長崎県、雲仙・島原エリアの自然と歴史、文化を体感できる観光スポット8選
長崎県東南に位置する雲仙エリア。3つの海に囲まれ、中央に雲仙岳が鎮座する島原半島に位置しています。温泉など火山がもたらす恵みにあふれる島原半島は、日本初の「ユネスコ世界ジオパーク」にも認定。雄大な自然の他にも、鎖国時代唯一外国に開かれていた長崎ならではの歴史や文化も多彩で、訪れるたびに新たな感動に出合うことができます。定番から穴場まで、雲仙・島原エリアを存分に楽しめるスポットをご紹介します。
1雲仙地獄
噴気や香りに包まれ、地球の躍動を五感で体感
「地獄」とは温泉余土(岩石が変質して粘土化したもの)に覆われた一体のこと。地の底から吹き出す蒸気と熱気、硫黄の香りが一面を覆い尽くす光景は、まさに地獄そのものです。
雲仙地獄には最も噴気が盛んな「大叫喚地獄」をはじめ、「お糸地獄」や「雀地獄」など大小約30カ所の地獄があり、遊歩道を通って地熱を体感しながら地獄めぐりを楽しめます。現在も地獄そのものが数千年をかけ、温泉街を移動しているといわれており、2020年には新しい地獄も発見されました。さらに、ライトアップされる夜の地獄めぐりも幻想的で見応えがあります。
地獄の蒸気で蒸された、熱々の温泉たまごは必食
お糸地獄のそばにある「雲仙地獄工房」では、地獄の蒸気を使って蒸し上げた「温泉たまご」を販売しています。黄身が濃く、白身もプリッとしていて蒸し加減が絶妙で、繁忙期には1日2,000個を売り上げることも。近くには地熱で足元を温める「足蒸し」もあり、地獄散策のひと休みにもぴったりです。
雲仙地獄はかつてキリシタン殉教の地になったことでも知られ、現在は殉教碑と十字架が立てられています。荒々しい地球の躍動とともに、雲仙の歴史にもぜひ触れてみてはいかがでしょうか。
- 雲仙地獄
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- https://unzenonsen.unzen.org/watch/jigoku/
- 長崎県雲仙市小浜町雲仙320 MAP
- 界 雲仙から徒歩約2分
- 見学自由 ※雲仙地獄工房は10:00〜16:00
- 無休
- 無料
- 0957-73-3434 (雲仙温泉観光案内所)
- 無し
2仁田峠(にたとうげ)
全方位絶景! 四季折々の豊かな自然をロープウェイから
春は山肌をピンクに染めるミヤマキリシマ(ツツジの一種)、夏は眩しいほどの鮮やかな緑、秋は一面真っ赤な紅葉、冬はキラキラと輝く霧氷。島原半島の中央部に位置する仁田峠は、四季折々の表情で訪れる人を楽しませてくれます。
気軽に絶景を楽しむなら、展望360度の空中散歩ができるロープウェイがおすすめ。第一展望所の駐車場近くにロープウェイの駅があり、妙見岳(みょうけんだけ)山頂までつながっています。秋から冬の天気のいい日には、有明海はもちろん、運がよければ天草諸島まで見えることもあります。
自分のペースで自然を満喫できる、登山やドライブもおすすめ
トレッキングコースとしても人気の仁田峠。登山に挑戦する際は、普賢岳や妙見岳への登山口がある「池ノ原園地」の駐車場などに車を停めて出発するといいでしょう。体力と相談しつつ徒歩とロープウェイを組み合わせるのもおすすめです。
また、雲仙温泉街からは全長11.3kmの「仁田峠循環自動車道路(通行時環境協力金100円)」という自動車専用道路のスカイラインが通じており、車窓から島原市街地や有明海、さらには対岸の阿蘇の山並みまでの大パノラマが望めます。
ロープウェイや登山、ドライブと、楽しみ方は様々。旅のスタイルに合わせて、プランニングに組み込んでみてはいかがでしょうか。
- 仁田峠
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- https://unzen-dmo.com
- 長崎県雲仙市小浜町雲仙551 MAP
- 界 雲仙から車で約15分
- ロープウェイ運行始発8:51〜(乗車券販売は〜17:00※11/1〜3/31は〜16:48)
- 荒天時(点検などで運休の場合あり。雲仙ロープウェイのHPにて要確認)
- ロープウェイ片道830円、往復1,500円
- 0957-73-3572 (雲仙ロープウェイ)、0957-73-3639(雲仙観光局)
- 無料
- 仁田峠循環道路通行は4~10月 8:00~18:00(下り線ゲート18:45施錠)、11~3月8:00~17:00(下り線ゲート17:45施錠)
紅葉シーズン(10月下旬〜11月上旬の週末)は仁田峠循環自動車道路の通行事前予約を実施予定
雲仙ロープウェイの詳細はhttps://unzen-ropeway.comで要確認
3温泉(うんぜん)神社
温泉街にある、九州総守護「四面宮」の総本山
約1300年前、文武天皇が九州の守り神を祀る神社として建立。その昔、温泉と書いて「うんぜん」と発音していたという歴史から「うんぜんじんじゃ」と読みます。
