ばんどう太郎|北関東の一大和食ファミレスチェーンの「そそる名物メニューと“親孝行”なサービス」とは?

こんにちは、ライターの辰井裕紀です。著書に「強くてうまい!ローカル飲食チェーン(PHP研究所)」があるローカルフード好きなので、今回はその本でも取り扱ったお店に再訪できました。いつ食べても非常にうまい、あの「絶対的名物うどん」をもつ茨城の重鎮的チェーンです。
それは北関東を地盤とする一大和食ファミレスチェーン、「ばんどう太郎グループ」。今回は「坂東太郎土浦おおつ野店」に行ってきました。
1. 「ばんどう太郎」と知られざる16もの業態

「ばんどう太郎グループ」は、メイン業態の和食レストラン「ばんどう太郎」をはじめとして86店舗を経営し、そのうち茨城県に59店舗を構えます。
県南地域の中心部である土浦にある「坂東太郎 土浦おおつ野店」で、株式会社坂東太郎 本部共育課課長の小菅泰子さんに伺いました。

ばんどう太郎には、ポピュラーな「ばんどう太郎」に加え、この土浦おおつ野店のような、2つしかないレア店舗の「坂東太郎」があります。
まず「ばんどう太郎」は、茨城県民ならおなじみの和食ファミリーレストラン。お得なランチメニューもあるので、幅広い客層にウケる定番の業態です。
漢字の「坂東太郎」は、個室もあるゆったりとした空間の店。落ち着いて食事ができ、シニア世代のニーズなどに応えています。

さらにばんどう太郎グループには、知られざる16もの業態があります。県南の中心地である土浦駅の近辺にも、
・かつ太郎
・家族レストラン坂東太郎
・ステーキハウス幌馬車
・8代葵カフェ
という4業態が。これほど多い理由は、「他の業態があると、違うものを食べたい方にも対応できるため」。まずは1993年、当時珍しかった郊外型のとんかつ店「かつ太郎」を開きます。
その後、後継者がいない「ステーキハウス幌馬車」を引き継いだり、若手に店長を任せやすいカフェ業態「8代葵カフェ」を立ち上げたりと、数々の業態に参入したのです。
それでは「ばんどう太郎グループ」の多くの店で共通メニューとして出されている、あの名物メニューを味わいましょう。
関東人の口に合う名物メニュー「坂東みそ煮込みうどん」
さっそく登場したのは「ばんどう太郎」の看板商品であり、グループの象徴ともいえるメニュー、「坂東みそ煮込みうどん」です。
ぐつぐつ煮込まれて、熱々のアイツがやってきました。

ベースのみそは、かつて宮内庁御用達であった創業1645年の「カクキュー」が3年熟成させた八丁味噌と、坂東太郎が門外不出にするみそを「重ね味(ブレンド)」にしています。
さらに鶏つくねなどからも良い味が出ており、そこにお店で揚げた天ぷらの揚げ玉が入ってスープと溶け合い、これでもかとおいしさを醸し出します。



食べたら「やっぱりこれだ」という充実感と安堵感が湧き出てきます。
名古屋名物の山本屋系のうどんをヒントにし、関東人にアレンジしたという坂東みそ煮込みうどんは、それとはまた違ったうまさです。
山本屋系味噌煮込みうどんの固さと濃さが軽減され、幾分マイルドになっており食べやすく、それでいて染み入る味わい。具材もたっぷり入っていて、飽きさせません。
さらにグランドメニューの改定に伴い、坂東みそ煮込みうどんにコラーゲンが入り、うどんに絡む食感のよさにも貢献しています。

2. 季節のフルーツを味わう「あんみつ」
ばんどう太郎と言えば、もう一つの名物は「デザート」です。
メニュー開発には各部門で最多の10名近いメンバーが携わり、1シーズンで50種もの候補を出し、季節限定スイーツメニューを絞り込むとか。研究のためにみんなで手分けして、一日中都内のスイーツを食べ歩くこともあります。
今日は通年提供されている中での人気メニュー、「あんみつ」をいただきました。

メロン・マンゴー・イチゴなど、季節によってメインの食材はさまざま。この日は大ぶりのメロンが載っており、果肉が多くうれしくなります。
アイスクリームは、バニラ、メロンソルベ、マンゴーソルベ、ソフトクリームから選べる仕様。筆者は王道のバニラを選びましたが、2玉あるのでおトク感たっぷり。
さらにもちもちの白玉と寒天、そしてあとがけの黒みつ。全体的に甘すぎず、心地よいくらいの甘さで心身が満たされました。

