「別府八湯」の秘湯5選。星野リゾートの温泉マニアが、本当は教えたくない穴場をご紹介

日本一の湧出量と源泉数を誇る大分県別府市。この街を象徴するのが、8つの異なる温泉地からなる「別府八湯(べっぷはっとう)」です。 別府八湯には、観光ガイドには載らない、地元の人々の生活と温泉愛に育まれてきたディープな秘湯があります。

当記事では、そんな別府を愛してやまない星野リゾートの温泉マニア2人が、100カ所以上の温泉の中から厳選した秘湯5選をご紹介。温泉を知り尽くしたマニアならではの視点で、別府八湯の知られざる魅力をお届けします。

※本記事は、YouTubeチャンネル「旅からぼたもち by 星野リゾート」の動画をもとに編集しています。

 

「本当は教えたくないです!」と笑顔で語る、界 由布院の伊藤絵里香さん(左)と界 別府の廣岡太郎さん(右)
「本当は教えたくないです!」と笑顔で語る、界 由布院の伊藤絵里香さん(左)と界 別府の廣岡太郎さん(右)

今回、別府八湯の秘湯を案内してくれたのは、星野リゾートの温泉旅館「界」のスタッフの廣岡さんと伊藤さん。お二人は、別府八湯にある約150もの温泉を巡り、別府八湯温泉道の「温泉名人」タイトルを取得するほどの生粋の温泉マニアです。別府の温泉を知り尽くした二人が自信を持って推す、とっておきの秘湯をご案内します。

別府八湯とは?

(地図部分)出典:画像 ©2026 Google, 地図データ ©2026 日本
(地図部分)出典:画像 ©2026 Google, 地図データ ©2026 日本

別府八湯とは、別府市内にある8つの温泉地(別府・堀田・観海寺・浜脇・亀川・柴石・鉄輪・明礬)の総称。

それぞれ街の雰囲気や泉質が大きく異なるのが特徴です。観光客で賑わう華やかな温泉街から、湯けむりが立ち込める風情ある景色、そして地元の人々の生活に密着したディープな共同浴場まで、地域ごとに多種多様な温泉文化が根付いています。

別府の温泉文化に欠かせない「ジモ泉」

別府市には100カ所以上もの「共同浴場」が点在しており、地元の人々が日常的に利用する「地元温泉」を略して「ジモ泉」という愛称で呼ばれています。多くの施設の入浴料は100〜300円程度とリーズナブル。浴槽と脱衣所が一体となった造りで、シャワーがない施設も少なくありません。

温泉の湧出量が多いため、ほとんどの施設で43℃以上の熱い源泉かけ流しが基本。お湯が熱くて加水したい時には、周りの入浴客に「お水を入れてもいいですか?」と一声掛けるのが大切なマナーです。別府市民の日常の暮らしに根付いた、独自の温泉文化を体験できるのもジモ泉の魅力です。

住職の思いから生まれた、手作り温泉

平安時代から続く「長泉寺」の境内には、なんと手作りの温泉があります。1970年代に 近隣の共同浴場がなくなるという話が出た際、「地域の人が入れるお風呂を残したい」と当時の住職が自ら手作りで温泉を設けたという、地元愛に溢れたルーツがあります。

境内に入るとすぐ左手にあるのが「薬師湯」。空いていれば入浴可能ですが、まずはお寺のインターホンを押して挨拶をし、入浴料の代わりとしてお賽銭を納めるのがルールです。

みちくさの達人

入浴料はお賽銭形式のため決まった金額はありませんが、別府エリアのジモ泉の平均的な入浴料である200円を目安とするといいですよ。

次の方へ繋ぐ「思いやりのバトン」

源泉はすぐ上にある「龍巻地獄」から引いており、さっぱりとした酸性泉を楽しむことができます。源泉は約105℃と高温なため、冷ました温泉を浴槽に加えて温度調節をします。そこで行われているのが、次に入浴する人のために桶に温泉を汲んで冷まして帰る「思いやりのバトン」です。地元の人々によって受け継がれるこの作法によって、水で薄めることなく、源泉本来の湯を堪能できます。

そして、浴場には木製の仏様が安置されているのも薬師湯らしい魅力。仏様に見守られながら湯浴みをするという、お寺ならではの趣深い温泉体験も味わえます。

みちくさの達人

共同浴場だからこそ、みんなで気持ちよい温度の温泉を楽しもうという思いやりの精神が素晴らしいです。私も利用時には桶にたっぷりお湯を溜めて帰ります。別府の皆様から、いつも大切なことをたくさん教わっています。

長泉寺 薬師湯
  • 住所大分県別府市野田4-2 MAP
  • バスアクセス「血の池地獄前」バス亭下車、徒歩約1分
  • 営業時間10:00〜16:00
  • 定休日不定休
  • 入場料お賽銭(玄関にて署名が必要)
  • TEL0977-66-4013
  • 駐車場5台
  • 温泉酸性泉・浴槽がひとつのため貸切制
  • メモインターホンでの挨拶必須、次の方のためにお湯を溜めるルールあり、水道・シャワーなし

