ご当地サポーター
大阪土産の大定番「551HORAI」の豚まんが愛され続けるわけ

大阪でお土産といえば真っ先に名の挙がる、「超」がつくほど有名な「551HORAI(ゴーゴーイチホウライ)」の豚まん。小腹が空いた時など日常的にもよく食べられ、関西人のソウルフードといっても過言ではありません。そんな「551HORAI」の豚まんの魅力を、深掘りしてご紹介。誕生ストーリーからおいしい理由、購入できる場所、本店でしか買えない隠れた人気商品までたっぷりお届けします。

「豚まん」2個入460円、4個920円など(チルド冷蔵商品は4個1,000円) ※価格は全店共通。チルドは一部の店舗でのみ販売。イートインは価格が異なる
「豚まん」2個入460円、4個920円など(チルド冷蔵商品は4個1,000円) ※価格は全店共通。チルドは一部の店舗でのみ販売。イートインは価格が異なる

関西では「551の蓬莱があるとき~‼ないとき…」というテレビCMでもおなじみの「551HORAI」の豚まん。1946年(昭和21年)の誕生以来約80年にわたって愛されてきた、関西人には欠かせないソウルフードです。大阪市内を中心に、兵庫・京都・奈良・滋賀・和歌山に約60のテイクアウト店を構え(一部の店舗ではレストランも併設)、一日の平均販売個数は約17万個。近年では「外さない大阪土産」として、全国にファンを持つ人気商品となりました。

特徴は、豚肉とタマネギの旨みがたまらないジューシーな餡と、もっちりした食感で甘みを感じる生地の絶妙なバランス。生地のほのかな甘みが、豚肉の濃い旨みを程よく和らげ調和させています。保存料は入れず、当日製造し蒸した分だけを提供。素材も製造もシンプルで、その新鮮な味わいが多くの人々を虜にしています。1個が大きく、食べ応え十分なのも魅力です。

戦後すぐに創業した蓬莱食堂。店名には「桃源郷(楽園)」を意味する「蓬莱」が用いられた
戦後すぐに創業した蓬莱食堂。店名には「桃源郷(楽園)」を意味する「蓬莱」が用いられた

前身となるのは、創業者の故・羅 邦強(ら ほうきょう)氏が2人の仲間とともに創業した「蓬莱食堂」。大阪大空襲で一帯が焼け野原となった中、現在の本店の隣にあたる大阪市の中心部で、終戦からわずか2カ月後の1945年(昭和20年)10月に創業しました。

蓬莱食堂で食事をする親子。子どもは豚まんを頬張っている
蓬莱食堂で食事をする親子。子どもは豚まんを頬張っている

終戦直後で食べ物も不足する中、蓬莱食堂の名物・カレーライスが大ヒット。そのヒットが落ち着いた頃、創業者は次のヒットメニューとして創業の翌年である1946年(昭和21年)に豚まんを考案します。
台湾で食べていた豚饅頭と神戸・南京町で人気のあったものをヒントに、「もっと大きいサイズにして、1個で食べ応えのあるものにしたら大阪人の好みに合うのでは」と考えたそう。ネーミングも関西では「肉=牛肉」を指すため、分かりやすいよう「肉まん」ではなく「豚まん」と命名しました。
そうして誕生した豚まんは大ヒットし、今や関西を代表する味に。日本人好みの味付けや材料の分量、作り方は約80年経った今も、創業時から変わらないそうです。

当時の豚まん実演販売の様子
当時の豚まん実演販売の様子

豚まんは元々食堂でしか味わえないイートインメニューでしたが、人気とともに需要が高まり、1952年(昭和27年)には店頭販売を開始。出来立てを食べてもらいたいという思いから、上記写真のように製造風景を見せながら販売する「実演販売のコーナー」ができました。手包みしたり、次々蒸し上がったりする様子は、近くの戎橋(えびすばし)を行き来する人々の目に留まり、より購買意欲をそそるように。同時に、豚まんを食堂ではなく持ち帰って家で味わうという、今では当たり前ですが当時は画期的だった「テイクアウト」スタイルが徐々に浸透し定着していきました。

創業者の故・羅 邦強氏。蓬莱食堂を2人の仲間とともに開業し、後に独立して「551HORAI」を立ち上げた
創業者の故・羅 邦強氏。蓬莱食堂を2人の仲間とともに開業し、後に独立して「551HORAI」を立ち上げた

店名が「551HORAI」になったのは、1974年(昭和49年)頃のこと。「もっと親しみやすい店名でお客さまに覚えてもらいたい」と思っていた創業者が、外国産のタバコ「555」からヒントを得て、店名に万国共通の数字を用いることを発案しました。店の電話番号が64-551番であったことや、「味もサービスもここがいちばん(=551)を目指そう!」という意味も込められ、「551HORAI」という名前が誕生しました。
赤と白のブランドカラーやパッケージデザインは、目立つようにという思いから。白地に真っ赤な文字で「551HORAI」と書かれた紙袋は雑踏でも一目瞭然。関西人にとっては愛着深いものになっています。

