軽井沢ホテルブレストンコート
佐藤有希 (入社5年目)
軽井沢ホテルブレストンコート
佐藤有希 (入社5年目)
古くから迎賓文化が育まれてきた軽井沢で多くの著名人や文化人を迎えてきた「軽井沢ホテルブレストンコート」では、日本人の感性から生まれる独創的なフランス料理や旬のフルーツを華やかに仕立てるスイーツで、想い出に残る美味しい滞在を提案しています。
食材の収穫から始まる国内唯一のコンクール「軽井沢スイーツ博コンクール」での優勝をきっかけに軽井沢ホテルブレストンコートのパティシエとなった佐藤有希。10年間に渡り開催されたスイーツの祭典「軽井沢スイーツ博」や、コースでスイーツを楽しむ「ムニュ・デセール」など、スイーツの新しい美味しさを発信し続ける軽井沢ホテルブレストンコートのパティシエの、厳しくもやさしい仕事に迫ります。
佐藤が2011年、「軽井沢スイーツ博コンクール」で優勝したときのコンクールの課題が、信州の代表的な食材のひとつ、ルバーブでした。蕗のようなこの野菜を収穫するところから、コンクールは始まります。「まずは地元の食品店へ行き、ルバーブがどう加工されているかを調べました。そうしたら、ジャムしか見当たりませんでした。フレッシュなルバーブを食べたことはないし、食べてみるとすっぱい。でも、苺のような青りんごのような不思議な風味がして、信州の食材って魅力的だなと感じた瞬間でした」。
信州の果物や野菜は多種多様。強いこだわりを持って育てている生産者の方と出会い、最も忙しくなる収穫の時期には収穫のお手伝いにも伺って、味や香りの確かな違いを感じてスイーツを作っています。
「山ぶどうやサルナシなど、なかなか市場では出会えない食材や、杏や栗、ルバーブなど長野県特産の食材など、その季節に旬を迎えた豊富な食材のなかから、ベストマッチングを探す。 その組み合わせを考えるのが、パティシエとしての楽しみでもあります。また、フレッシュな状態で使うのか、コンポートやアイスに仕立てるのか、はたまたドライにするのか、それぞれ素材によって持ち味が異なるので、それを考えて味のハーモニーを創ります」。佐藤は、生産者の方々から頂いた素材の一つ一つを大切な作品だと思い、丁寧にスイーツへと仕立てていきます。
軽井沢ホテルブレストンコートのラウンジでは、開放的な空間でゆったりとしたソファに腰掛けてスイーツを楽しむことができます。コース仕立てでスイーツを提供する「ムニュ・デセール」は、ホテルの新定番としてリゾートならではのティータイムが過ごせると好評。
「夏には冷たいスイーツだけでコースを作りました。仕上げのソースをお客様の目の前でお皿に飾って。その際に、スイーツやフルーツの特徴などをお話しさせて頂くとお客様にとても喜んでいただけました。お召し上がりいただくだけではない、ラウンジで過ごす時間も楽しんで頂きたいと思っています」。軽井沢の自然の恵みを表現したスイーツのコースは、今やホテルの名物のひとつです。
→軽井沢ホテルブレストンコート
岩手県の製菓学校を卒業後、2011年に軽井沢スイーツ博コンクールでのグランプリ受賞をきっかけに軽井沢ブレストンコートのパティシエに。
岩手県で過ごした高校時代、やりたいことが見つからないまま「好きなお菓子の学校にでも行こう」と、地元の製菓学校へ入学した佐藤。「どうしてもパティシエになりたいとも思っていなくて、じつはデザイナーの仕事にも憧れていました。でも、何気なく参加した軽井沢スイーツ博で、審査員でいらしていた第一線で活躍されるパティシエさんの技術にふれることで、私もパティシエになりたいという確かな思いが固まりました」。
そんな彼女ですが、今はスイーツ作りに没頭する日々。「初めて出会うお客様が、私が作ったスイーツを食べて喜んでくださるのが、とても嬉しくて。休みの日は友人のためにお菓子を作ります。機材が少ないので作れるお菓子の種類は限られますが」。常にスイーツの事が頭から離れない佐藤。「休日に何を見ても、ついついスイーツにすると・・・と、色々な組み合わせを考えてしまいます」そう言う、彼女の笑顔は輝いていました。
最初は思っていることをはっきりと言えず言われたことは全て受け止めて、なんとなくもやもやとしていました。ただ、いろいろなことを任せられるようになった今は、少しずつ自分の意見が言えるようになりました。意見を求められたり聞いていただける職場に育てていただいています。
食べて美味しく、見ても芸術的、というお菓子を作ることを目標にしていますが、これまでになかった形を作るのはやはり難しいですし、大変です。頭のなかでは上手くいっても、実際に作ってみると「うーん…全然違う」っていうこともありますね。
スイーツ博コンクールでお世話になった福士正子先生。もともと関西のご出身なのですが、パリでも修行された経験をお持ちで多くのことを教えて頂きました。私もそんなパティシエになりたいです。地元・岩手のテレビではお菓子を紹介されていて、人柄も素敵な方です。
健康を気にしている人にも安心して食べられるマクロビやビーガンのスイーツ。
豆腐からクリームをつくったり、制約も多い。素材は単純だけど、難しい。でも、挑戦してみたいです。
旧軽井沢の二手橋近くにある、シャルキュトリーの美味しいビストロ、「ラ モンタニョン」。小さなお店なので、予約したほうがいいですが、おすすめです。クレープは「アンジェリーナ」というお店が一番美味しかったのですが、上田市へ移転してしまい、ちょっと残念です。
そんなにたくさんのところへは、行ったことがないのですが、竹富島~石垣島の旅は忘れられません。なんにもなくて、なんにもしなくてよくて、天気がよくて、風も海もあって。そういうのんびりした空気が本当の自分に戻してくれるような気がしますね。
のんびりしたいとき。でも基本、1人では行かないので、友人たちと「ここへ行きたい」と盛り上がったときに旅に出かけます。2ヶ月に1回くらい、そんな旅のプランがふと頭に現れます。
安心な旅。海外より、日本が好きです。あまり遠出はせず、車で出かけて、仲間と美味しいものを食べてほっこりする。だから場所は山梨県とか石川県とかが多くなりますね。ついこの間は、休日が合ったメンバー13人で、ぞろぞろと善光寺へ行きました。お蕎麦を食べて、スイーツの視察もしましたよ(キリッ)。
飴。いつでも甘いものが欠かせません!
文:森 綾、撮影:ヒダキ トモコ、イラスト:山田 だり