開放感とレトロ可愛い雰囲気が魅力

亀川エリアにある「四の湯(しのゆ)温泉」は、温泉マニアの2人が「大好きなジモ泉」として口を揃えておすすめする共同浴場です。半地下型の浴場で天井が高く、開放感あふれる造りが特徴です。可愛らしい小判型の浴槽は「あつ湯」と「ぬる湯」に分かれており、レトロな雰囲気の中で、別府の日常に溶け込むような特別な温泉体験を味わうことができます。

みちくさの達人

大好きなジモ泉です!泉質は単純温泉ですが、塩化物が入っているので少し塩味を感じます。肌に優しい弱アルカリ性のお湯です。

譲り合いながら楽しむ、ジモ泉の入浴スタイル

ジモ泉ならではの作法として、体を洗うための水道やシャワーがないため、浴槽の温泉を洗面器で直接すくい、浴槽の周りで掛け湯をしたり体を洗ったりします。互いに場所を譲り合いながら、地元の方との温かいコミュニケーションを楽しむことができます。飾らない裸の付き合いを通じて、別府のローカルな空気を肌で感じられる魅力的なスポットです。

みちくさの達人

ちょっとディープな雰囲気もあるんですが、地元の常連客の方もすごく優しいので、ジモ泉デビューしたい方にぜひおすすめしたい温泉です。

四の湯温泉
  • 住所大分県別府市亀川四の湯町20-4 MAP
  • バスアクセス亀川駅下車 徒歩約13分、「 四の湯」バス亭下車 徒歩約2分
  • 営業時間7:00〜10:30(最終受付10:15)、14:30〜22:00(最終受付21:45)
  • 定休日毎月5・15・25日
  • 入場料200円
  • 駐車場5台
  • 温泉単純温泉(塩分を含むため少し塩味がある)
  • メモ水道・シャワーなし

喫茶店の奥に潜む、温泉レジェンドの自宅風呂

浜脇エリアの住宅街の奥深く、地図アプリを使わなければたどり着くのが難しい、秘密基地のような温泉が「茶房 たかさき」です。ここは、喫茶店でお茶や食事をするとご主人の自宅の温泉に入れるという、ちょっと変わったシステム。ご主人の高崎さんは、約150の温泉を訪れ、「九州八十八湯めぐり」を制覇した「九州温泉道 泉人」の第24代であり、別府温泉界のレジェンドです。

温泉は、別府市が管理する「雲泉寺源泉」をパイプで引き込んでおり、良質なお湯を楽しめます。泉質は塩化物含有の単純温泉で、肌当たりの優しい中性のさらりとした湯が特徴です。

みちくさの達人

まさに人の家にお邪魔するようなワクワク感があります!温泉のプロである大先輩のレジェンドが営む夢のような場所なんです。

気遣いならぬ「湯遣い」が光る、究極の100%源泉

こちらの温泉の魅力は、高崎さんの源泉へのこだわりにもあります。お湯を水で薄めることなく、本来の温泉成分を生かしたいという思いから、季節に合わせてお湯の量をこまめに調整。日々の細やかな「湯遣い」によって、加水なしの「100%源泉かけ流し」で適温を保ち続けています。

さらに、浴槽にもこだわりがあります。深さの異なる浴槽が2つ並び、深い浴槽から溢れ出たお湯が、浅い浴槽に流れて自然とぬるくなる造りに。小さな子どもでも無理なく入れる優しい配慮がなされています。マニアックなジモ泉ながら、初めての方でも訪れやすい一湯です。

みちくさの達人

温度計での管理だけではなく、源泉の入り具合をこまめに調整するこだわりがすごくて、まさに『気遣いならぬ、湯遣い』を感じられます!高崎さんの温泉を楽しんでほしいという優しい気持ちに触れられる最高のお湯です。

茶房 たかさきの湯
  • 住所大分県別府市朝見1-2-11 MAP
  • バスアクセス別府駅から徒歩約15分、「御幸橋」バス亭から徒歩約5分
  • 営業時間10:00〜15:30(15:00L.O.)
  • 定休日火・水・木曜、不定休あり
  • 入場料喫茶利用で入浴可能
  • TEL0977-23-0592
  • 駐車場5台
  • 温泉単純温泉・100%源泉かけ流し
  • メモ水道・シャワーなし

個人開発の施設で味わう、極上の美肌の湯

明礬(みょうばん)エリアの山あいに佇む「奥みょうばん山荘」は、個人の方が開発した施設。温泉小屋の中には3つの貸切風呂があり、受付でお好みの部屋を選ぶシステムです。露天風呂と室内風呂がセットになった広いお部屋もあり、プライベートな空間を存分に満喫できます。湯の花が舞う香りの良い単純硫黄温泉は、シミやハリに効果が期待できる美肌の湯として重宝されており、お肌のケアをしたい方にぴったりです。

みちくさの達人

温泉好きの方がご自身で掘った後、『みんなにも良さを伝えたい』と開放してくださっています。私は息子と一緒に入って、プライベート空間をどっぷり楽しんでいます!

