第29回目は、ミュージオグラフィスーパーバイザーとして、ミュージアムの基本コンセプト立案や展示監修に関わった、アドリアン・ガルデールさんです。
ミュージアムの基本展示構成を考えるにあたり、最も大切にしたことは「抑制」です。デザインは控えめな介入にとどめ、建物や敷地の歴史がすでに纏っている物語が語りかけてくることを主眼としました。この基本コンセプトをベースとし、監獄の歴史的・社会的背景を来場者に伝えるだけでなく、来場者が複雑な主題をまるごと理解できる、ひとつの旅を設定しました。この旅を経験することで、焦点は「収容の現実」から「自由と個性」に関する、より深く広い考察へと徐々に移り変わっていくことでしょう。私自身、今回のプロジェクトに関わるにあたり、「自由とは何か」を考えました。そして、自由とは与えられた状態ではなく、絶え間なく「自覚」することで得られるという、ひとつの答えに辿りつきました。
刑務所での拘禁は物理的・物質的なものですが、読書、思考、執筆など内面的な自由が宿る時間もあります。結局のところ、刑務所での時間は、私たちの日常生活とさほど違わないのかもしれません。ミュージアムが投げかけてくる二つの問いかけ。「自分自身の自由(物理的自由と内面的自由の両方)を本当に自覚しているか?」、そして「その自由を維持するためには、より意識的になることが不可欠なのではないか?」。この二つの問いに、向き合ってみてください。

アドリアン・ガルデールさんは、展示デザイナーの世界的第一人者として、フランスで「Studio Adrien Gardère」を主宰。これまでに、ルーブル美術館ランス別館、トロントのアガ・カーン美術館などでの展示監修の実績を持つ。日本では、2024年に水戸芸術館で開催された「須藤玲子:NUNOの布づくり」の展示に関わる。今回のプロジェクトでは、ミュージオグラフィスーパーバイザー(Museography Supervisor=展示監修者)として、アートディレクターの佐藤卓さんとタッグを組み、ミュージアムの基本コンセプトや展示構成を監修した。
Instagramでも「美しき監獄と30人」を公開中。ぜひこちらもご覧ください。





