京都の風土が育んだ「京漬物」。地元で愛され続ける名店5選
京みやげの定番である「お漬物」。京都では古くから、良質な水や盆地ならではの気候がおいしい野菜を育み、季節の食卓を彩ってきました。今回は「しば漬・千枚漬・すぐき漬」の京都3大漬物をはじめ、京都の歴史や季節を鮮やかに映す一品を手がける、漬物の名店を紹介します。
1志ば久
800年の歴史あり。大原の里人が守り継いだ「しば漬」
京都の3大漬物で最も古い歴史をもつ「しば漬」。平安後期、比叡山の北西麓に広がる大原の山里で、初夏の名物・赤シソを使い、夏野菜を塩漬けし、保存食にしたのがはじまりです。上品な赤紫色が美しく、平家の悲劇のヒロイン、建礼門院に献上された伝説もあるとか。現在はキュウリ入りや浅漬けも人気ですが、最も伝統的な製法が、ナスを赤シソと塩で乳酸発酵させる「生しば漬」。これを看板商品とするのが、三千院の参道に店を構える「志ば久」です。「しば漬づくりは、赤シソづくりにある」と、地元に代々伝わる種子を守り継ぎ、自家栽培した香り高いシソで仕込むのがこだわり。しゃっきりとしたナスの食感と爽快な酸味、赤シソのアロマが口いっぱいに広がります。刻んで鰹節と醤油を添えるのもおすすめです。
【商品名】 赤志ば
【賞味期限】 30日
【取扱店】志ば久、D&DEPARTMENT京都、里の駅 大原、KOHYO北大路店(イオンモール北大路内)など
- 志ば久
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- https://www.shibakyu.jp/
- 京都府京都市左京区大原勝林院町58 MAP
- 京都バス「大原」下車徒歩約7分
- 9:00~16:00
- 水曜(10月下旬〜12月初旬は無休)
- 075-744-4893
- あり
2御すぐき處 京都なり田
すぐき発祥の地、上賀茂が生んだ発酵漬物
京都・上賀茂地域のみに伝承する在来のカブの一種、すぐき菜を用いる「すぐき漬」も京都3大漬物のひとつ。起源は江戸初期に遡り、当初は上賀茂神社の社家のみで作られていたそう。1804年(文化元年)創業の「なり田」は、その歴史を色濃く残す社家町にある老舗です。「塩のみで漬け込み、乳酸発酵させる製法は創業当時から変わりません」と十一代目の当主。毎年11月から収穫と漬け込みがはじまり、12月初旬にフレッシュな果実感が楽しめる新漬けが登場。さらに、ひと夏を越えて十分に発酵・熟成したものを「時候熟れ(じこうなれ)」といい、これを心待ちにする地元の人も多いもの。深い酸味と旨みが増した味わいは格別で、辛党にもこよなく愛されています。
【商品名】すぐき
【賞味期限】8日
【取扱店】本店、京都髙島屋店、大丸京都店 B1F グローサリー売場など
- 御すぐき處 京都なり田
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- https://www.suguki-narita.com/
- 京都府京都市北区上賀茂山本町35 MAP
- 京都市バス「上賀茂神社前」下車徒歩約2分
- 10:00~18:00
- 1月1日
- 075-721-1567
- あり(4台)
3千枚漬本家 大藤(だいとう)
冬の醍醐味。一子相伝で守る千枚漬の味
透けるほど薄くスライスした聖護院かぶを、ひと樽に漬けると千枚にもなることから名づけられた「千枚漬」。この元祖が1865年(慶応元年)創業の「大藤」です。優美な見た目と、塩と砂糖、酢のみで漬けるあっさりと上品な味は、京都御所の料理方を務めていた初代が考案。これが評判を呼び、やがて市井へと広がり京名物となりました。この味を一子相伝で受け継ぐ五代目は「シンプルな味付けだからこそ、カブのおいしさが命。丁寧に目利きしています」と話します。本漬けと毎朝の樽出しは、当主のみが手がけられる繊細な工程。毎日自身で守りをすることで、常に最高の逸品を届けるのが信条です。カブを御所の白砂、壬生菜を吉祥の松に見立てた盛り付けも縁起がよく、正月迎えの漬物としても親しまれています。
【商品名】千枚漬
【賞味期限】袋入り3〜5日、容器入り5〜7日(時期により変動あり)
