みちくさの達人
ご利益満載の授与品に、絶品おやつも。京都・祇園祭の限定アイテムたち

京都の夏の風物詩といえば「祇園祭」。「動く美術館」と称される華麗な山鉾巡行、宵山めぐりなどお楽しみはたくさんありますが、祭の時期にだけ手に入る限定品もお見逃しなく。ここでは毎年人気の山鉾の授与品、老舗が手がける絶品菓子、雑貨などをご紹介します。どれも祭にゆかりがある縁起物。買い忘れのないよう、旅行前にチェックしてからお出かけください。

今から千年以上前、疫病の退散を願ってはじまった祇園祭。その伝統を今に伝えるのが、笹を束ねて作る厄除けのお守り「ちまき」です。34基の山鉾と八坂神社で授与されるのですが、どれも趣向を凝らした意匠で目移りしてしまうほど。各山鉾には歴史やお祀りする御神体にちなんだご利益があるので、その内容で選ぶのもおすすめです。たとえば、前祭の「保昌山(ほうしょうやま)」は縁結び、「郭巨山(かっきょやま)」は金運上昇、後祭の「鈴鹿山」は雷除けや安産、「鯉山」は立身出世。購入したちまきは家の玄関や門に吊るして、疫病神を追い払いましょう。

授与期間:八坂神社(7月1日〜31日)、前祭の山鉾(宵山7月14日〜16日)、後祭の山鉾(宵山7月21日〜23日) ※いずれも、なくなり次第終了

山鉾巡行の前夜祭にあたる宵山では、全34基の山鉾に「御朱印スタンプ」が設置されます。旅の記念に、訪ねた場所のスタンプを集めてみてはいかがでしょうか。志納料は100円〜500円ほど。祇園祭を催行する八坂神社や一部の山鉾では、流麗な筆文字の御朱印をいただくことができます。書店や雑貨店では、祇園祭専用の御朱印帳も販売されます。

授与期間:上述のちまきに同じ

山鉾の授与品はちまきだけではありません。お守りに扇子、巾着、文具、日本酒とバリエーションがとても豊富です。特にファンが多いのが手ぬぐいで、伝統的な図案からポップアートのようなデザインも。毎年新作を出す山鉾もあり、集める楽しさがあります。また、手のひらサイズのかわいい人形も人気です。ぷっくりとした顔の紅白の鳩は「八幡山」の鳩鈴で、子どもの夜泣き防止のご利益があります。ほら貝は「役行者山(えんのぎょうじゃやま)」のおみくじです。

おみくじといえば、ぜひ訪ねてほしいのが「蟷螂山(とうろうやま)」。屋根の上にからくりで動く巨大カマキリ(蟷螂)が乗っているのですが、これを模したおみくじが前祭の宵山に登場します。自分でハンドルを回すとカマキリがくるりと一回転して、おみくじを届けてくれるのですが、その姿がなんとも愛嬌満点。毎年長い行列ができるので、比較的空いている昼間が狙い目です。

菊水鉾の「したたり」

祭にちなんだお菓子がたくさん並ぶ7月の京都は、甘いもの好きにとっても幸せな季節。特に山鉾では、老舗の銘菓を堪能できます。こちらは高倉通蛸薬師の「亀廣永」が手がける、菊水鉾への献上菓子。菓銘は鉾と同様に、かつて町内にあった名水「菊水の井戸」が由来です。冷やして食べるとみずみずしい口当たりで、黒糖の上品なコク、甘みにも癒されます。透き通った琥珀色も涼やかで、まさに菊の花からしたたる露のよう。菊水鉾で開かれるお茶会でも供されます。

販売期間:7月13日〜16日
販売場所:菊水鉾
※亀廣永では通年販売されています(京都市中京区高倉通蛸薬師上ル和久屋町359)

占出山の「吉兆あゆ」

占出山(うらでやま)は、別名「鮎釣山」。神代の昔、神功皇后が鮎釣りをして戦勝を占った伝説が由来です。これにちなんで、7月13日〜16日限定で「吉兆あゆ」という縁起のよいお菓子を販売しています。これは「若あゆ」の名で親しまれる夏の定番菓子で、カステラの薄焼きで求肥を包んだもの。鮎のぴんと上がった尻尾、つぶらな瞳も愛らしい。山鉾町にもほど近い、「大極殿本舗」の謹製です。

