ご当地サポーター
【2025年版】車窓から愛でる紅葉絶景!京都の秋を叡電とトロッコ列車で堪能

一年を通して国内外から多くの観光客が訪れる古都・京都。とりわけ、寺社仏閣や風情ある街並みが紅葉に包まれる秋のシーズンは特に人気です。2025年は少し趣向を変えて、列車に乗りながら紅葉狩りを楽しんでみてはいかがでしょうか。山間部を走る「叡山電車」と「嵯峨野トロッコ鉄道」の2路線は特におすすめ。車窓からしか観ることができない紅葉絶景をはじめ、観光列車の予約方法や乗り方、沿線の紅葉名所なども併せてご紹介します。

展望列車「きらら」が人気!SNSを中心に話題に上がる秋の叡山電車

紅葉を楽しめる鉄道路線として全国屈指の人気を誇る叡山電車
紅葉を楽しめる鉄道路線として全国屈指の人気を誇る叡山電車

地元の方から「叡電(えいでん)」の愛称で親しまれる叡山電車は、京都市左京区の出町柳(でまちやなぎ)駅を起点に山深い八瀬・鞍馬エリアを結ぶ鉄道路線です。出町柳駅へは、百貨店などが立ち並ぶ河原町に至近の「祇園四条駅」から京阪電車に乗ると便利。出町柳駅行きの電車に乗って終点まで行けば叡電の出町柳駅に乗り換えられます。

出町柳駅から5駅目の宝ケ池駅までは全ての下り列車が停車。宝ケ池駅から先が鞍馬方面へ行く鞍馬線、八瀬比叡山方面へ行く叡山本線に分かれます。今回は多くの紅葉名所が沿線に点在する鞍馬線を中心にご紹介します。

11月下旬は大変混み合う展望列車「きらら」。進行方向逆の後面展望位置だと比較的余裕をもって乗車できる
11月下旬は大変混み合う展望列車「きらら」。進行方向逆の後面展望位置だと比較的余裕をもって乗車できる

普通列車に乗車して紅葉狩りに出発するのも良いですが、紅葉シーズンの叡電に乗るなら展望列車「きらら」への乗車がおすすめです。

きららは沿線の移り変わる景色を満喫できるよう、大きなガラス窓を採用しているのが特徴。全29席で、そのうち中央付近の8席は外向きになっていて、寛ぎながら車窓の移ろいを楽しめます。しかも、通常運賃のみで乗車できてしまうのもポイント。座席予約の必要もありません。

中央付近の8席が人気のきららですが、それ以上に好評なのが迫りくる紅葉を堪能できる前面展望位置です。人気の乗車位置を確保したい場合は、始発駅の出町柳駅でできる限り早めに並んでおくと良いでしょう。

夜には妖艶な表情も!車窓からしか堪能できない「もみじのトンネル」

11月上旬から色づき始め、下旬には真紅に染まる「もみじのトンネル」
11月上旬から色づき始め、下旬には真紅に染まる「もみじのトンネル」

鞍馬線の紅葉スポットとして特に有名なのが、出町柳駅から11駅目の市原駅と次の二ノ瀬駅の間にある「もみじのトンネル」です。約250mの区間にイロハモミジやヤマモミジ、カエデなど約280本が植えられており、線路の上を紅葉が覆う様はまさにトンネルのよう。錦秋という言葉が相応しい紅葉に包まれた空間を列車が走り抜けていきます。

窓側に向けて配置された中央の座席からは、よりゆったりと景色が楽しめる
窓側に向けて配置された中央の座席からは、よりゆったりと景色が楽しめる

もみじのトンネルの通過中に美しい風景を収めるなら、運転席すぐ後ろの前面展望位置に乗車するのがおすすめ。迫りくる紅葉をカメラに収めることができます。また、電車内の連結部分付近から前方に向けて動画モードで撮影すれば、車内と紅葉をパノラマで捉えることができ、赤やオレンジ、黄色などの暖色が流れゆく様子を撮影できます。

夜のもみじのトンネルをきれいに写すには、フラッシュを焚かずに撮るのがポイント
夜のもみじのトンネルをきれいに写すには、フラッシュを焚かずに撮るのがポイント

きららへの乗車は、もみじのトンネルが違う表情を見せる夜もおすすめです。例年11月になると、日没~21時頃までライトアップを実施。期間中、もみじのトンネルを通り抜ける列車は車内の明かりを消して速度を落として徐行運行し、光りに煽られて夜闇に浮かぶ紅葉を堪能できます。

▼もみじのトンネル ライトアップ
日時:2025年11月7日(金)~11月24日(月)日没~21:00頃
URL:https://eizandensha.co.jp/sightseeing/momiji/

