【鉄道旅をしてみよう!】寝台特急「サンライズ出雲」で出雲大社へひとり旅
こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。
ローカル線や観光列車、様々な鉄道で全国を旅しながら、その土地の駅弁や駅そば、お酒、温泉を楽しむのが大好きです。これからそのような楽しみをご紹介していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1. 走るホテル、寝台特急「サンライズ」とは?
鉄道旅が好きになったのは、17年前に乗った寝台列車がきっかけでした。初めて乗った寝台特急「富士・はやぶさ」があまりに楽しかったので、その後「北斗星」や「日本海」、「トワイライトエクスプレス」、「カシオペア」、「きたぐに」など、当時走っていた寝台列車に乗りまくりました。しかし時が流れ、それらは瞬く間になくなってしまいます。
現在、毎日定期運行している寝台列車は寝台特急「サンライズ」のみ。今回は、その貴重なサンライズで、私が毎年のように訪れている出雲大社へと旅してきました。
寝台特急「サンライズ」は東京-出雲市、東京-高松を毎日1往復する寝台列車です。下りは東京駅を14両編成で出発し、岡山駅で出雲市行きの「サンライズ出雲」7両と、高松行きの「サンライズ瀬戸」7両に分かれます。上りの出雲市駅、高松駅から出発したサンライズは、岡山駅で連結し、東京駅へ向かいます。
ちなみに列車の上り、下りは東京駅を起点として、東京駅から離れる方を下り、東京駅に向かうものを上り、と言います。東京駅発着でない列車の場合はまた変わってきます。
サンライズが東京駅を出発するのは21時50分。出雲市駅へは約12時間後の翌10時に、高松駅へは約9時間半後の翌7時半頃に到着します。
サンライズは「ノビノビ座席」というカーペット敷きのオープンな場所以外はすべて個室で、「シングル」、「シングルデラックス」、「シングルツイン」、「サンライズツイン」というタイプに分かれています。それぞれ値段も違うので、どのタイプに乗りたいのか事前に調べておきましょう。
2. サンライズのきっぷを取るコツ
さて、ここまではすでに寝台特急「サンライズ」にご興味がある方はご存知かと思います。問題は、きっぷの手配です。サンライズは今やすっかり人気となり、連日満席。ここ数年では個人旅行できっぷを取るのに苦労するようになりました。
列車のきっぷは1ヶ月前の午前10時から販売開始します。その10時に合わせて、みどりの窓口に並ぶか、自分で「e5489」というサイトなどで予約する方法が一般的です。みどりの窓口は、あらかじめ、10時と同時に対応してくれるところを探しておきましょう。
きっぷは数分で売り切れることが多いので、あとは運のみ。目的の日が売り切れてしまったとしても、何事もあきらめないことが肝心です。キャンセルが出ることもあるので、度々空いてないか確認するとよいでしょう。
特にキャンセル料が高くなる直前、乗車日2日前は、キャンセルが出て席が空く可能性があります。急な対応ができる方は、それを狙うのもおすすめです。
サンライズには、車内販売がありません。つまり食べ物やお酒などは、自分で準備して持ち込まないとなりません。私はいつも東京駅の「駅弁屋祭グランスタ東京店」で駅弁やお酒を買っていきます。ほか、コンビニでおつまみやソフトドリンクなども用意していきます。
車内にソフトドリンクの自販機がありますが、たまに全部売り切れていることもあるので、何かしら持って行った方がよいと思います。
サンライズの個室には、プラカップ、パジャマ、スリッパなど備品が用意されています。このカップでワインを飲んだり、歯磨きの際に室外にある洗面所へ持参したりします。室内には鏡やハンガー、スマホが充電できるコンセントもあります。
また、3号車・10号車で売られているシャワーカードを買えば、シャワールームの使用が可能です。シャワーカードは枚数制限があるので、東京駅で入手するには、サンライズ入線前の21時頃にホームに並んでおくのがおすすめです。タオル類の用意はないので、持参しましょう。
3. シングルツインで秘密基地感を楽しむ
サンライズの個室で一番部屋数が多いのは「シングル」です。「シングル」は1階と2階のタイプがあり、特に2階がおすすめ。窓から遠くの灯りや、月を見ながら過ごすことができます。私も一番多く乗った部屋です。
今回は、一番気に入っている「シングルツイン」に乗車しました。「シングルツイン」は上下2段ベッドの造りになっていて、名前の通り、2人で利用できる個室。実はシングルよりちょっと割高になりますが、1人でも使用可能なのです。
乗車時は、上下段ともベッド仕様になっています。ところが下段の緑のマットレスを外して机を出せば、なんとリビングに早変わり! こんなギミックがある部屋は、ここシングルツインのみです。
下のリビングで仕事をして(たいていはかどりませんが)、お酒を飲みつつ駅弁を食べて、眠くなったら上のベッドで寝る、というのが、たまらなく好きです。子供の頃、2段ベッドの下に学習机がはめ込まれている部屋に憧れていたことも、大いにあるかもしれません。
個室は外からも内からも鍵がかけられます。お手洗いなどに行く際は、外からテンキー方式の鍵をかけて出ましょう。
また、列車が出発してから、各部屋を車掌さんがきっぷの確認に回ってきます。ドアをノックされるので、その時は鍵を開けて対応します。出発前に車掌さんに会うことができれば、その場できっぷの確認をしてもらえます。
パソコンを広げてほんのちょっと仕事をしてから、流れ行く景色を見つつ、ひとり飲み食い。夕飯はすでに食べていたので、おつまみとしてよく買う「国技館のやきとり」をつまみに、赤ワインを飲みながら、長い時間を過ごしました。
最近、サンライズに持ち込む食べ物は、この組み合わせが多いです。とはいえ、寝ないと翌日に響くので、そこそこで切り上げて、寝る準備をしました。
4. 車内で駅弁が受け取れる!?