【取扱店】千枚漬本家 大藤、ジェイアール京都伊勢丹 B1F(老舗名店の味)、JR京都駅 新幹線コンコース内(京老舗の味 舞妓)、新幹線八条口改札前(ギフトキヨスク京都)、大丸京都店 B1F グローサリー売場など
- 千枚漬本家 大藤(だいとう)
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- https://www.senmaiduke.com/
- 京都府京都市中京区麩屋町通錦小路下ル桝屋町510 MAP
- 阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約5分
- 9:00~17:00
- 4~9月:木曜と7月31日
10月~千枚漬期間:無休
(1月1日、2日を除く) - 075-221-5975
- なし
4雲母漬老舗 穂野出(きららづけしにせ ほので)
風味絶佳。修行僧や旅人を癒してきた「もてなしの味」
京漬物は多々あれど、一乗寺の田辺家にのみ伝わるのが「雲母漬(きららづけ)」。小ナスを京名物の白みそで漬け込んだ、風味豊かな一品です。趣ある門構えが物語る通り、創業は江戸前期の1689年(元禄2年)。元は公家に仕え、領地を管理していたそうですが、都から比叡山へ向かう主要ルートの「雲母坂」の近くに屋敷があったことから、田辺家が番所(検問所)を兼ねていたそう。そこに茶店を設け、険しい山道を往来する人に振舞ったのが雲母漬というわけです。契約農家が育てるひと粒サイズのナスは柔らかで、ほの甘いみそと好相性。山上の延暦寺に向かう修行僧、宮中からの勅使にとって、最高のもてなしであったことでしょう。素材の旨みがしみ込んだ白みそ自体も美味。ぜひ余すことなくご賞味を。
【商品名】 雲母漬
【賞味期限】 45日
【取扱店】雲母漬老舗 穂野出、京都髙島屋 B1F 味百選など
- 雲母漬老舗 穂野出(きららづけしにせ ほので)
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- https://www.kiraraduke.net/
- 京都府京都市左京区一乗寺谷田町43 MAP
- 京都市バス「一乗寺下り松町」下車徒歩約5分
- 8:30~16:30
- 不定休
- 075-781-5023
- あり(8台)
5村上重本店
殿様が認めた味。伝統野菜や旬の素材を匠の技で
旬の漬物を探すなら、「丸に十」の紋を染め抜いた暖簾でおなじみ、西木屋町の「村上重本店」がおすすめです。1832年(天保3年)創業、薩摩の殿様のお墨付きをいただいたというこちらは、長く夏の奈良漬、冬の千枚漬を専門に商い、腕を磨いた名店。やがてその技を季節の漬物へ広げ、京都の食卓に欠かせない存在になりました。幕末の洛中で生まれた千枚漬は看板商品のひとつで、「塩と昆布」で聖護院かぶの旨みを存分に引き出す独自レシピが人気の秘密です。冬期は他に目にも華やかな「赤かぶの昆布漬」、滋賀の伝統野菜「日野菜の昆布漬」も名物。酸味を抑え、生姜とミョウガをきかせた「しば漬」、小カブを青シソや山椒の実と合わせた「小かぶら風味漬」は、通年販売の人気商品。白いご飯が恋しくなる逸品揃いです。
【商品名】千枚漬*、赤かぶの昆布漬*、日野菜の昆布漬*、小かぶら風味漬、しば漬
【賞味期限】約5日*、約1カ月
【取扱店】村上重本店、京都髙島屋 B1F 味百選など
*冬期限定品。「赤かぶの昆布漬」「日野菜の昆布漬」の2023-24年冬期の販売は終了
- 村上重本店
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- https://www.murakamijyuhonten.co.jp/
- 京都府京都市下京区西木屋町四条下ル船頭町190 MAP
- 阪急京都線「京都河原町駅」から徒歩約1分、京阪本線「祇園四条駅」から徒歩約3分
- 9:00~19:00
- 1月1日〜3日
- 075-351-1737
- 無し:商品購入でMIDパーキング(契約駐車場)が1時間無料
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