二ノ瀬駅の紅葉ライトアップ
二ノ瀬駅の紅葉ライトアップ

もみじのトンネルの後にもお楽しみの紅葉ポイントが。二ノ瀬駅には駅舎を見守るように大ぶりのモミジの木があり、もみじのトンネルライトアップ期間に合わせて特別な照明演出で一層美しく彩られます。

貴船口駅の紅葉ライトアップ
貴船口駅の紅葉ライトアップ

また、次の貴船口駅でもライトアップを実施する予定で、車窓からは夜闇に浮かぶ紅葉を、ホームからは列車と紅葉の競演を鑑賞できます。

展望列車「きらら」
  • 入場料通常運賃(大人220円〜470円、子ども110円〜240円)
  • メモ・運行区間:出町柳―鞍馬
    ・所要時間:約30分
    ・運行日:毎日
    ・乗車券購入方法:普通乗車券で乗車可能

表参道の石段灯籠に火がともる「貴船神社 紅葉ライトアップ」

本宮表参道の石段
本宮表参道の石段

「京の奥座敷」とも呼ばれる貴船の地に1300年以上にわたって鎮座する「貴船神社」。鞍馬線沿線に点在するスポットの中でも1、2を争う人気の名所です。山中に広がる社域は麓から順に「本宮」「結社」「奥宮」と続いており、山の樹々が色をまとう秋には、紅葉と社殿の競演を観ることができます。本宮表参道の石段を覆う紅葉の様子は特に有名で、数々のメディアでも取り上げられています。

毎年紅葉シーズンには、夕暮れ時から20時30分まで「貴船神社 紅葉ライトアップ」を実施。表参道石段の灯篭に火がともり、紅葉が夜闇に浮かびあがります。また、本宮の境内を優しい光りが包み、より一層幻想的な様子を観ることができます。

▼貴船神社 紅葉ライトアップ
日時:2025年11月7日(金)~11月24日(月)夕暮れ時〜20:30

貴船神社
  • 住所京都府京都市左京区鞍馬貴船町180 MAP
  • アクセス叡山電車鞍馬線貴船口駅からバス乗車、「貴船バス停」下車徒歩約4分
  • 営業時間参拝自由
  • 定休日なし
  • TEL075-741-2016
  • 駐車場本宮8台、奥宮10台/2時間800円(延長は不可)

鞍馬山に抱かれた鞍馬寺境内は、紅葉スポットの宝庫

仁王門から本殿までの参道も紅葉が楽しめる
仁王門から本殿までの参道も紅葉が楽しめる

宝亀元(770)年創建と伝わる「鞍馬寺」は、少年期の源義経(牛若丸)が修行したとされる歴史の深い寺院。鞍馬山に抱かれた広い境内では、様々な場所で紅葉狩りが楽しめることでも知られています。鞍馬駅を降りてすぐの場所にある、朱色の仁王門が紅葉を背にそびえる姿はぜひカメラに収めたい名所の一つです。また本殿付近から見る南の方角も美しいと評判。鞍馬山の向かいに座す比叡山が赤黄色に粧う様を一望できます。

なお、仁王門から本殿までは、清少納言が『枕草子』の中で「近うて遠きもの鞍馬の九十九折といふ道」と記したほどの道のりです(所要時間約30分)。ケーブルカーが運行されているので楽に行き来することができますが、参道も紅葉を存分に楽しめる名所なので、時間や体力に余裕があるならぜひ歩いて錦秋を噛みしめてみてください。

鞍馬寺
  • 住所京都府京都市左京区鞍馬本町1074 MAP
  • アクセス叡山電車鞍馬線鞍馬駅から徒歩で約3分(仁王門)
  • 営業時間参拝自由
  • 定休日なし
  • 入場料愛山費500円
  • TEL075-741-2003
  • 駐車場なし

お得な乗車券で周遊を楽しもう

叡山電車1日乗車券「えぇきっぷ」(大人1,200円、子ども600円)
叡山電車1日乗車券「えぇきっぷ」(大人1,200円、子ども600円)

鞍馬寺をはじめとした叡電沿線の紅葉スポットを巡るなら、叡山電車1日乗車券「えぇきっぷ」(大人1,200円、子ども600円)の購入がおすすめ。きららを含めた普通列車に何度も乗り降りができるのでとても便利です。ちなみに二ノ瀬駅は車内精算となっており、列車からホームに降りるだけでも運賃が必要ですが、えぇきっぷを持っていればその心配もありません。

「京都洛北・森と水のきっぷ」(大人1,800円※大人券のみ発売)
「京都洛北・森と水のきっぷ」(大人1,800円※大人券のみ発売)

