【鉄道旅をしてみよう!】特急「やくも」で出雲市から松江へ。松江城や足立美術館をめぐる松江ひとり旅
こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。
出雲地方には出雲大社はもちろん、ドラマで話題の松江の街や、美しい庭園など、実に様々な観光名所があります。
寝台特急「サンライズ」で到着した出雲市から、今回は新型となった特急「やくも」で松江へ。松江は何度か訪れている場所ですが、季節によって見せてくれる顔が違うので飽きません。
1. 駅弁をお供に特急「やくも」で松江に向かう
朝は出雲市駅からスタート。出雲大社は前日にお参りしたので、このまま列車に乗って松江に向かいます。まずは駅の売店で、駅弁を買っておこうと思います。
出雲市駅の「おみやげ楽市」は2025年3月にオープンしたばかり。ここに駅弁が置かれるようになったので、とても便利になりました。
買ったのは「松江郷土料理 しじみのもぐり寿司」。宍道湖といえば、しじみが有名。生姜の効いたしじみのしぐれ煮が、ご飯の上にたっぷりのっています。そしてご飯の中にもしじみが隠れていました。これが「もぐり」寿司なのですね。宝探しのようで楽しいです。
ちなみにこの駅弁の製造元は松江の一文字家さん。本店は松江なので、松江駅の店舗の方が、種類は多いです。そちらで選ぶのもよいでしょう。
これから特急「やくも」で松江に向かいます。普通列車でも行けますが、松江市内での移動に時間がかかるので、多少なりとも時短しておきたいところ。
時間があるよ、という方は、宍道湖沿いを走る一畑電車に乗って、松江しんじ湖温泉駅から松江市内に入るのもよいと思います。ただし松江しんじ湖温泉駅とJR松江駅はかなり離れていますので、移動にはお気をつけください。
特急「やくも」は2024年、約40年ぶりに新型が登場しました。新型やくもは外観も内装も、色合いがとても華やか。私が好きな色は、まさにこの座席のブルーやグリーンなのです。早くこの色のシートに座ってみたかったので、うれしいです。
特急「やくも」は全席指定で、自由席はありません。きっぷをまだ買っていなかったので、スマホで「e5489」サイトから予約したら、通常の値段で特急料金1,880円のところ、なんと500円で買えました!これは「トク特チケットレス」というサービスで、「e5489」で前日か当日に予約すると、この料金になるようです。これは知りませんでした。
区間によって、300円、500円、700円と値段設定されています。ちなみに出雲市から一番遠くの「トク特チケットレス」が使える駅は米子。この区間は700円でした。このサービスは今のところ、2026年3月末までとのことでした。(継続の可能性あり)
「トク特チケットレス」ほど安くはなりませんが、同じく「e5489」サイトから予約する「チケットレス特急券」も通常値段の半額近くになります。
2. 遊覧船に揺られ、のんびり楽しむ「堀川めぐり」
松江駅に到着し、荷物をコインロッカーに預けます。とりあえずお城方面を目指すには、「ぐるっと松江レイクライン」というバスが便利。まずはお得なバスの1日券を購入します。1日券は駅の「おみやげ楽市」で売られています。松江市の構造はちょっと複雑なので、すぐ近くの観光案内所で地図をもらうのを忘れないようにしましょう。
バス停「大手前堀川遊覧船乗場・歴史観前」で下車。こちらから堀川遊覧船に乗って、堀川めぐりをしようと思います。遊覧時間は1周約50分。私はここから1周めぐることにしましたが、途中にいくつか立ち寄る乗船場所があるので、そこで乗り降りすることも可能です。
ちなみに一回チケットを買えば、1日乗り降り自由です。ゆっくり観光できる方には船の移動もおすすめ。
船は小さく、定員は10〜12名ほど。先着順なので、早めに受付を済ませておきましょう。
暑い日なのに、水の上をゆっくりと進む船に乗っていると、風が涼やかに感じます。船頭さんの案内を聞きながら、沿岸の景色を眺めたり、カモが遊ぶ様子を眺めたり。冬はこたつ船になるそうです。