1時間600円で独り占めできる、贅沢な温泉時間

一般的な貸切温泉が1,500円〜2,000円ほどする中で、こちらはなんと1時間一人600円で利用できます。また、周りには民家も少なく自然に囲まれた静かな環境なのも魅力。夜には美しい星空を眺めながら、美肌の湯を独り占めできます。誰にも邪魔されず、ひとりだけの贅沢で癒やされるおこもり時間を過ごしたい方に、ぜひおすすめしたいハイコスパな温泉です。

みちくさの達人

九州ならではの貸切温泉文化を感じられて、誰にも気兼ねすることなく自分のペースでリフレッシュできるのが魅力です。

奥みょうばん山荘
  • 住所大分県別府市湯山1組 MAP
  • バスアクセス「湯山」バス亭下車、徒歩約13分
  • 営業時間10:00〜受付20:00まで ※夏季時間変更あり
  • 定休日火曜日※祝日・繁忙期は営業、ほか不定休あり
  • 入場料600円(1時間1名あたり)
  • TEL0977-67-2229
  • 駐車場10台
  • 温泉単純硫黄温泉、貸切(露天風呂・室内風呂)
  • メモ水道・シャワーなし、小学生未満は利用不可

老舗の遊園地に隠された意外な名湯

観海寺エリアにある「別府ケーブルラクテンチ」は、1929年創業のレトロな老舗遊園地です。ケーブルカーに乗って急傾斜を登っていくワクワク感や、名物の「あひるの競走」など、童心に返るような楽しみがいっぱいです。

そんな遊園地の奥深くに、本格的な名湯がひっそりと潜んでいます。遊園地でたっぷり遊んで疲れた体を癒すのに最適な、意外性にあふれるディープな温泉スポットです。別府ケーブルラクテンチ入園者であれば無料で入浴できます。タオルは持参が基本ですが、忘れてもオリジナルタオルが購入できます。

みちくさの達人

急斜面のケーブルカーには大人の私たちも完全に童心に返ってしまいます。温泉に入るためだけに遊園地に来るというのも、ディープで贅沢な楽しみ方ですよね。

別府湾と高崎山を一望する、湧水加水のさっぱり湯

男湯からは、別府湾や猿山で有名な高崎山が一望できる大パノラマが広がります。晴れた日には海と空をくっきりと見渡せる、まさに「絶景の湯」です。泉質は観海寺地域の源泉を引く弱アルカリ性のナトリウム塩化物泉。源泉はすぐそばにあり、加水には湧水を使用しているため、非常にさっぱりとした気持ちの良いお湯を楽しめます。

通常は16時までの営業ですが、年に数回は夜間営業も実施。夜景を眺めながらの入浴は格別です。

みちくさの達人

桜の時期の夜間営業の時には、夜景と夜桜を眺めながら温泉に入り、湯上がりにビールを飲みたくなりますね。 帰りのケーブルカーの最終時間にはくれぐれもご注意ください。

別府ケーブルラクテンチ 絶景の湯
  • 住所大分県別府市乙原2組
  • バスアクセス「流川12丁目」バス亭下車、徒歩約12分
  • 営業時間9:30~16:00(最終受付15:00)
  • 定休日火曜 ※祝日の場合営業、翌日休み
  • 入場料1,300円(別府ケーブルラクテンチ入園料) ※入園者であれば無料
  • TEL0977-85-8888
  • 駐車場700台(300円)
  • 温泉ナトリウム塩化物泉、湧水による加水あり
  • メモ帰りのケーブルカーの時間に注意

神聖なお寺の温泉から、温かいコミュニケーションが生まれるジモ泉、レジェンドがこだわる極上のかけ流し、コスパ最強の貸切風呂、そして遊園地の絶景湯まで、別府の秘湯5選をご紹介しました。別府八湯には、観光ガイドだけではたどり着けない奥深い世界が広がっています。

別府を訪れた際は、地元の方々の温泉への愛やマナーをリスペクトしながら、ぜひこの個性豊かな名湯巡りを楽しんでみてください。きっと、別府という街がもっと好きになる、特別な温泉に出合えるはずです。

今回ご紹介した秘湯の雰囲気や、温泉マニア二人の熱いトークは、YouTubeチャンネル「旅からぼたもち」でも詳しくご紹介しています。動画ならではの臨場感とともに、ぜひチェックしてみてください!

※掲載の内容は、記事更新日時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。