東京発祥のみつ豆・あんみつが味わえる甘味処7選
東京で生まれて、今や全国に広まった「みつ豆」と「あんみつ」。みつ豆の原形は江戸時代末期に売られていた子ども向けのお菓子で、明治時代に現在のような寒天やフルーツを盛り付けた具だくさんの「みつ豆」が誕生しました。その後、「みつ豆」に餡をのせた「あんみつ」も登場し、どちらも長く愛されています。昔ながらの手作りにこだわった「みつ豆」「あんみつ」が味わえる、東京でおすすめの甘味処をご紹介します。
1舟和本店喫茶室
モダンなみつ豆を生み出した歴史的な名店
1902年(明治35年)に創業し、芋ようかんで知られる「舟和本店」。実は、現在のみつ豆を生み出した元祖店であり、喫茶店で初めてみつ豆を提供した歴史的なお店です。当時のみつ豆は、新粉をこねた餅と赤えんどう豆に蜜をかけただけのものでしたが、舟和では角寒天と赤えんどう豆、甘煮あんず、ぎゅうひを銀食器に盛り、白蜜や黒蜜をかけてスプーンで食べるモダンなみつ豆を考案。喫茶室では、当時とほぼ変わらない「元祖みつ豆」が味わえます。
色々な味が楽しめるあんこ玉と抹茶で一服
舟和といえば、餡を寒天で包んだ「あんこ玉」も創業時からのロングセラーです。喫茶室では「あんこ玉とお抹茶」のセットも人気で、あんこ玉は定番の「小豆」「白いんげん」「抹茶」の他、酸味が爽やかな「苺」と「みかん」、洋菓子感覚で楽しめる「珈琲」の6つの味から2つ選べます。甘味を抑えた餡はサラッとした口溶けで、抹茶との相性も抜群です。
みつ豆ホールの雰囲気を残すハイカラな喫茶室
創業翌年の1903年(明治36年)に「みつ豆ホール」を開設し、高級感のあるみつ豆を提供する喫茶店として人気を博した舟和。現在、本店の2・3階が喫茶室で、当時の雰囲気を取り入れたレトロモダンな空間で、クラシカルな制服を着たスタッフがもてなしてくれます。みつ豆の他、看板商品の「芋ようかん」や、さつまいもご飯とけんちん汁、ミニあんみつなどが付くランチメニュー「さつまいも御膳」(14時まで、数量限定)なども味わえます。
- 舟和本店喫茶室
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- https://funawa.jp/
- 東京都台東区浅草1-22-10 舟和本店2・3F MAP
- 地下鉄銀座線・東武伊勢崎線浅草駅から徒歩約5分
- 10:30~19:00(L.O.18:30)
土・日曜・祝日~19:30(L.O.19:00) - 無休
- 03-3842-2781
- 無し
2梅園 浅草本店
熱々がおいしい黄金色に輝くあわぜんざい
1854年(安政元年)、浅草寺の別院「梅園院(ばいおんいん)」の一角に茶屋を開いたのが始まり。初代が考案した「あわぜんざい」は、江戸の粋人に愛された一品で、今も浅草観光に欠かせない甘味として親しまれています。梅園では、アワではなく餅きびを使用し、毎朝檜のセイロで蒸した餅きびを半つきにして餅にします。粒感を残し、ほどよい粘りと柔らかさに仕上げた餅にこしあんを合わせて、熱いうちにいただくのが定番です。
薄緑色の器に映えるカラフルなみつ豆
みつ豆やあんみつも長く愛されている一品。国産の天草を使った心地よい食感の寒天に、薄塩味の赤えんどう豆、黒糖に数種類の糖を合わせた濃厚な黒蜜が織り成すハーモニーが楽しめます。赤えんどう豆は、熟練の職人が毎朝炊き上げるこだわりの品で、この豆をたっぷり使った「豆かん」も根強い人気を誇ります。みつ豆やあんみつを入れる薄緑色の器も、フルーツやぎゅうひを愛らしく引き立てます。
地元で愛されるアットホームな甘味処
店があるのは、雷門と浅草寺を結ぶ仲見世通りから1本西側の壱福小路沿い。甘味処は地元の人も多く利用するアットホームな雰囲気で、茶屋として愛されてきた歴史が感じられます。毎年5月中旬~9月末日は、夏季限定でかき氷も登場。ふわふわに仕上げた氷に別添えのシロップをかけて味わうスタイルで、行列ができる人気ぶりです。「あわぜんざい」は秋頃に季節限定でお持ち帰り商品も登場しますが、店内でできたてを味わうのが一番の贅沢です。
- 梅園 浅草本店
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- https://www.asakusa-umezono.co.jp/
- 東京都台東区浅草1-31-12 MAP
- 地下鉄銀座線・東武伊勢崎線浅草駅から徒歩約2分
- 11:00~17:00(L.O.16:30)
土・日曜・祝日~18:00(L.O.17:30) - 水曜(祝日の場合は翌日)
- 03-3841-7580
- 無し
3銀座若松
常連客のリクエストで生まれた元祖あんみつを堪能