客から見える場所で、次々と豚まんが出来あがっていく、本店の厨房の様子
客から見える場所で、次々と豚まんが出来あがっていく、本店の厨房の様子

551HORAIが誇る豚まんのおいしさの最大の秘訣は、保存料を使わず、その日に製造した「蒸したて」を販売していること。全61店舗のうち58店舗で、1952年から始まった実演販売を今も続けており、各店舗で具を生地で包んでいる様子や、店によっては蒸している様子も見ることができます(チルド商品専門店、パンチャン店は除く)。
中でも2021年にリニューアルした、難波の戎橋筋(えびすばしすじ)商店街にある本店1階では、横に広がる大きなガラス張りの厨房を間近に見ることができ、よりライブ感あふれる製造風景を楽しむことができます。

セントラルキッチンから届いた生地を手でこねた後、重さを測って小分けにし、二次発酵を行う
セントラルキッチンから届いた生地を手でこねた後、重さを測って小分けにし、二次発酵を行う

店舗へはセントラルキッチンから一日に4~5回、生地と具が運ばれてきます。運搬中に生地を一次発酵させるため、販売店はセントラルキッチンから車で150分圏内の関西に限定。その日の気温や湿度によって発酵の進み方が変わるため、生地の状態を手の感触で確認しながら手作業で成形し、店内で二次発酵させます。二度の程良い発酵が、生地の甘みやモチモチ食感につながっています。

メインの具材は、豚肉と淡路島産を中心にした国産のタマネギ。食感を出すため、どちらも大きめのダイス状にカットされています。味付けは塩や醤油、香辛料など、素材の味を生かすシンプルなものです。

発酵した生地の中央に具をたっぷりのせ、一つずつ手包みしていきます。この手包みも大きなポイント。生地がしっかり発酵して弾力があるため、そもそも機械で包むのは難しいという問題もありますが、豚まんのふんわりした食感や味を最大限に生かすには人の手で包むのがベストなのだそうです。
ひだの数は蒸し上がった時にきれいに見える12~13本と決まっており、1分間に4個包めると一人前。達人の域に達すると、1分間に8個のペースで包めるのだそうです。

「ザブトン」とよばれる、豚まんの下に敷かれた薄い松もよい香りを添えている
「ザブトン」とよばれる、豚まんの下に敷かれた薄い松もよい香りを添えている

約20分かけてふっくらと蒸したら完成です。湯気がもうもうと立ち込める中、スタッフがオーダーに応じて蒸し上がった豚まんを箱に次々詰めていきます。

また、こだわりは豚まんに添えられるカラシにも。酢や塩などを加えているため、辛味に加えて豊かな風味が感じられ、甘みのある生地と相性抜群です。セントラルキッチンで毎日製造しているオリジナルで、豚まんと同様、一日複数便のトラックで運ばれてきます。保存料は入っておらず、消費期限は豚まんと同じです。
ちなみにファンの間では、カラシにプラスして醤油やウスターソース、酢、酢醤油、ポン酢をつけるなど様々な食べ方が楽しまれているそうです。ぜひ次回の参考にしてみてはいかがでしょうか。

「551点心セット」1,800円。豚まんと担仔麺、エビ焼売、甘酢団子、春巻き、杏仁豆腐と人気メニューが勢ぞろい
「551点心セット」1,800円。豚まんと担仔麺、エビ焼売、甘酢団子、春巻き、杏仁豆腐と人気メニューが勢ぞろい

本店1階はテイクアウト専用ですが、2、3階のレストランでは、出来たて熱々の豚まんをテーブル席でゆっくり味わうことができます。豚まんは単品1個310円、もしくは「551点心セット」。せっかくなら、台湾の屋台でよく食べられる出汁の効いた担仔(タンツー)麺と点心、杏仁豆腐が付くセットメニューがおすすめです。セイロで提供される豚まんは、おいしさもひとしおです。
他にも小籠包や酢豚、麻婆豆腐、炒飯など、本格中華料理を楽しめます。レストラン・イートインは関西に18店舗ありますので、ぜひチェックしてみてください。

「焼売」6個入510円、10個入850円、チルドは10個入900円 ※レストラン・イートインは価格が異なる
「焼売」6個入510円、10個入850円、チルドは10個入900円 ※レストラン・イートインは価格が異なる

豚まんに次ぐ人気を誇るのが、1952年(昭和27年)に誕生したロングセラー商品の「焼売(しゅうまい)」。豚肉やタマネギがたっぷり詰まり、ボリューム満点です。フワッとした口当たりで、素材の濃い旨みが口いっぱいに広がりたまりません。

