北海道新幹線「グランクラス」と道南いさりび鉄道「ながまれ海峡号」で行く、函館・道南の旅

こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。

私は今、東京駅におります。これから新幹線のグランクラスに乗るのです。新しもの好きなので、すでに東北新幹線のグランクラス、北陸新幹線のグランクラスには開業と同時に乗りました。
グランクラスは特別なサービスが受けられる車両。できることならなるべく長く乗っていたい……というわけで、今回は最長距離でグランクラスを楽しめる、東京〜新函館北斗駅間に乗車し、函館・道南エリアへ鉄道旅に出かけます。

この記事を担当したみちくさの達人

  • 旅して描(書)く!漫画家&文筆家

    やすこーん

    駅弁・駅そば・温泉・お酒を楽しみながらの鉄道ひとり旅が好き。食べた駅弁の数は2500個以上。著書は「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」(玄光社)ほか。「旅行読売」で漫画「猫に駅弁」連載中。

    みちくさの
    達人
走行するE5系新幹線(写真:坪内政美)
走行するE5系新幹線(写真:坪内政美)

グランクラス(GranClass)東北・北海道新幹線(E5系・H5系)、北陸新幹線(E7系・W7系)、上越新幹線(E7系)の一部の新幹線に設けられた特別車両。グランクラスを利用するには、運賃と特急料金のほか、グランクラス料金がかかります。グランクラスでも、車内サービスのない新幹線がありますのでご注意ください。

グランクラス車内の様子(写真提供:JR東日本)
グランクラス車内の様子(写真提供:JR東日本)

車内には1列+2列のシートが並び、全部で18席しかないのでとてもゆったり。スーツケースを持って行きましたが、荷物を足元に置いても余裕で足が伸ばせます。さっそく靴を脱ぎ、備え付けのふかふかのスリッパに履き替えました。

シートは横にあるリモコンで、45度まで倒せます。バックシェル方式だから後ろの方に全く影響はありません。レッグレストやフットレストも上がるので、ほぼ体を横にしてくつろぐことができます。

みちくさの達人

グランクラスは東京発(下り)だと新幹線の先頭車両にあります。

ウェルカムセットのサービス(写真提供:JR東日本)
ウェルカムセットのサービス(写真提供:JR東日本)

新幹線は9時半頃に出発。まもなく専任アテンダントさんがウェルカムセット(お水、おつまみ、おしぼりなど)を配り始めました。軽食メニューは洋食と和食の2種から1つを選べます。どちらも大好きなとうもろこしが使われていたため悩みましたが、和食を選択。こちらは和食料理人の野﨑洋光さんが監修されています。

ちなみにこの夏メニューは7月〜9月の間の提供。春夏秋冬の季節ごとにメニューが変わります。

和軽食の「庄内の味覚」(写真提供:JR東日本)
和軽食の「庄内の味覚」(写真提供:JR東日本)

山形の庄内地方の郷土料理や、その地の素材を使ったお料理は、高級感のある黒い箱で提供されます。揚げなす含め煮が、とてもしゅんでいておいしい。蒸し鶏の味付けは、お酒によく合います。全体の量は少なめなので、あっという間に食べてしまいました。

ワインと日本酒(写真提供:JR東日本)
ワインと日本酒(写真提供:JR東日本)

そうそう、お料理に合わせて、まずは白ワインを頼みました。赤・白ワインと日本酒は、それぞれの小瓶にグランクラス専用ラベルが付いています。やはり特別感のあるものを選びたいですよね。お酒はほかにビール、コニャックなどがあります。

お茶菓子のパウンドケーキ(写真提供:JR東日本)
お茶菓子のパウンドケーキ(写真提供:JR東日本)

そして最初に配られたおつまみにも手を伸ばします。おつまみの袋には、甘酸っぱい青森りんごとナッツが入っていたので、次に赤ワインを選んで正解でした。

さらに希望すると、お茶菓子もいただけます。こちらはグランクラスオリジナルの福島県産桃ジャムのパウンドケーキでした。甘いものを食べながら赤ワインを飲むのも大好きです。最後にコーヒーをいただきました。

みちくさの達人

お願いすると、グランクラスマークが入った紙製の靴べらがもらえますよ。

1列席側のシート(写真提供:JR東日本)
1列席側のシート(写真提供:JR東日本)