上野で汁粉屋をしていた初代が1894年(明治27年)に銀座で創業。1930年(昭和5年)に、「もっと甘いものが食べたい」という常連客の要望に応えて、2代目店主がみつ豆に自家製のこしあんをのせて、黒蜜をたっぷりとかけたあんみつを考案しました。当時のレシピで作る「元祖あんみつ」は、しっかり甘い餡が特徴。北海道十勝産の小豆を短時間で炊き上げることで、さらっとしたのど越しに仕上げています。
夏限定の氷あんみつも人気
夏は、かき氷にあんみつの具材をトッピングした「氷あんみつ」もおすすめです。あんみつと同様に、伊豆・三宅島産の寒天と北海道富良野産の赤えんどう豆など、厳選された国産素材を使用。奄美大島産の黒糖を使った自然な甘さの黒蜜が、コクを引き立てます。店のシンボルである松の羊羹をはじめ、フルーツや赤えんどう豆の盛り付け方にもセンスが感じられます。
銀座の中心にある憩いのオアシス
店は「コアビル」の中にありますが、ビルができるはるか前からこの場所で営業。店内は広々とした造りで、古きよき甘味処の風情が漂います。親子2代、3代で通う常連客をはじめ、買い物帰りに立ち寄るお客さんも多く、一人でも入りやすい雰囲気です。「元祖あんみつ」の他、春には桜あん、秋には紫芋あんを使った季節限定あんみつも登場します。お持ち帰り用の商品も充実していて、手土産にもおすすめです。
- 銀座若松
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- http://ginza-wakamatsu.co.jp/
- 東京都中央区銀座5-8-20 コアビル1F MAP
- 地下鉄銀座線・日比谷線・丸の内線銀座駅からA4出口直結
- 11:00~18:00
- 無休
- 03-3571-0349
- あり(有料)
4甘味処みつばち
乳脂肪分ゼロのヘルシーな小倉アイス
1909年(明治42年)に氷業としてスタート。1915年(大正4年)に日本で初めて小倉アイスを生み出し、現在も当時の製法を守り続けています。素材は小豆、塩、砂糖、水のみといたってシンプルで、乳脂肪分はゼロ。口溶けも軽く、さっぱりしながらも小豆本来の風味が楽しめます。甘味処で味わえる「小倉鹿のこ」は、北海道産の大納言小豆を煮崩れないように炊いて、小倉アイスを覆うようにのせた、小豆好きにはたまらない一品です。
濃厚な黒蜜をたっぷりかけて味わうみつ豆
みつ豆やあんみつには、伊豆産の天草で作る寒天と北海道産の赤えんどう豆を使用。餡に使う北海道産の小豆は、一粒ずつ手作業で選別し、良質なものだけを丁寧に炊いています。店内では、そば湯などを入れる湯桶で黒蜜を提供するのも名物で、沖縄産の黒糖を使った濃厚な黒蜜を好きなだけかけられるのも贅沢です。小倉アイスをトッピングするのもおすすめです。
湯島・上野散策の途中に立ち寄りたいおやつスポット
創業時は「嶋田屋」という屋号でしたが、戦後の焼け野原に咲く野菊にミツバチが集まっている様子を見て、「ミツバチみたいにお客さんがたくさん集まるように」という願いを込めて改名。近くにある湯島天神の参拝帰りや、上野恩賜公園の散策がてら立ち寄るのにも便利です。夏には、かき氷に小豆をたっぷり添えた「氷あずき」も登場。氷には蜜をかけず、小豆を混ぜながら食べるので後味もさっぱり。小豆を堪能したい人におすすめの一軒です。
- 甘味処みつばち
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- https://www.mitsubachi-co.com/
- 東京都文京区湯島3-38-10 MAP
- 地下鉄千代田線湯島駅から徒歩約2分
- 11~2月11:00~20:00
土・日曜・祝日10:30~
3~10月10:30~20:00 - 無休
- 03-3666-3082
- 無し
5甘味処 初音
一度食べるとクセになるあんずが主役のみつ豆
1837年(天保8年)に創業した、現存する甘味処では東京最古の老舗。店名は歌舞伎の義経千本桜に登場する「初音の鼓」にちなんで、初代が名付けました。お客さんの要望に応じて増えていったというメニューは、あんみつとみつ豆だけで20種類近いバリエーション。あんずを使った甘味もそのひとつで、安産祈願で有名な神社「水天宮」に近いことから、「甘酸っぱいフルーツが食べたい」という妊婦さんの声に応えて生まれました。
リピーターが多い白玉入りのあんみつ
数あるメニューの中でも、「白玉クリームあんみつ」はファンが多い一品。北海道十勝産の小豆を炊いてから一晩寝かせたこしあんは、みずみずしい寒天と合わせた時になめらかな食感になるよう、しっかりと甘い粘りのある餡に仕上げています。白玉も注文を受けてからゆでるので、プルンとしてのど越しがよく、モチモチの食感が楽しめます。蜜は2種類から選べて、さっぱり食べるなら白蜜、コクのある風味を楽しみたいなら黒蜜がおすすめです。
茶釜の湯で淹れるお茶のおもてなしにほっこり