明治期の神仏分離令の発布以前は「四面宮(しめんぐう)」の名を冠しており、地元では現在も「おしめんさん」の名で親しまれています。四面宮に起源のある神社は現在、島原半島を中心に計25社以上あるといわれており、その総本山がここ雲仙温泉街にある温泉神社です。
境内には恋愛成就、子孫繁栄のご利益がある「夫婦柿」も
境内には、様々な見どころがあります。中でも多くの参拝者が目がけて訪れるのが、社殿の脇にひっそりと寄り添うように立つ2本の柿の木「夫婦柿」です。恋愛成就や子孫繁栄などにご利益があるとされ、雲仙地獄の隣という立地もあり、温泉街散策の途中に祈願に訪れる人もたくさんいます。
さらに、ハート型の石がある「幸せの泉」や、休憩スペースの「四面庭(しめんてい)」、お茶を一服できる「四面庵(よもあん)」なども。参拝後の散策も楽しいひと時になるはずです。
- 温泉神社
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- https://www.unzen.org/spot/onsen_shrine
- 長崎県雲仙市小浜町雲仙319 MAP
- 界 雲仙から徒歩約1分
- 参拝自由
- 無休
- 無料
- 0957-73−3533
- 無料
4千々石(ちぢわ)海岸
普賢岳までを一望。風光明媚な海岸線を愛でる
森林文化協会と朝日新聞社が1982年(昭和57年)に一般公募により選定した「日本の自然100選」にも選ばれている、橘湾沿いの海岸。約2kmにわたって海岸線が弓なりに広がり、その美しい自然の地形を千々石展望台から眼下に見下ろすことができます。風光明媚な景色を眺めているだけで開放的な気分になり、時を忘れてしまいそうです。
「島原半島ユネスコ世界ジオパーク」の見どころである「千々石断層」も確認できます。千々石断層は現在でも年間およそ1.5mmの割合で沈降している活断層とのこと。活火山がもたらす大地の躍動を感じさせてくれる場所でもあります。
海上に祀られた、海の守り神・恵比寿様
千々石展望台から海岸線を南下すると現れる「福石公園」。ここには2つの大きな岩があり、海の守り神として片方に恵比寿様、もう片方には小さな鳥居と祠が祀られています。海をバックに佇むその姿はとても神秘的。商売繁盛や開運招福を願う恵比寿様に会いに足を運んでみてはいかがでしょうか。
空がブルーからオレンジのグラデーションに染まる、夕暮れ時の海岸の美しさも格別です。昼とは違ったロマンチックな雰囲気を楽しむことできます。
- 千々石海岸
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- 長崎県雲仙市千々石町 MAP
- 界 雲仙から車で約22分
- 0957-73-3434 (雲仙温泉観光案内所)
- 無料(千々石展望台を利用)
5雲仙ビードロ美術館
豪華絢爛なガラス作品の数々に目を奪われる
日本の近世ガラスの発祥の地といわれている長崎。鎖国時代、ポルトガルから長崎に伝わったガラスは、ポルトガル語でガラスを意味する「ビードロ」と呼ばれ、珍重されてきました。
「雲仙ビードロ美術館」では、江戸時代の吹きガラスや19世紀のボヘミアンガラス、オイルランプなど、約300点の作品をコレクションしています。きらびやかな展示作品の数々は、どれも見惚れてしまうほどの美しさです。時代や国ごとに分けてそれぞれの特色が分かりやすく展示されており、ゆっくりと鑑賞できます。
ハイカラでモダン。かつての雲仙の歴史と文化も紹介
明治から昭和初期にかけ、外国人の避暑地として人気を集めた雲仙。当時建設された木造ホテルで、現存している「雲仙観光ホテル」のテーブルセッティングを再現した展示室などもあります。洋式のホテルが立ち並ぶ当時の写真や、当時使われていた豪華な食器など貴重な作品や資料が多数。国際色豊かな雲仙の歴史を今に伝えています。
その他、陶磁器、漆器、絵画などのコレクションも充実。季節毎の企画展も開催しています。地元の作家をはじめ、新進気鋭の作家の個展も実施するなど、見応えのある美術館です。
- 雲仙ビードロ美術館
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- https://unzenvidro.weebly.com
- 長崎県雲仙市小浜町雲仙320 MAP
- 界 雲仙から徒歩約7分
- 9:30~17:00(時期により変動あり)
- 水曜、年末年始
- 大人700円、中高生500円、小学生300円、幼児無料
ガラスづくり体験は1,700円〜(メニューによって異なる) - 0957-73-3133
- 無料
- ガラスづくり体験は当日来館の際に受付が可能。ただし予約優先(電話にて受付)
6岩戸神社・岩戸水神
まるで別世界。森の中の洞穴にある神秘的な神社
樹齢400年以上の杉や檜が林立する、自然豊かな地に鎮座。巨大な岩石の洞穴の前に本殿が配され、岩石の洞穴自体が御神体といわれています。一の鳥居をくぐると、まるで別世界に来たかのような空気に。苔むす岩やそびえ立つ木々に囲まれた参道はとても霊験あらたかです。その雰囲気に引かれ、参拝に訪れる人がたくさんいます。