また、貴船神社の紅葉も見たい人には「京都洛北・森と水のきっぷ」(大人1,800円※大人券のみ発売)がおすすめ。叡山電車全線が乗り降り自由になる他、今出川通(いまでがわどおり)以北*の京都バスが乗り降り自由になります。貴船口駅から貴船神社までは約2kmの上り路になっていて歩くと20分以上はかかります。周遊にかかる時間が短縮でき、体力も温存できるのでバスの乗車がおすすめです。

*鞍馬温泉・小出石(おでいし)より北および銀閣寺道~比叡山頂を除く

ご当地サポーターコメント
叡電社員の方によれば、叡山本線の「八瀬比叡山口駅」周辺もおすすめの紅葉スポットとのこと。「えぇきっぷ」などを活用して八瀬比叡山口駅にも足を運んでみてください。
叡山電車(鞍馬線・比叡線)
  • 入場料鞍馬線:大人220円〜470円、子ども110円〜240円
    叡山本線:大人220円〜280円、子ども110円〜220円
  • メモ・運行区間:鞍馬線:出町柳―鞍馬(きららの運行は鞍馬線内のみ)、叡山本線:出町柳―八瀬比叡山口
    ・所要時間:鞍馬線:出町柳―鞍馬約30分、叡山本線:出町柳―八瀬比叡山口約15分
    ・運行日:毎日
    ・乗車券購入方法:各駅券売機にて発売
    ・叡山電車1日乗車券「えぇきっぷ」
    ・京都洛北・森と水のきっぷ

トロッコ列車に乗って渓谷を彩る紅葉を眺める

国鉄時代に活躍したDE10形ディーゼル機関車が現役で車両をけん引する
国鉄時代に活躍したDE10形ディーゼル機関車が現役で車両をけん引する

嵯峨野観光鉄道が運営する「嵯峨野トロッコ列車(以下、トロッコ列車)」は、京都市西部の山間部を流れる保津川の渓谷沿いを走る観光列車です。京都市側の始発駅であるトロッコ嵯峨駅から亀岡市にあるトロッコ亀岡駅までの片道約7kmを約25分かけてゆっくり走行。春は満開の桜、夏は新緑の彩り、冬は雪の積もった嵐山など四季折々の渓谷美を堪能できます。トロッコ嵯峨駅はJR嵯峨嵐山駅に隣接しているので京都駅からのアクセスも良好です。

対岸の山々に広がる紅葉を望む(トロッコ嵯峨駅から2,150m~2,450m地点)
対岸の山々に広がる紅葉を望む(トロッコ嵯峨駅から2,150m~2,450m地点)

沿線にイロハモミジやヤマモミジ、カエデなど約1,000本の紅葉樹が植えられているのも魅力のひとつ。秋が深まる頃には、赤や黄色に染まる木々が列車の車窓を鮮やかに彩ります。

保津川橋梁から望む左右の山々の紅葉(トロッコ嵯峨駅から3,150m付近)
保津川橋梁から望む左右の山々の紅葉(トロッコ嵯峨駅から3,150m付近)

トロッコ嵐山駅を出てすぐの亀山トンネル付近や約70本の紅葉が密集する保津川橋梁手前付近など、全線を通して見どころは実に豊富。列車が絶景スポットに差し掛かると速度を落として運行してくれる配慮もうれしいポイントです。また、途中のトロッコ保津峡駅では、停車した列車の中から保津峡の綾錦を撮影できます。

列車内は木製の椅子のボックス席が並ぶレトロな雰囲気
列車内は木製の椅子のボックス席が並ぶレトロな雰囲気

トロッコ列車は5両編成となっていて、全席がボックス仕様の指定席なので座席選びにはこだわりたいところ。トロッコ亀岡駅行きの列車は、進行方向の右側が渓谷を眺める時間が長いので人気です。ただし、左右のどちら側に座っても前半または後半が紅葉に面した側となるので、紅葉目的ならどちらに座っても楽しめます。また、ボックス席なので進行方向と逆向きの座席もあります。後ろ向きの席からは過ぎ行く景色をゆったりと眺められるので、乗り物酔いの心配などがなければこちらもおすすめです。

開放感溢れる5号車の「ザ・リッチ号」は渓谷に吹く風をダイレクトに感じられる
開放感溢れる5号車の「ザ・リッチ号」は渓谷に吹く風をダイレクトに感じられる

5号車は窓の無いオープン車両「ザ・リッチ号」となっていて、秋の燃ゆるような渓谷美を五感で楽しめます。屋根もガラス張りになっており、屋根に落ちた紅葉と青空を一緒に撮影すれば味わい深い写真を撮ることができます。

なお、ザ・リッチ号は側板や床まで素通しの車両で、雨天の場合は雨に濡れることもあります。車内で傘はさせないため、あらかじめレインコートを準備しておくと良いでしょう。また紅葉シーズンは晴れていても気温が低い日もあるので、暖かい格好で乗車しましょう。