創業時とほぼ変わらない場所で営業を続け、現在の店舗は地下鉄日比谷線が開通した1963年(昭和38年)に建てられたもの。店内には屋号の由来になった「初音の鼓」の鼓をモチーフにした意匠がほどこされ、しっとりとした和の空間が広がります。接客を担当するのは7代目の女将さんで、茶釜で沸かしたお湯で淹れる煎茶のおもてなしにも癒されます。毎年4月末~10月上旬はかき氷、10~5月は「久寿餅」が期間限定で登場します。
- 甘味処 初音
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- https://www.instagram.com/amami.hatsune/
- 東京都中央区日本橋人形町1-15-6 MAP
- 地下鉄半蔵門線水天宮前駅からすぐ
- 11:30~18:00(L.O.17:30)
- 無休
- 03-3441-0539
- 無し
6甘味処 いり江
寒天の食感と香りをシンプルに楽しめるみつ豆
昭和初期にこんにゃく・寒天の製造業としてスタートし、1970年(昭和45年)に甘味処 を開店。自慢の寒天をはじめ、フルーツ以外はすべて手作りにこだわった甘味を提供しています。神津島産と大島産の天草をブレンドして作る寒天は、煮込んでから一晩かけて冷ますことで、のど越しがよく、弾力があるのにホロリと崩れる絶妙な食感が楽しめます。赤えんどう豆は北海道富良野産の良質なものを使い、中までほっくり柔らかく炊き上げています。
なめらかな餡を堪能したい人はあんみつを
自家製の餡はこしあんと粒あんの2種類あり、甘味を注文する際に選べるのも魅力。北海道十勝産の小豆を8時間かけて練り上げるため、きめが細かくなめらかな舌触りが格別です。ヘラで半月型に餡を切って盛り付けるスタイルも風情があります。蜜も白蜜と黒蜜から選べるので、餡と蜜の組み合わせによって違う味わいが楽しめるのも醍醐味です。
下町散策に欠かせない憩いの甘味処
「いり江」という屋号には、「沖から戻った船がホッと一息つける、入り江のような場所にしたい」という思いが込められています。甘味の他、お雑煮やみそおでんなど食事メニューも豊富で、なかでも「ごまきしめん」はリピーターが多い一品です。近くには深川不動堂や富岡八幡宮もあり、情緒あふれる町歩きが楽しめるエリア。下町散策の際にはぜひ立ち寄りたい名店です。
- 甘味処 いり江
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- https://www.kanmidokoro-irie.com/
- 東京都江東区門前仲町2-6-6 MAP
- 地下鉄東西線・都営大江戸線門前仲町駅から徒歩約3分
- 11:00~18:30(LO18:00)
- 水曜(祝日と縁日の1・5・28日は営業)
- 03-3643-1760
- 無し
7紀の善
なめらかな口溶けにときめく抹茶ババロア
1948年(昭和23年)創業の甘味処で、現在まで女将3代で暖簾を守り続けています。名物の「抹茶ババロア」は、約30年前、店の建て替えで1年間休業した際に、リニューアルの看板メニューとして女将さんが考案。お茶会にも使われる上質な京都の宇治抹茶を使用し、上品な甘さのババロアに仕上げています。隣には、京都丹波産の大納言小豆の粒あんと生クリームが添えられ、この3つが合わさると濃厚な旨味となめらかな口溶けが楽しめます。
豆の存在感と個性派のフルーツを堪能
みつ豆やあんみつも寒天から手作りしていて、トッピングのフルーツも洋梨や無着色のさくらんぼを使うなど、こだわりが感じられます。粒が大きい北海道産の赤えんどう豆をふんだんにのせるのも特徴で、歯応えのある皮とふっくらとした中身の食感が楽しく、さらりと軽い黒蜜が風味を引き立てます。餡は、メニューによってこしあんと粒あんを使い分けていて、あんみつにはこしあんをたっぷりのせて提供。お好みで粒あんも選べます。
風情ある神楽坂に溶け込む歴史ある甘味処
元々は寿司屋として1860年頃に創業し、戦後に当時の女将さんが中心となって甘味処へ転身。たくさんの店が軒を連ねる神楽坂通りにあり、中に入ると吹き抜けから木漏れ日が降り注ぐ明るい空間が広がります。甘味は季節限定メニューも豊富で、春は「苺あんみつ」、夏はかき氷や「冷やしじるこ」、秋冬は「栗あんみつ」や「粟ぜんざい」などがお目見え。甘味の他、釜飯や赤飯弁当、秋冬限定の「鴨ぞうすい」など、食事メニューも逸品が揃います。
- 紀の善
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- http://www.kinozen.co.jp/
- 東京都新宿区神楽坂1-12 紀の善ビル1F MAP
- JR・地下鉄東西線・有楽町線・南北線・都営大江戸線飯田橋駅からすぐ
- 11:00~19:00、日曜・祝日11:30~17:00
- 月曜定休
- 03-3269-2920
- 無し