西表島にのみ生息する「イリオモテヤマネコ」の生態や保護活動を知る旅
沖縄県の西表島(いりおもてじま)にのみ生息している「イリオモテヤマネコ」。生息数が極めて少なく、国の特別天然記念物および絶滅危惧種に掲載されていることから、多くの人が協力して保護活動を行っています。そんなイリオモテヤマネコが、どのように暮らしているのか、またどのような保護活動が行われているのか、理解を深める旅に出かけてみませんか?
イリオモテヤマネコとは?
イリオモテヤマネコは西表島の固有種
世界の中でも、沖縄県八重山諸島の西表島にのみ生息しているイリオモテヤマネコは、ネコ科の動物です。全身の斑点模様・太い尾・幅広の鼻・丸い耳先・目の周りにある白い線・胴長短足などが特徴。頭胴長はおよそ50cmから60cm、体重は4kg前後が平均であり、オスの方が若干大きいそうです。
水を怖がらないという特性があり、水に潜って魚を捕まえる場面も見られます。他のネコ科の動物に比べ、多様な食性であることが特徴です。
主な生息地は餌が豊富な低地部分
西表島の中に広く生息するイリオモテヤマネコですが、なかでも山麓から海岸にかけた低地部分を特に好むとされています。この辺りは、水環境や植生環境が豊かであり、餌となる生き物を豊富に見つけられるためです。薄明薄暮型と呼ばれる夜行性であり、活発に動く時間帯は、主に明け方もしくは日暮れ時といわれています。
時折、西表島の道路には「イリオモテヤマネコ飛び出し注意」の看板が随所に設置されています。他のネコ科動物と同じように単独で行動し、昼間に道路へ飛び出してくることもあるため注意しましょう。
イリオモテヤマネコの保護活動
最も絶滅の恐れが高い野生生物
イリオモテヤマネコは、環境省第4次レッドリストの中で、絶滅危惧種IA類に掲載されています。これは、現存種の中で、最も絶滅の恐れが高いとされている部類です。2007年に、絶滅危惧種IBから変更されており、生態系の悪化をうかがい知ることができます。現在の推定生息数はおよそ100頭。島内での交通事故や、生息地の消失などが発生することで、100頭に満たなくなるおそれがあります。
保護活動の取り組みが活発に行われている
イリオモテヤマネコを保護するために、西表島では様々な取り組みが行われています。なかでも代表的なものが、交通事故対策と島内広報です。
イリオモテヤマネコが出没しやすいスポットには、飛び出し注意の道路標識や移動式注意看板を設置するだけでなく、島内外から寄せられた目撃情報をもとに作られた「イリオモテヤマネコ運転注意マップ」が毎月発行されています。
他にも道路の下にアンダーパスと呼ばれる動物用のトンネルや、道路に入りにくくなっている片勾配側溝を設けるなど、多種多様な工夫が凝らされています。
イリオモテヤマネコについて学べる場所
イリオモテヤマネコの保護と調査研究を行う活動拠点
イリオモテヤマネコの生態について、さらに理解を深めたい方におすすめなのが「西表野生生物保護センター」。イリオモテヤマネコをはじめとする野生生物の普及啓発活動や、保護・調査研究を行うための活動拠点として、1995年に環境庁(現・環境省)により設立されました。
滅多にお目にかかれないイリオモテヤマネコの貴重な映像資料や剥製を見学できるとあって、これまで多くの人々が利用しています。先ほど紹介した、運転注意マップを作成しているのも、このセンターなのです。
展示コーナーやレクチャールームも充実の建物
一般の方が見学できる1階の展示室には、イリオモテヤマネコの剥製をはじめ、その他各種生き物の剥製が展示されています。また、西表島の希少野生生物や島固有の生態系などを、パネル・映像・資料などで紹介しています。
2022年春頃まで、改修工事のため休館していますが、工事完了後は展示コーナーのリニューアルやレクチャールームの拡張などが予定されています。また、ヤマネコの保護施設の見学も検討されているようです。
- 西表野生生物保護センター
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- https://iwcc.jp/
- 沖縄県八重山郡竹富町字古見 MAP
- 大原港から車で約15分
- バス停「野生生物保護センター」で下車、徒歩約10分
- 10:00~16:00(土・日曜や祝日の開館日は12:00~13:00に一時閉館)
- 月曜(祝日の場合は翌火曜も休館)
祝日(ただし、子どもの日および文化の日を除く)
6月23日(慰霊の日)
年末年始(12月29日~1月3日)
※このほか臨時休館日あり - 無料
- 0980-85-5581
- 無料
- 2022年春頃まで、リニューアルに向けた改修工事のため休館しています。リニューアル後は展示内容や営業時間、定休日も変更となる可能性がありますので、詳細は公式サイトをご確認ください。
ナイトツアーでイリオモテヤマネコに会えるかも?
イリオモテヤマネコに会えるかも!?
自然豊かな西表島には、イリオモテヤマネコの他にも珍しい生き物が多数存在します。西表島ジャングルブックが主催する「にゃいとツアー」ではそんな生き物たちを見学できます。運が良ければイリオモテヤマネコにも出会えるかもしれません。
一組限定の貸切ナイトツアーなので、他の方に気を遣わずのんびり参加できるのが魅力。街灯の少ない西表島ですが、現地を知り尽くしたガイドが西表島のルールに沿ったツアーを行うので安心して参加できます。
夜だからこそ楽しめるツアー
西表島ならではの生き物はもちろん、美しい風景も楽しめるのがこのツアーの醍醐味。天気に恵まれた日には、マジックアワーや満天の星が見られる他、季節によっては幻想的な一夜花、ホタルなどたくさんの風景や夜の生き物に出会うことができます。たとえイリオモテヤマネコに出会えなかったとしても、満足度の高いツアーになっています。
- 西表島ジャングルブック
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- https://irijanbook.com/
- 沖縄県八重山郡竹富町西表608 MAP
- 上原港から車で約10分
- 8:00~19:00(受付時間)
※にゃいとツアーは19:15スタート(所要時間:約2時間30分) - 要問い合わせ
- 2名まで:12,000円
3人目から: 1名につき4,500円の加算 (当日現金でのお支払いのみ) - 080-6516-2008
通年開催されている「イリオモテヤマネコの学校」
日本初の「エコツーリズムリゾート」 で未知なる体験を
西表石垣国立公園内に建てられた「星野リゾート 西表島ホテル」。島の自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みを作るため、日本初の「エコツーリズムリゾート」を目指しています。
2021年春からは、イリオモテヤマネコの保護活動もスタート。「イリオモテガイドウォーク」や「イリオモテヤマネコ痕跡ツアー」など、島の魅力とその価値について深く知ることができるネイチャーツアーも充実しています。エシカルな旅を体験したい方におすすめのホテルです。
宿泊者なら無料で体験できるプログラム
星野リゾート 西表島ホテルが実施する「イリオモテヤマネコの学校」では、エコツーリズムのノウハウをもとに、ホテルスタッフがイリオモテヤマネコの特徴を楽しく説明してくれます。改めて、イリオモテヤマネコが島の生態系を保つ上で重要な役割を担っているということを再認識できるでしょう。
季節関係なく通年開催されており、宿泊者なら無料で参加できるのもうれしいポイントです。
- 星野リゾート 西表島ホテル
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- https://iriomotehotel.com/
- 沖縄県八重山郡竹富町上原2-2 MAP
- 上原港から車で約10分
- 上原港から無料のシャトルバスあり
- 0570-073-022
- 無料