翌朝、岡山で、サンライズ出雲とサンライズ瀬戸が切り離されます。くっついて走っている間は、それぞれの車両を行き来できますが、岡山到着前にドアが閉じられてしまいます。
切り離しはホームに出て見学することができます。ただしサンライズ瀬戸に乗っている方は、切り離されるとすぐに発車してしまうので、注意が必要です。
私は今まで何度も切り離しを見ているので、今回は見学せずに7時過ぎに起きました。7時44分に到着する新見駅で、駅弁を受け取ります。
車内販売はないはずでは? と思われたかもしれません。実はサンライズ出雲は乗ったまま、駅弁を受け取ることができます。新見駅にある駅弁屋「大阪屋」の駅弁を事前予約しておくと、ホームまで届けてくれるのです。(届けてくれるのは1500円以上から)
何度も利用しているので、よく知る方から駅弁を無事に受け取り、ラウンジで食べます。ラウンジはカウンターテーブルと座席が8席あり、全面窓の見晴らしが大変よい場所。日の出の時間は混んでいることも多いです。
買った駅弁は「ヒャクジュウゴ伯備線勇姿弁当」。かぼちゃが115系のカラーリングを表現し、たくあんの上に乗ったインゲンは、線路を表しているそう。おかずがふんだんで、食べごたえのある駅弁でした。
松江を過ぎて、しばらくすると、進行方向右側に宍道湖が見えてきます。宍道湖のキラキラと光る水面を見ながら、部屋の片付け。化粧も室内で済ませてしまいます。そろそろ終点の出雲市駅に到着です。
5. 一畑電車で出雲大社へ
定時の10時、出雲市駅に到着しました。サンライズはたまに遅れたり、運行中止になったりすることがあります。そうなった場合も慌てないよう、どうするか考えておくと安心です。
JRの出雲市駅から、少し離れた一畑電車の電鉄出雲市駅まで行き、再び列車に乗ります。通称「ばたでん」と呼ばれる一畑電車は、島根県の松江市から出雲市を走るローカル線です。
一畑電車に揺られながら、のんびりと出雲大社前駅に向かいます。途中、高浜駅を過ぎたあたりで、窓からズラリと並んだ鳥居が見えます。これは粟津稲生神社(あわずいなりじんじゃ)という神社の参道。逆に列車の外から見ると、参道の間を列車が走り抜けていくという不思議な光景で、鉄道ファンの間では撮影スポットとしても有名です。
出雲大社前駅に到着。こちらの駅のホーム横に、とても古い車両が展示されています。「デハニ50形」は、映画「RAILWAYS」で登場した車両。車内の床は板張りで、壁や窓枠も木でできています。網棚には、ちゃんと網が張られています。今も電車の荷物を乗せる部分を網棚、と言いますが、本当に網を張っている状態のものは、すっかり見かけなくなりましたね。
6. 出雲大社でお参りする
駅から出雲大社までは歩いて5分ほど。参道には、いろいろなお土産物屋さんや飲食店が並んでいます。スーツケースを引きずっているので、まずは出雲大社前の「ご縁横丁」という施設の地下にあるコインロッカーに荷物を預けます。ただしこちらのコインロッカーは17時で閉まってしまうので、気を付けてください。
出雲大社に来るのは今回で9回目。自宅の神棚にも出雲大社の神様を祀っています。
いつも観光客や参拝客で賑わっている出雲大社は、「神在月」が特に混み合います。通常は旧暦の10月を「神無月」と言いますが、それは神々が、ここ出雲大社に集まり、ほかの地域では神様が不在になってしまうから。逆に出雲では、神様が集まることから「神在月」と呼ばれるのです。
ちなみに2025年の神在月は11月29日〜12月6日です。
出雲大社でのお参りは、通常の神社の「二礼二拍手一礼」ではなく、「二礼四拍手一礼」です。
さらに私は、ご祈祷をしてもらいます。ご祈祷を申し込むと、八足門(やつあしもん)の中まで入ることができ、御本殿に近づいてお参りすることができます。また、神職の方が建築物についていろいろと説明してくださるので、より深く出雲大社を知ることができますよ。
7. お参り後は食を楽しむ
お参り後は恒例の出雲そばを食べに行きます。毎回、違うお店に行ってみるのですが、今回訪れたのは、昭和初期に創業したという「出雲そば かねや」。ひとりでも入りやすいお店で、出雲名物「3色割子」の3段をいただきました。おそばはコシがあって、そばの風味をしっかり感じます。ウルメイワシなどでとった出汁もおいしかったです。
この日は大変暑かったので、「しょうゆアイスクリーム」という看板を目にして、甘味処の「大社門前 いづも屋」に飛び込んでしまいました。
しょうゆアイスクリームは、出雲市内の木綿街道にある醤油屋「岡茂一郎商店」のさしみ醤油を使用して作られたアイスだそう。ひとくち目は味噌に近い風味がしたのですが、食べ進めると甘めのしょうゆ味を感じます。以前、金沢でしょうゆアイスをいただいたことがありますが、その地のしょうゆの特性によって、全然味が違うのだなあと思いました。
寝台特急「サンライズ」を含め、全国の列車(主にJR)の人気列車・観光列車のきっぷは、すべて1ヶ月前の午前10時から販売開始します。ただし「乗車券+食事」がセットになった旅行商品は、この限りではありません。
絶対に乗りたい! という列車は早くから旅の計画を立て、発売日の午前10時に確実にきっぷを取れるよう、準備しておきましょう。