途中、船はいくつか橋の下をくぐります。実はこれが名物。くぐれるの?と思うような低い橋もありますが、なんとこの船、屋根が下がるのです。その時は、体も屋根に合わせて曲げないとなりません。体が固い方は、がんばってください。
3. 城下町の風情を歩く。国宝・松江城と小泉八雲ゆかりの場所へ
堀川めぐりを楽しんだ後は、松江城へ。遊覧船に乗船した場所から歩いてすぐの場所にあります。
1611年に築城された松江城の天守閣は、山陰で唯一現存するものだそう。
ちなみにお城の入場料も、堀川遊覧船も、「ぐるっと松江レイクライン」の1日券を見せると、団体割引の料金になります。
お掘の周りには、ほかにも小泉八雲記念館や小泉八雲旧居などがあります。放送中の人気ドラマ、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)と、その妻セツの物語。ここにくれば、まさにその生涯を知ることができます。
私は昔から怪談や不思議な話が好きでした。北海道の八雲町という場所に住んでいた小学生時に小泉八雲を知り、「八雲」という名前から身近に感じていました。ドラマにはまっている方は、ぜひ足を運ぶとよいと思います。
4. 玉造温泉駅から玉肌の湯・玉造温泉街へ向かう
さて、松江から本日の宿がある玉造温泉に普通列車で移動します。列車内では、出雲市駅の「おみやげ楽市」で駅弁と共に買った、バラパンをおやつに食べました。これは出雲市の「なんぽうパン」が製造している名物パンで、バラのようにパンが巻かれているのが特徴。ノーマルなクリーム、あんこやコーヒーなど、いろいろな味があります。
玉造温泉に到着しました。駅にはエレベーターがないので、荷物を持って階段を昇り降りしないとなりません。地方には、エレベーターのない駅がまだまだたくさんあります。
私は旅慣れてはいますが、荷物は多い方です。根が心配性だから、いろいろあった方が安心するんですよね。その荷物を自分で責任持って運べるかどうかが、旅の荷物量の目安だと思います。
5. 美しい日本庭園の足立美術館へ
翌朝は、宿を出てから再びタクシーで玉造温泉駅へ。そして松江の4つ先、安来駅に向かいます。
目指す足立美術館は安来駅から車で20分ほど。駅と美術館を往復する無料のシャトルバスがあるので、そちらを利用します。バスは約30分おきに出ています。
足立美術館は、足立全康さんが1970年に創設した美術館。美しい日本庭園と、約2000点ものコレクションを所蔵しています。
特に庭園は、アメリカの日本庭園専門誌で2003年から連続1位に選ばれています。こちらを訪れるのは初めてなので、庭園を見るのをとても楽しみにしていました。
美しい庭園は、早朝に総出で清掃をされているそうです。庭の造りにも工夫がいろいろ。例えば手前の松はすいて、奥をこんもりさせ、より遠近感を出しています。
さらに育ちすぎた木は予備の木に植え替えているとか。確かに木がバラバラのサイズに育ってしまったら、この美しい形は保てないですよね。庭園を維持するために、専属の庭師さんが8人もいるとのことでした。
創設者である足立全康さんの「庭園もまた一幅の絵画である」というお言葉は、とても共感するものがあります。
窓枠を額縁に見立てて庭園を見る……私もかねがね、窓は風景を切り取る額縁、とよく本などに書いています。列車の窓枠もまた、額縁なのです。そこに切り取られた四季折々の風景は、時に高級な絵画にも値します。そして走っている列車から見る風景は、一期一会です。
安来駅に戻り、再び特急やくもで岡山へ。今回は、グリーン車に乗ってみました。もちろんグリーン車も、「e5489」で予約した方が通常よりはるかにお得です。
グリーン車だけど、こちらのシートはオレンジ色。通常の指定席は2列+2列の4列シートですが、グリーン車は1列+2列の3列シート。もちろん1列シート側の席を取り、岡山までゆったりと過ごしました。
岡山からは新幹線に乗り換え、東京まで帰りました。帰りも寝台特急「サンライズ」に乗る、という手もあるのですけどね。それはまたの機会に。