「叉焼まん」2個入500円 ※レストランは価格が異なる
「叉焼まん」2個入500円 ※レストランは価格が異なる

また、「叉焼(チャーシュー)まん」は、本店と梅田阪神店のみでしか購入できない知る人ぞ知る人気商品。特製ダレに漬け込んだ豚肉をじっくり焼いたチャーシューの荒切りに、シイタケやタケノコ、タマネギが入り、具だくさん。あっさりとした甘めのタレがチャーシューの旨みを際立たせます。午後には売り切れることが多いので、購入は午前中がおすすめです。

「あんまん」2個入460円 ※レストランは価格が異なる
「あんまん」2個入460円 ※レストランは価格が異なる

「あんまん」も人気です。粒を潰さないよう丁寧に炊いた粒あんに、濃く深い黒ゴマペーストや黒ゴマをたっぷり加えています。販売は本店のみ。買える可能性が高い午前中に訪れるのがベストです。

「アイスキャンデー」1本160円。箱入りは6本から(2時間まで持ち歩き可)。5本以下はドライアイス別途100円
「アイスキャンデー」1本160円。箱入りは6本から(2時間まで持ち歩き可)。5本以下はドライアイス別途100円

1954年(昭和29年)に「湿気の多い大阪の夏をしのいでほしい」と誕生した「アイスキャンデー」も定番商品。当時から変わらぬ製法が継承されています。ノスタルジックな味わいで、フレーバーは一番人気のフルーツに加え、ミルク味、アズキ、パイン、チョコ、抹茶の計6種類。1957年(昭和32年)から採用された、シロクマ・イッちゃんのパッケージもレトロでかわいいと評判です。

新大阪中央店
新大阪中央店

豚まんは、大阪市内を中心に関西エリアで全61店舗を展開。主要駅や空港、デパートなど、立ち寄りやすい場所にあるお店で購入できます。
新幹線が停まるJR新大阪駅には新幹線改札内に1店、在来線改札内に1店、改札外に3店の全5店を設けています。
JR新大駅中央口店(改札外)以外ではチルド(冷蔵)商品の販売も。通常のホット(蒸したて)商品の消費期限は常温で当日中・要冷蔵で3日ですが、チルド商品の消費期限は要冷蔵で製造日を含めて5日なので、持ち運ぶ時間などを考慮して選びましょう。便利な保冷バック付きのセットもあります。チルド商品は8店で取り扱いがあり、公式サイトで確認できます。

「ハート豚まんセット(ハート豚まん1個+551オリジナル電子レンジ用セイロ付)」1050円 ※送料別。通信販売限定。予約受付は2月1日~、発送は2月10~13日。情報は2025年2月のもので、2026年は変更になる可能性あり。
「ハート豚まんセット(ハート豚まん1個+551オリジナル電子レンジ用セイロ付)」1050円 ※送料別。通信販売限定。予約受付は2月1日~、発送は2月10~13日。情報は2025年2月のもので、2026年は変更になる可能性あり。

1984年(昭和59年)の発売以来、バレンタインの時期にはハート型の豚まんが登場(現在は通信販売限定)。発売当時は「ホッカホカ気分で愛の告白」というキャッチフレーズとともに大ヒットしたそう。愛情や感謝の気持ちを豚まんで表すのも大阪らしいユニークな発想です。

期間限定の紙袋はちびっ子にも大人気
期間限定の紙袋はちびっ子にも大人気
大阪市消防局のキャンペーン中のみ、豚まんの箱が消防車に
大阪市消防局のキャンペーン中のみ、豚まんの箱が消防車に

また、春と秋には大阪市消防局がよびかける火災予防運動に合わせて消防車が書かれた紙袋や箱が登場。その他、大阪府警や海上保安庁、自衛隊などとコラボした紙袋がそれぞれ年に1~2回、地域貢献として登場します。公式サイトやSNSで告知されるので、気になる人はチェックしてみてください。
「旨いもんでお腹いっぱいはほんまに幸せ」との想いから「鮮度=おいしさ」を守り、その日に販売する分だけをセントラルキッチンで加工、店頭で成形して蒸し上げる551HORAIの豚まん。長年愛される続ける大阪自慢の名物を、ぜひ蒸したてアツアツで味わってみてください。

551HORAI 本店
  • URLhttps://www.551horai.co.jp
  • 住所大阪府大阪市中央区難波3-6-3 MAP
  • アクセスOsaka Metroなんば駅下車徒歩3分
  • 営業時間テイクアウト10:00~21:30(弁当は11:00~)
    レストラン11:00~L.O.21:30
  • 定休日第1・3火曜※祝日などイレギュラーな休みは公式HPを要確認
  • TEL06-6641-0551
  • 駐車場無し
※掲載の内容は、記事更新日時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。