本殿までは徒歩5分程度。階段やスロープが整備されている場所もありますが、木の根がむき出しの舗装されていない道も。スニーカーなど歩きやすい靴で出かけるのがおすすめです。
こんこんと湧き出る、雲仙岳からの自然の恵み
本殿の西側には小さな滝つぼがあり、これが雲仙を流れる清流「西郷川」の源流の一つといわれています。この場所一体が水源の森なのです。
さらに、参道入り口そばには岩戸水神の水汲み場があります。雲仙岳の恵みの水がこんこんと湧き、川の底がはっきり見えるほどの高い透明度。川から直接水を汲むことができ、地元の方もよく利用しています。
神聖な空気に包まれ、一帯に神域が広がる岩戸神社。静寂の森に抱かれる時間が、旅のハイライトを飾ってくれることでしょう。
- 岩戸神社・岩戸水神
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- https://www.nagasaki-tabinet.com/guide/51685
- 長崎県雲仙市瑞穂町西郷丁2322 MAP
- 界 雲仙から車で約24分
- 参拝自由
- 無休
- 無料
- 0957-38-3111 (雲仙市観光物産課)
- 無料
7原城跡
世界文化遺産にも登録。「島原・天草一揆」終焉の地
1637年(寛永14年)に勃発した「島原・天草一揆」(島原の乱)の主戦場となった城跡。当時わずか16歳だったという天草四郎が、およそ3万7千人もの領民とともに、キリシタン弾圧などの幕府の政策に抵抗して原城に籠城しました。約3カ月後に一揆軍は敗退し、幕府軍は城を徹底的に破壊。そのため、原城は当時の姿をすっかり消してしまいました。
現在は遺構のみとなった原城跡ですが、城跡内には祈りをささげる天草四郎像や四郎のお墓があり、当時の悲しい歴史を今に伝えています。
遠くは対岸の天草の島々まで望む、圧倒的な開放感
丘に築かれた原城は周囲約4km、三方を有明海に囲まれ難攻不落の天然の要害と恐れられていました。城の面影はありませんが、海を挟んだ反対側の天草を望む景色はきっと当時と同じはずです。
原城跡の歴史について詳しく知りたい方は、観光ガイドによる案内を受けることも。他にも、手持ちのスマートフォンなどで体験できる、築城当時と島原・天草一揆当時の様子(イメージ)をフルCG映像で再現した「原城跡VR」もあります。キリシタン弾圧という悲しい歴史を風化させないために、今もなお当時の壮絶さを訴えかけている場所のひとつです。
- 原城跡
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- https://himawari-kankou.jp/learn/000524.php
- 長崎県南島原市南有馬町乙 MAP
- 界 雲仙から車で約30分
- 見学自由
- 無休
- 無料
- 0957-65-6333 (南島原ひまわり観光協会)
- 無料(「原城温泉 真砂」の駐車場、または国道251号沿いの原城跡専用駐車場を利用)
- 原城跡総合案内所でVR体験ができるタブレット端末の無料貸出しあり。 原城跡総合案内所 9:30~16:30、タブレット貸し出し 9:30~16:00
8島原城
青空に映える天守閣と美しい城郭を持つ、島原のランドマーク
藩主・松倉重政が1618年(元和4年)から約7年の歳月をかけて築城。明治期に入って惜しくも解体されますが、島原の人々の悲願が叶い、1964年(昭和39年)に天守閣が復元されました。
白色総塗込みの五層天守閣を中核に、大小の櫓を要所に配置した、安土桃山期の築城様式を取り入れた壮麗な城。外郭は周囲約4kmの長方形で塀をめぐらせています。特に、南東の大手御門跡から眺める島原城の美しさは格別で、青い空に白い五層天守閣がよく映えます。
城内には島原の歴史と文化を伝える資料館や記念館も
天守最上階からは、有明海をはじめ、晴れた日には熊本や天草まで見渡すことができます。1~3階は資料展示室となっており、藩主の甲冑や刀剣、キリシタン史料など、島原藩の歴史を辿ることができます。
「観光復興記念館」では映像などで雲仙岳の噴火活動の経過や、島原の歴史、文化、観光名所なども紹介。城内にはその他、島原半島出身の彫塑家で長崎平和祈念像の作者として知られる北村西望の代表作品を展示する「西望記念館」や、明治から昭和にかけての民具の数々を展示する「民具資料館」などもあります。
- 島原城
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- https://shimabarajou.com
- 長崎県島原市城内1-1183-1 MAP
- 界 雲仙から車で約36分
- 9:00〜17:30(最終入館17:00)
- 無休
- 入館大人700円、小・中学生、高校生350円(天守閣・観光復興記念館・西望記念館3館共通)
- 0957-62-4766
- 有料
MAP
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