お腹がふくれ、シートの快適性を楽しみつつ、うとうとしていましたが、「まもなく青函トンネルです」というアナウンスで目が覚めました。北海道新幹線で特に楽しみなのは、津軽海峡の海底を走るこの青函トンネルです。

かつて北海道へ行く際は、寝台特急「北斗星」などが青函トンネルを渡っていましたが、現在は、主にこの北海道新幹線でしか通ることはできません。

先頭にある電光掲示板にも「青函トンネルの長さは53.85km」と案内が表示されました。この長さは日本一。さらに深さは海面から240メートルほど下にあり、世界一を誇るそう。そんな海底を走っているのだと想像すると、ワクワクしませんか?
飛行機では味わえないこの体験、北海道新幹線に乗車した際は、この貴重な機会をお見逃しなく。

グランクラスロゴ(写真提供:JR東日本)
グランクラスロゴ(写真提供:JR東日本)

ところで普段から「列車はただの移動手段ではない」と書いている私ですが、新幹線となると、正直、移動のためだけに乗ることも少なくありません。しかしグランクラスの場合、ハイクラスの車両でのおもてなしや飲食が加わったことで、途端に高級な観光列車に乗ったかのような旅感が出てくるから不思議ですね。

みちくさの達人

新幹線の乗車を単なる「移動」とするか、「旅」とするかはあなた次第です!

JR函館駅
JR函館駅

東京から約4時間、13時半過ぎに新函館北斗駅に到着。函館ライナーに乗り換え、函館駅へ。函館は何度も来ている街なので、安心感があります。

これから乗車する「ながまれ海峡号」は、道南いさりび鉄道の観光列車。先程まで、最新鋭の新幹線に乗っていましたが、今度は古い国鉄型キハ40系を改造した、対照的な列車に乗ります。キハ40系は、電気で動く「電車」ではなく、ディーゼルエンジンで走る「気動車」です。

JR北海道ではキハ40系の定期運行はなくなってしまいましたが、道南いさりび鉄道はキハ40系を8両も通常運行しています。このうち1980年製の2両に「ながまれ海峡号」のラッピングがされています。貴重な古い車両に乗れるというのも、鉄道好きには楽しみです。

「ながまれ海峡号」は1両編成(写真:坪内政美)
「ながまれ海峡号」は1両編成(写真:坪内政美)

ルートとしては、函館駅を出発し、終点木古内駅へ。そこから折り返してまた函館駅に戻ってきます。その間、約4時間10分。先程乗車した北海道新幹線と同じくらいの時間です。移動距離はだいぶ違いますけどね。

この日はとても暑い日でしたが、乗り込んでみると、なんとクーラーがありません。車内に扇風機はあるものの、暑がりの私に耐えられるでしょうか……。

しかしキハ40系は、昔の車両なので窓を開けることが可能。窓から気持ちいい風が吹き込んできました。こういうところに旅を感じます。

みちくさの達人

風を受けながら列車に乗れる体験は、古い車両ならではです。

「ながまれ海峡号」車内、手前のロングシートが1人用座席
「ながまれ海峡号」車内、手前のロングシートが1人用座席
ボックスシートは2名〜4名用の座席
ボックスシートは2名〜4名用の座席

車内は漁で使う網や魚のぬいぐるみ、ガラスの浮きなどが飾られています。手作り感のあるアットホームな内装です。
テーブルの上にはドリンクとお菓子がすでに用意されていました。ドリンクは函館ビールまたは北海道のソウルドリンク、小原のコアップガラナが選べます。私はもちろんビール。ちなみに最初のドリンクは、旅行代金に含まれています。

列車のプリントクッキーがかわいいお菓子たち
列車のプリントクッキーがかわいいお菓子たち
道南いさりび鉄道社員のみなさんがお見送り
道南いさりび鉄道社員のみなさんがお見送り

列車は函館駅を15時50分に出発。まもなく沿線にある道南いさりび鉄道本社の方たちが、手を振ってお見送りしてくれました。

さっそくビールを飲みたいところですが、私は何か食べながら飲むのが好きなので、16時半近くに到着する上磯駅まで我慢。
上磯駅ではホームで地元特産品の立ち売り販売が行われます。車内では立ち売り販で使える500円券が配られました。

上磯駅の立ち売りでホッキしゅうまいを買う
上磯駅の立ち売りでホッキしゅうまいを買う

実は「ながまれ海峡号」は7年前の秋に一度乗ったことがありました。その時に立ち売り販売で「ホッキしゅうまい」を買ってみたら大変おいしかったので、またそれを500円券でゲット!