3. 意外とすごい「お茶」
ばんどう太郎といえば、このカップとお茶がトレードマークです。

お茶は創業時からお茶どころの茨城県坂東市の「のぐち園本店」という、創業1910年で農林水産大臣賞・毎日農業記録賞とダブル受賞した老舗による猿島茶を使います。小菅さんいわく「抹茶も入っていて、味がまろやかで飲みやすい」とのこと。
お客1組ずつに新しいお茶を出しており、「お金をかけて、深い色のお茶を出す」のがモットー。
4. あまり知られていない? 人気商品ベスト3
おいしくいただいたところで、「ばんどう太郎(坂東太郎)」における人気商品ベスト3を聞きました。
ダントツ1位の「坂東みそ煮込みうどん」の陰に隠れた2位は、「白ごまみそ煮込みうどん」です。まろやかな甘さの白味噌を使い、ゴマと唐辛子を加えた担々麺のような味わい。

3位が「天ざる寿司セット」。バランスよく天ぷら、お寿司、麺がついているセットで、女性に人気です。

5. 「家族を大切にする企業理念」から生まれたサービスが充実
そんなばんどう太郎グループの社訓は「親孝行」。自らの親をはじめ、お世話になった人たちを「親」として尽くし、「家族の絆を深める」を社是としています。

このため、「家族を大切にする企業理念」から生まれたサービスが充実しています。
9歳までの子どもには「こども預金通帳」というポイントカードがもらえるのですが、それを持っていると、誕生日の前後1週間には、「おたんじょうびセット」が無料になります。

さらに、母親にありがたいのが「おかあさんへ」の文面。「お子さんは散らかすことの名人です」「テーブルの上や席の周りの汚れ等をいっさいお気になさらないでください」などと書かれ、子連れにうれしい心配りです。

お食い初めや一升餅など、小さなお子さんを対象にした歳事に力を入れており、その都度、赤ちゃんの足形をとって写真をプレゼントするのがとても好評だそう。

そのほか、お食い初めや七五三、還暦祝に加えて百回忌までの法要もできるので、まさにライフサイクルをまるごとカバーする、ローカルならではの和食チェーンです。
また、駐車場から玄関を結ぶ道は「親孝行通り」と命名されています。玄関に向かうにつれて狭くなるように設計され、すれ違う時に「譲り合う気持ち」に気づいてもらいたいと願いを込めたそう。

6. 最後の客は全員で見送る? マンパワー全開のサービス
ばんどう太郎といえば、独特のサービスと接客に定評があります。
まず、店内の接客をリードする役割が「女将」と「花子」※。お客が困ったことに対応してくれたり、ときには外まで見送ってくれたりもします。
※「花子」は次の女将候補で、女将の不在時はその役職を担う
常連になると名前で呼んでくれたり、メモした情報をもとにした接客が受けられることもあるとか。
さらに責任者制度があり、店頭に「みそ煮込み責任者」「風船渡し責任者」「床ピカピカ責任者」などと貼り出されることで、それぞれの役目を全うしてくれるようになるそうです。

そんなばんどう太郎では、8名様以上の予約で宴会料理を頼むと、バスの無料送迎が受けられ、お酒を飲んでも安心です。
そして閉店時、最後の客は全員総出で見送ってくれます。

この最後の見送りを見られる人はなかなかいないかもしれませんが、ばんどう太郎の精神を表す習慣です。
「大手さんのレストランだと、ロボットを使って人を減らす時代ですが、坂東太郎は多くの人が働いています。地元のお客様が安心できる店を目指しています」と語る小菅さん。
価格は少しだけお高めですが、その分のサービスを味わえます。幾重にも魅力が詰まった、茨城ならではの和食レストランをぜひ堪能してみてください。

- 坂東太郎 土浦おおつ野店
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茨城県土浦市手野町字新4001-1 MAP
土浦駅から車で10分
土浦駅より関東鉄道バスで17分、バス停「おおつ野台」下車、徒歩2分
11:00〜21:00(ラストオーダー20:30)
029-869-5111
無料
7. ばんどう太郎グループ各店にサクッと行ける。土浦駅直結のホテル「BEB5土浦」

坂東太郎をはじめとしたばんどう太郎グループ各店に行くならBEB5土浦へ。何泊かすれば、全制覇だってできるかも。
自転車を楽しむホテルだから、サイクリングで回るのもいいし、終わっていない仕事だって24時間使えるラウンジがコワーキングスペースになります。
忙しいあなたが、少しでもこの街でいい思い出ができますように。