都心から伊豆へ、さまざまな観光列車が運行。人気の列車を紹介
首都圏近郊では屈指のリゾートエリアである伊豆。電車でのアクセスも便利なので、往復の車内で料理やお酒を楽しみながら、伊豆の自然が描き出す景色を満喫できる、観光専用の列車が人気を集めています。2017年(平成29年)7月から運行を開始した伊豆急行の「ザ ロイヤルエクスプレス」をはじめ、JR東日本の「サフィール踊り子号」など、都心と伊豆を結ぶ観光列車が続々登場。旅気分を道中から盛り上げてくれる3つのおすすめ観光列車をご紹介します。
1THE ROYAL EXPRESS(ザ ロイヤルエクスプレス)
JR横浜駅と伊豆急下田駅を結ぶ「THE ROYAL EXPRESS(ザ ロイヤルエクスプレス)」は、2017年(平成29年)7月に運行を開始。「ななつ星in九州」はじめ、数々の観光列車を手がけた水戸岡鋭治氏がデザインしたことでも話題に。国内の観光列車としては最大級の8両編成で客車は、1・2号車の「ゴールドクラス」と7・8号車の「プラチナクラス」の2クラスで構成されます。
1号車は、ファミリーシートや木玉のプール、絵本図書館などを備えた家族向け。2号車はウォールナットを使用したシックな空間で、海側向けの2人がけシートなどが配置されています。7・8号車は、組子細工などの伝統工芸を設え、贅を尽くした空間が広がります。
キッチンカー1車両で伊豆の山海の幸を調理
3号車は、結婚式や展覧会など多目的に使えるスペースでオリジナルグッズも販売。4号車はキッチン車両とし、東京・南麻布「山田チカラ」の山田チカラ氏と、大分市「方寸」の河野美千代氏が監修するコース料理を提供。「プラチナクラス」は5・6号車の食堂車両へ移動して、4号車から運ばれてくる料理をいただきます。食事中は、ピアノやバイオリンによる生演奏もあり、列車の心地よい揺れと素晴らしい車窓の景色を堪能する時間は日常を忘れさせてくれます。
乗車プランは2種類。ゴールドクラスまたはプラチナクラスの片道乗車と食事がセットになった「食事付き乗車プラン」と、プラチナクラスの往復乗車・食事と伊豆でホテルのスイートルームに宿泊し、ハイヤーを利用した観光もセットになった1泊2泊の「クルーズプラン」があります。
- THE ROYAL EXPRESS(ザ ロイヤルエクスプレス)
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- https://www.the-royalexpress.jp/
- 食事付き乗車プラン40,000円〜(2名以上、1名料金)
クルーズプラン193,000円~(2名1室、1名料金)、 - 運行区間:JR横浜─伊豆急下田
所要時間:約3時間10分
運行日:月・金曜日 ※月により異なる
予約・乗車券購入方法:ホームページまたはTHE ROYAL EXPRESS ツアーデスク(03-6455-0644)より
2サフィール踊り子
特別な旅を演出する、サファイアブルーの煌めきと優美な空間
東京から伊豆・下田への旅を、上質で優雅な気分にしてくれると話題なのが、2020年3月に運行開始したJR東日本の観光特急列車「サフィール踊り子」。「サフィール」はフランス語でサファイヤの意。青く輝く伊豆の海と空の美しさをイメージしています。特徴は深みのあるサファイアブルーのボディカラーと流れるような角のないフォルム、そして全車両に設置された天窓。世界的に著名なデザイナー・奥山清行氏によるデザインは、外観も車内空間も全てがスタイリッシュでラグジュアリー感が漂い、移動中も優雅な時間を過ごせます。
8両編成の全てがグリーン席で快適、優雅に
1号車はJR東日本初の「プレミアムグリーン」。プライベート空間とくつろぎの空間を実現した独立型シートには本革を使用。座り心地は贅沢そのものです。座席上部のハンドルで窓側へと座席を回転させれば、好みの角度で雄大な景色を堪能できます。
2~3号車の「グリーン個室」はカフェをイメージした空間。1~4名用と1~6名用の2タイプがあります。伊豆の旅の記憶として「海」や「碧」を彷彿させるアイテムで彩られた室内装飾にも注目を。グリーン個室ではカフェテリアメニューをデリバリーで楽しめます。
ミシュラン星付きの名店が監修したメニューに舌鼓
4号車にはオープンキッチンのカフェテリアがあり、食事や飲み物などをオーダーできます。2021年4月からは、「ミシュランガイド東京」で高評価のイタリア料理店「Ristorante HONDA」の本多哲也シェフが監修した特製パスタが登場。新鮮なトマトの酸味がアクセントの「伊豆産フレッシュトマトのスパゲティ」や、リッチな味わいの「サザエとリングイネのジェノベーゼ」など「サフィール踊り子」限定メニューが楽しめます。
