みちくさの達人
【2024年版】「祇園祭」の見どころ&楽しみ方

コンコンチキチン、コンチキチン。風雅な祇園囃子(ぎおんばやし)でおなじみの祇園祭は、京都の夏を代表するお祭。7月の1カ月間続き、町中が熱気や高揚感に包まれます。中でも7月17日と24日に行われる「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」と「神輿渡御(みこしとぎょ)」は祭りのハイライトで、大いに盛り上がります。その見どころや豆知識をご紹介します。

祇園祭を執り行う八坂神社。御祭神スサノヲノミコトに、疫病・災厄の退散を祈ります
祇園祭を執り行う八坂神社。御祭神スサノヲノミコトに、疫病・災厄の退散を祈ります

日本三大祭のひとつ「祇園祭」は、京都・祇園にある八坂神社の祭礼です。はじまりは、平安時代初期の869年(貞観11年)。全国に蔓延した疫病を鎮めるため、当時の国の数である66本の矛(ほこ)を立て、平安京の庭園であった神泉苑に神輿を送って祈ったことが由来とされています。祭のハイライトは、7月17日と7月24日に行われる「山鉾巡行」と「神輿渡御」。華麗な一大ページェントである山鉾行事は、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

「祇園祭」カレンダー

7月を通して行われる祇園祭の代表的な神事・行事スケジュールをご紹介。例年の日程を掲載していますが、内容変更の可能性もあるため、八坂神社山鉾連合会京都観光オフィシャルサイトなどで、詳細を確認してからお出かけください。

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7月17日の前祭を巡行する「船鉾」。大海原を悠々と進む船のよう!
7月17日の前祭を巡行する「船鉾」。大海原を悠々と進む船のよう!

祇園祭の主役は「神輿渡御」。一方、もう一つの主役である「山鉾巡行」は、八坂神社の神々を乗せた神輿を迎える前に、都大路を祓い清める役割があるといわれています。その魅力は歴代の町衆が贅を尽くし、互いに競い合うように作り上げてきた山鉾の絢爛豪華さ。超絶技巧の漆塗りに金工、刺繍、古今東西の織物などの名品が彩ります。「エンヤラヤー」の掛け声と祇園囃子の調べに乗って、山鉾が都大路を優雅に進む姿は息をのむほどの美しさ。「動く美術館」と称される理由はここにあります。

みちくさの達人コメント
山鉾には「鉾(ほこ)」と「山(やま)」の2種類があり、全部で34基。鉾は高さ約25m、重さは最大12トンで、中心に真木(しんぎ)がそびえるのが基本形。山は曳山(ひきやま)と舁山(かきやま)があります。

山鉾巡行を見るチャンスは、「前祭(さきまつり)」の7月17日、「後祭(あとまつり)」の24日の2回。前祭で23基、後祭で11基が登場します。神の使いであるお稚児さんが乗り、前祭の先頭を行く「長刀鉾(なぎなたほこ)」、船の形をした「船鉾(ふねほこ)」、からくりでカマキリが動く「蟷螂山(とうろうやま)」など、各山鉾の歴史や個性豊かなデザインも必見です。御池通には有料観覧席が設けられます。

みちくさの達人コメント
巡行最大の見せ場は、曲がり角で方向転換する「辻廻し」。音頭取りの合図で綱を曳き、ギシギシと大きな音をたてながら山鉾が回転する姿は圧巻! ただし、混雑必至のため、早めの現地到着がおすすめです。
前祭の宵山は14〜16日、後祭は21〜23日。提灯の灯り、ちまき売りの子ども声も祭気分を盛り上げます
前祭の宵山は14〜16日、後祭は21〜23日。提灯の灯り、ちまき売りの子ども声も祭気分を盛り上げます

山鉾巡行の1〜3日前に行われる「宵山(よいやま)」も、祇園祭に欠かせないお楽しみです。前夜祭にあたる行事で、各鉾町で美しく飾った山鉾をお披露目。懸装品や御神体人形の公開、厄除けのちまき(笹で作るお守り)や御朱印の授与もあります。あちこちから聴こえてくる祇園囃子の調べや子どもたちのわらべ唄を頼りに、山鉾町をそぞろ歩くのも一興。夕闇に浮かび上がる駒形提灯も幻想的です。例年の7月15・16日は、烏丸・四条通一帯が歩行者天国に。露店も並び、にぎわいは最高潮に達します。

みちくさの達人コメント
実際に搭乗できる山鉾も多いので、ぜひ間近で鑑賞を(500〜1,000円程度)。後祭の宵山は見物客が比較的少ないため、しっとりと落ち着いた雰囲気です。
17日の神幸祭のようす。3基の神輿が集まる祇園界隈は興奮のるつぼに
17日の神幸祭のようす。3基の神輿が集まる祇園界隈は興奮のるつぼに

優美な山鉾巡行と一転し、勇壮な激しさを見せるのが「神輿渡御」。巡行当日の夕方、八坂神社の御祭神を乗せた3基の神輿が町をめぐり、清める神事です。「ホイット ホイット」というかけ声に合わせ、氏子たちが2トン余りある神輿を揺さぶりながら舁(か)く姿は迫力満点。まばゆい輝きを放つ神輿も神々しいものです。次第に高まる熱気、舁き手と沿道の観客が一体となって生まれる高揚感は唯一無二の体験。山鉾だけ見て帰るなんて、もったいない。ぜひ合わせて訪ねてみてください。

みちくさの達人コメント
7月17日の神輿渡御は「神幸祭(しんこうさい)」と呼ばれ、八坂神社の神様が 町へお渡りになる日。四条寺町の御旅所(おたびしょ)に 7日間 鎮座され、24日の「還幸祭(かんこうさい)」で八坂神社へお還りになります。
青もみじが美しい嵐峡にて。大堰川に浮かべた屋形舟の上で、鷹山の囃子方が祇園囃子を奏でます
青もみじが美しい嵐峡にて。大堰川に浮かべた屋形舟の上で、鷹山の囃子方が祇園囃子を奏でます

各施設が独創的なテーマで、圧倒的非日常を提供する「星のや」。京都府・嵐山にある全室リバービューの旅館「星のや京都」は、2024年6月15、16日、22日、23日の4日間、京都の夏を優雅に楽しむ催し「京のお囃子舟」を開催します。街中で聴く祇園囃子とは違う風情で、嵐峡に響き渡るコンチキチンの音色を優雅に楽しめる催しです。約200年ぶりに山鉾巡行に復活した鷹山が山鉾から屋形舟に舞台を移し、星のや京都の目の前を流れる大堰川(おおいがわ)で祇園囃子を奏でます。祇園囃子を鑑賞した後は、参加者限定で囃子方と合奏に興じ、貴重な体験をすることができます。かつて大堰川で舟遊びをしていた平安貴族さながらに京都の夏の訪れを優雅に楽しめる催しです。
→「京のお囃子舟」詳細はこちら

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