュタイプのチーズや鴨肉を合わせれば最高のごちそうに。どのパンもペアリング次第で多彩な味わいを楽しめます。

献立に合わせて選びたい、4種類の個性派バゲット

店名の「HANAKAGO」は店主の名字からつけられたもの。店内の壁に大きく描かれた桜が印象的です
店名の「HANAKAGO」は店主の名字からつけられたもの。店内の壁に大きく描かれた桜が印象的です

バゲットは4種類あり、オーソドックスなタイプから、全粒粉100%で風味豊かな「バゲット トラディショネル」、北海道産小麦で作るモチモチの「もっちりバタール」、フランス産の小麦と炭酸水で作る「フランセーズ」とどれも個性豊か。店主がフランスでよく作っていたという「クロワッサン」は少し軽めの食感で、いくつでも食べたくなる味です。「ワイン好きが高じて」と、フランス産のワインやシードルをお値打ち価格で販売しているのもこの店ならでは。パンとの相性も抜群です。

みちくさの達人コメント
パティシエ出身の店主が手がけるカヌレやガトーバスク、アルザス地方の発酵菓子など、フランス伝統の焼菓子のクオリティも高いです。お土産やおもたせにおすすめです。
HANAKAGO

有機小麦を自家製粉。挽き立てのおいしさを味わいたい

酵母をできるだけ減らし、低温長時間熟成させた「バゲット・ルージュ」280円、「フリュイ・ルヴァン」290円など
酵母をできるだけ減らし、低温長時間熟成させた「バゲット・ルージュ」280円、「フリュイ・ルヴァン」290円など

下鴨神社のご近所に店を構える「ナカガワ小麦店」。ご主人は「派手さはなくとも、日々の糧になるようなおいしい食事パンを作りたい」と小麦から真摯にこだわり、有機玄麦をヨーロッパ製の石臼で毎日、自家製粉されています。
全粒粉100%を天然酵母で発酵させた「パン・コンプレ」は、挽きたての小麦のおいしさが際立つ看板商品のひとつ。玄麦を丸ごと挽くことで、食物繊維やミネラルがたっぷりつまった濃い味わいに。香りも豊かで、口中にじんわりと旨みが広がります。

人気の「トースト・モンターニュ」は、感動のもちふわ食感

「トースト・モンターニュ」1本 650円、1/2本 325円。絵本に出てきそうな、こんもりとした山型も愛らしい
「トースト・モンターニュ」1本 650円、1/2本 325円。絵本に出てきそうな、こんもりとした山型も愛らしい

山型食パンの「トースト・モンターニュ」もリピーターが多い一品です。パリッとした見た目からは想像しづらいですが、中は驚くほどに柔らかく、もっちり&ふわふわ。有機小麦100%を使って極限まで加水し、長時間発酵させることが独特の食感の秘密だそう。そのまま食べても十分おいしいですが、トーストすると外はサックリ、中はしっとりという最高のバランスを楽しめます。一日に数回焼き上がりますが、売り切れ必至なので予約がおすすめ。パンはすべて、営業日の8時30分から電話予約が可能です。

みちくさの達人コメント
木の温もりがあふれる店内は、いつも焼き立ての香りでいっぱい。約20種類のラインナップは2011年の開店時からほとんど変わりません。一つ一つのパンを極めようとするご主人の姿勢が表れているのでしょう。
ナカガワ小麦店
  • URLhttp://nakagawakomugiten.com
  • 住所京都府京都市左京区下鴨松ノ木町52-1 MAP
  • アクセス京都市バス「下鴨神社前」下車徒歩約1分
  • 営業時間10:00~16:00(売り切れ次第終了)
  • 定休日月・火・水曜
  • TEL075-702-6672
  • 駐車場なし

創業は大正時代。西陣で愛され続けてきた老舗ベーカリー

大納言小豆の粒あんと生クリーム入りの「冷やし生あんぱん」190円、「カレーパン」180円、「焼きそばロール」300円
大納言小豆の粒あんと生クリーム入りの「冷やし生あんぱん」190円、「カレーパン」180円、「焼きそばロール」300円

「大正製パン所」は1919年(大正8年)創業、京都で2番目に古いベーカリー。千本今出川の交差点近く、初めて訪ねても懐かしい気持ちになるレトロな看板や店構えが目印です。
三代目ご夫婦の信条は、低温・長時間発酵で、小麦本来の香りや甘みを活かしたパンづくり。食パンやバゲットのほか、昔ながらのお惣菜パンや菓子パンも充実しています。一番人気のカレーパンは、スパイスの効いた手作りルーがぎっしり。揚げる前に一度焼いているため、いつでもサクサク&カリカリの食感を楽しめます。

手軽なおやつパンもたくさん。手書きポップにも和みます

揚げパンやデニッシュ、サンドイッチなど種類も豊富。近所の子どもがおつかいにやって来るのも日常の風景
揚げパンやデニッシュ、サンドイッチなど種類も豊富。近所の子どもがおつかいにやって来るのも日常の風景

ひんやりデザート感覚で楽しめる「冷やし生あんパン」「冷やしWクリームパン」も名物です。考案されたのは店を切り盛りする三代目の奥さま。いつでも温かく迎えてくれる彼女を慕って通う常連さん、親子三世代のファンも多いとか。
大正製パン所がある西陣エリアは、西陣織を中心とする織物の街。生産が盛んだった時代は工場にも配達に行っていたそうで、職人さんにもお店のファンがたくさん。ハイカラ好きな京都の人たちが100年間愛し続けてきたパンを、ぜひ味わってみてください。

みちくさの達人コメント
学問の神を祀る北野天満宮が近いことから、毎年受験シーズン限定で絵馬の形をした「合格パン」を販売しています。事前予約をすると、チョコレートで名前やオリジナルメッセージを書いてくれます。
大正製パン所
  • URLhttps://taishoseipan.wixsite.com/info
  • 住所京都府京都市上京区今出川通千本東入ル般舟院前町136 MAP
  • バスアクセス京都市バス「千本今出川」下車徒歩約1分
  • 営業時間8:30〜18:00
  • 定休日日曜・月曜・祝日
  • TEL075-441-3888
  • 駐車場なし
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