- サフィール踊り子
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- https://www.jreast.co.jp/saphir/
- 東京ー伊豆急下田間(大人1名)プレミアムグリーン12,460円、グリーン個室1~4名用(4名利用時)10,060円、グリーン車10,060円
- 運行区間:JR東京・新宿─伊豆急下田間
所要時間:約2時間30分
運行日:毎日
乗車券類購入方法:1号車(プレミアムグリーン)および5~8号車(グリーン車)はJR東日本の主な駅にある指定席券売機・みどりの窓口・ネット予約のえきねっとにて、2・3号車(グリーン個室)は指定席券売機・みどりの窓口にて販売
3リゾート21
気軽に伊豆の景色を楽しみたいという方には、JR東日本・伊豆急行がJR熱海駅─伊豆急行下田駅間で運行する「リゾート21(2100形)」がおすすめ。席は自由席で、普通運賃で乗車ができます。
デビューは1985年(昭和60年)。まさに観光列車の草分けで、新車両をデビューさせながら運行しています。大海原など海側の絶景を楽しむことを第一に考えた左右非対称の車内レイアウトは、今でこそ他の観光列車でも見かけますが、運行開始当時は大きな話題となりました。
海側の座席は窓の方を向け、窓も海側の方は大きくとられています。そして、先頭と最後尾の車両には、シートが階段状に配置された展望席が設けられ、前方や後方の大きな窓からパノラマビューが楽しめます。
海側に向かって横に並ぶパノラマシート
現在、運行している車両は2種類。下田に来航した黒船に見立てて黒色に塗装した「黒船電車」と、伊豆を代表する魚のキンメダイをイメージした赤い「キンメ電車」があり、車内でパネル展示を行うなど、伊豆のPR車両としても活躍しています。
1日2〜3便前後が走っていますが、自由席なので先頭車両の展望席や窓に向いた席などの人気席は早い者勝ち。始発駅では入線前から行列ができることもあります。
- リゾート21
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- http://www.izukyu.co.jp/dennsya/r21/index.html
- JR熱海─伊豆急下田/2,020円
- 運行区間:JR熱海─伊豆急下田
所要時間:約1時間40分
運行日:毎日
予約・乗車券購入方法:乗車駅にて購入
4特急「踊り子」
愛され続けて40年以上、伊豆の旅のロマンを乗せて走る特急列車
1981年の運行開始から長年愛されてきた185系車両が、2021年3月に惜しまれながら定期運用を終了。現在はE257系のリニューアル車両に統一され、新たな特急「踊り子」の魅力を味わいながらの鉄道旅が楽しめます。
車体で目を引くのは、豊かな自然に恵まれた伊豆の「空の色」と「海の色」をイメージしたという、「ペニンシュラブルー」の色合い。先頭車両は斜めに帯デザインが施されており、沿線に新たな原風景を作り出すフォトジェニックなビジュアルが人気を呼んでいます。
ブルーを基調にした洗練されたインテリア
静けさとくつろぎを追求した車内は乗り心地の良さも格別。普通車はスタンダードながら奥行き感のあるモダンな空間で、座席のモケット生地には伊豆を想起させる洗練されたブルーの濃淡がアレンジされています。車窓の風景は変化に富み、特に海側の席(A席側)からは、入り組んだ海岸線や打ち寄せる白波など心洗われる海景色が存分に堪能できます。
全車の座席窓側にコンセントが付いているのもうれしいポイント。荷物置き場のある車両もあり、スーツケースなどを携えての旅に便利です。3号車には自由にくつろげるフリースペースがあります。
- 特急「踊り子」
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- https://www.jreast.co.jp/yokohama/izu/train/odoriko.html
- 東京―伊豆急下田間(大人1名)普通車6,180円、グリーン車8,950円
- 運行区間:JR東京・新宿・池袋─伊豆急下田・修善寺間
所要時間:約2時間40分
運行日:毎日
乗車券類購入方法:JR東日本の主な駅にある指定席券売機・みどりの窓口・ネット予約のえきねっとにて販売