このしゅうまいとビールの組み合わせが最高なんです。ホッキ貝は北海道の太平洋沿岸部を中心にとれる貝。口の中にいつまでも残る旨みがたまりません。お酒とおつまみ、その地のもの同士を合わせるのが本当に大好きです。

車内から見る国鉄色キハ40系と函館山
車内から見る国鉄色キハ40系と函館山

トンネルを抜けると、すぐ左に海と函館山が見えてきました。矢不来信号場という場所で、列車はしばらく運転停車。時間はたっぷりあるので、海と函館山の写真撮影などをしましょう。列車も何本か通っていきました。

渡島当別駅
渡島当別駅

次に列車はトラピスト修道院入口となる駅、渡島当別駅に10分ほど停車。駅舎そのものが教会のようなシルエットです。駅構内もステンドグラスなどが飾られ、雰囲気がありました。

木古内町キャラクター「キーコ」と記念撮影
木古内町キャラクター「キーコ」と記念撮影

その先はしばらく海沿いを走っていきます。車内では、道南いさりび鉄道の社員さんが、見どころなどを案内してくれました。
18時近くに終点の木古内駅に到着すると、駅ではお迎えしてくださる方々が。さらになんと、「ながまれ海峡号」の車両2両(片方は普通列車として運行)がホームで並びました! これは貴重です。

木古内駅には「道の駅みそぎの郷きこない」があり、約40分停車するので、その間にお店でお酒などを買うことができます。私は名物だという「塩ソフトクリーム」を食べました。

みちくさの達人

食事が出るのは木古内駅から。持ち込み自由なので、何か買って乗っても大丈夫です。

パスタセットと赤ワイン
パスタセットと赤ワイン

辺りが薄暗くなってきた18時半過ぎに木古内駅を出発。車内に戻ると、テーブルにパスタセットが用意されていました。メニューは「シェフのおすすめ!アマトリチャーナ」と「森町ひこま豚のローストポーク&サラダ」、「コッペん道土 ぱくぱく塩パン」の3種。

さらに車内販売で赤ワインを購入しました。パスタもパンも、ワインにとてもよく合います。いきなりメインが来た感じですが、ここからこの列車は本気を出してきます。

茂辺地駅でバーベキュー
茂辺地駅でバーベキュー

19時、茂辺地駅に到着しました。茂辺地駅ではなんと、ホームでバーベキューをしています。 

海鮮を焼くいい匂いが辺りを漂います。こちらでいただけるのは「いさりび焼き弁当」。網で焼かれた、ほっき貝、アオツブ、ホタテが、サラダとザンギが入った箱に入れられます。

ラストに出てくる食事
ラストに出てくる食事

それを持って列車に戻ると、今度は「しそ味」おにぎりと、いなり寿司、卵焼きにお漬物。さらにパウンドケーキが配られました。ラストスパートで列車内は大食い大会さながらに。これでもか!と来る食事、これがこの列車の特徴です。それにしてもすごい量ですよね!

みちくさの達人

前回もそうでしたが、おにぎりなどは食べきれずに持ち帰りました。

茂辺地駅から大漁旗でお見送りしてくれたみなさん
茂辺地駅から大漁旗でお見送りしてくれたみなさん

茂辺地駅を19時20分頃に出発し、函館駅は20時に到着。かなりお腹がいっぱいです。お腹がふくれると、精神的にも満足感が得られます。旅の終盤がこれなので、旅自体も大満足して終了。ああ、楽しかった。

午前中は最新型の新幹線、午後は国鉄型キハ40系気動車に乗車しました。車両はもちろん、車内での過ごし方含め、両極端な違いを楽しめた1日でした。しかしどちらも乗客を最大限におもてなししてくれるのは共通項です。

こんな風に乗り比べてみるのは大変おもしろかったので、ぜひみなさんにもおすすめしたいです。

※掲載の内容は、記事更新日時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。