渓谷沿いをライトアップする「光の幻想列車」

「光の幻想列車」の運行時期だけ渓谷沿いがライトアップされる
「光の幻想列車」の運行時期だけ渓谷沿いがライトアップされる

秋から冬にかけての期間は16時30分~最終列車まで「光の幻想列車」を運行します。沿線に施された照明機器が、紅葉樹や対岸の山々を幻想的に照らし出す他、トロッコ保津峡駅や沿線数箇所にイルミネーションが施されます。

トロッコ保津峡駅のイルミネーション
トロッコ保津峡駅のイルミネーション

「光の幻想列車」を含めてトロッコ列車の指定席乗車券は、トロッコ保津峡駅を除く各駅の窓口で当日分を先着順で販売しています。ただし、紅葉シーズンのチケットは大変人気のため、インターネットでの事前予約&オンライン決済で購入しておくのがおすすめです。予約乗車券は乗車日の1カ月前(前月の同じ日)の0時から嵯峨野観光鉄道のホームページで発売しています。購入方法やQRコード乗車券の表示方法、注意事項などの案内があるので、詳しくは公式ホームページをご確認ください。

なお「光の幻想列車」を含め、運行当日の指定席券(全席指定席)が満席となった場合、入口付近に立って乗車できる立席券を若干数販売します。立席券の販売は各駅窓口のみで上限に達した時点で完売となります。

▼光の幻想列車
日時:2025年10月25日(土)~12月29日(月)16時30分~最終列車
備考:全席指定席
URL:https://www.sagano-kanko.co.jp/season/

嵯峨野トロッコ列車
  • 入場料全区間大人(12歳以上)880円、子ども(12歳未満)440円
  • メモ・運行区間:トロッコ嵯峨―トロッコ亀岡
    ・所要時間:トロッコ嵯峨―トロッコ亀岡約25分
    ・運行日:3月1日~12月29日(水曜日は全便運休日の場合あり※繁忙期などは水曜日も運行)
    ・乗車券購入方法:トロッコ保津峡駅を除く各駅の窓口で当日分を先着順で販売。またはホームページにて予約販売
    ・備考:ホームページにて乗車券を予約した場合、乗車の際に予約情報を記載したQRコードを駅員に提示する必要があります。QRコードの表示方法などはホームページをご確認ください。

紅葉を眺めながらの舟下りもおすすめ

保津峡屈指の紅葉名所「女渕」
保津峡屈指の紅葉名所「女渕」

トロッコ列車で終点のトロッコ亀岡駅まで乗車した後は、保津川上流から嵐山・渡月橋手前の着船場までの渓谷を流れ降りる「保津川下り」の乗船がおすすめです。トロッコ列車で眺めてきた紅葉の渓谷美を、帰りは川面に近い目線から楽しめます。乗船中は船頭さんが紅葉ポイントや奇岩などの見どころを解説してくれるので予備知識は不要。乗船してから約1/3ほど下った場所にある女渕は多くの船頭さんが推す絶景ポイント。船頭さんの合図で後ろを振り返えれば、渓谷に広がる美しい谿紅葉(たにもみじ)を鑑賞できます。

保津川下りの乗船券は当日受付順で販売する当日券の他、保津川遊船企業組合のホームページなどで購入可能。トロッコ亀岡駅から保津川下り乗船場までは、トロッコ列車の発着に接続して発車する連絡バス(大人350円、子ども180円/所要時間約12分)の利用が便利です。なお、乗船券を予約する際は、トロッコ嵯峨駅発車時間の1時間後の便(例:9:02発嵯峨野1号に乗車する場合は10:00発の乗船券)を押さえておくとスムーズに周遊することができます。

ご当地サポーターコメント
川下りも終盤に近づいてくるとお茶屋さんの船が横付けして、イカ焼きやおでん、みたらし団子などを売ってくれます。紅葉時期には湯豆腐なども買い求めることができますよ。
保津川遊船企業組合
  • 住所京都府亀岡市保津町下中島2 MAP
  • アクセス乗船場:トロッコ亀岡駅から連絡バスで約15分/JR亀岡駅から徒歩で約8分
  • 営業時間2025月3月10日(月)~12月7日(日)9:00〜15:00
    ※平日は毎正時定期運航(計7便)、土・日曜、祝日は定員が集まり次第随時出船
    2025年12月8日(月)~2026年3月9日(月)10:00〜14:30
    ※平日は4便の定期運航、土・日曜、祝日はその他臨時船が出航することもあり
  • 入場料中学生以上6,000円、幼児~小学生4,500円
  • TEL0771-22-5846
  • メモ例年の場合、12月第2週は紅葉あり
※掲載の内容は、記事更新日時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。