販売期間:7月13日夕方〜、14〜16日 ※数量限定
販売場所:占出山

鷹山の「食べられるちまき」

祇園祭で「ちまき」といえば厄除けのお守りですが、「食べられるちまき」を販売している山鉾もあります。そのひとつが、2022年に196年ぶりに山鉾巡行に復帰した鷹山。1708年(宝永5年)創業、鷹山と同じ三条通にある「伊勢源六たちばなや」が、店に湧く清冽な地下水を用いて作っています。笹の葉にくるまれたお餅は、香りが爽やか。もちもちとした食感、ほのかな甘さが美味です。冷やしてどうぞ。

販売期間:7月21日〜23日
販売場所:鷹山

三條若狭屋「祇園ちご餅」

続いて、街のお菓子屋さんに並ぶ逸品をご紹介。特に有名なのが大正時代に生まれた三條若狭屋の「祇園ちご餅」で、ちまき形のパッケージ入り。祭で神の遣いとなる「お稚児さん」に振る舞われる餅をヒントにしているそうで、甘く炊いた白みそを求肥でくるみ、氷餅をまぶしています。通常の箱入りのほか、鉾をかたどったケース入りも人気。食べ終わったら、そのまま飾って楽しめます。

販売期間:通年
販売場所:三條若狭屋、大丸京都店、京都タカシマヤ
http://www.wakasaya.jp/

亀屋良長の「宵山だんご」

山鉾町のご近所、四条通の老舗店「亀屋良長」にも祇園祭にちなんだ商品がお目見えします。こちらは、山や鉾の前に飾られている「駒形提灯(こまがたちょうちん)」に見立てたお菓子。白みそ入りの餡をやわらかな求肥で包み、八坂神社の紋の焼印がそっと押されています。ほんのり透けてみえるピンク色の餡が、夕暮れ時に点った提灯の灯りのよう。ほかにも祭の意匠をあしらった銘菓がいくつか登場するので、ぜひお店をのぞいてみてください。

販売期間:7月10日〜7月17日頃まで(なくなり次第終了)
販売場所:亀屋良長(本店、ジェイアール京都伊勢丹店)、京都タカシマヤ
https://kameya-yoshinaga.com/

nikinikiの「季節の生菓子」

京都銘菓の「八ッ橋」にも、祇園祭バージョンが登場。こちらは聖護院八ッ橋総本店がプロデュースする「nikiniki(ニキニキ)」が、生八ッ橋で仕立てる7月の生菓子。写真は2022年の例で、かわいいひと口サイズながら、鉾や祭提灯、山鉾の先導役が細やかに表現されています。デザインは毎年異なるので、どうぞお楽しみに。おなじみのニッキの風味が効いた生地は、しっとり、もちもち。中はこしあんや白あん入りです。

販売時期:7月(数量限定のため予約がおすすめ)
販売場所:nikiniki、nikiniki à la gare(京都駅八条口1F 京都おもてなし小路内)
https://nikiniki-kyoto.com/

京あめ クロッシェの「祇園祭限定フレーバー」

京あめの老舗が手がける「クロッシェ」は、ガラス細工のように繊細で美しい色彩が魅力のブランドです。限定フレーバーは、赤と黒のコントラストが艶やかな「祇園山鉾」(黒すぐり風味)、まるい鞠形の「祇園御神輿」(カシスオレンジ風味)、「祇園囃子」(バナナ風味)の3種類で、眺めるだけで祭の情景が浮かんでくるよう。ミニサイズの「雛 HIINAシリーズ」には3個セットがあり、7月限定の鉾ケースを選ぶこともできます。

販売時期:6月頃〜7月下旬頃(なくなり次第終了)
販売場所:クロッシェ直営店(京都本店、京都タワーサンド店、ジェイアール京都伊勢丹店、嵐山AKOGAREYA店)
https://select.crcht.com/

いづ重の「鱧姿ずし」

祇園祭を別名「鱧祭」というように、京都の夏のごちそうは「鱧(はも)」。梅雨の雨を飲んでおいしくなるといわれる鱧が、祭りと同じ時期に旬を迎えるのがその理由です。お造りや椀物も美味ですが、祭といえばやっぱりお寿司。1868年(明治45年)創業、八坂神社の石段下に店を構える京寿司店「いづ重」では、脂が乗った淡路沼島産の活ハモを使用。これを創業以来継ぎ足してきた秘伝の甘辛タレで、ふっくら香ばしく焼き上げています。

販売時期:夏季〜初秋
販売場所:いづ重
https://gion-izuju.com/

日常づかいの文具や小物でも、素敵なデザインに出会えます。躍動感ある山鉾巡行や宵山を描いた絵ハガキは、創業350年以上の寺町通の和文具店「鳩居堂」製。暑中見舞いにおすすめです。全34基が揃う山鉾スタンプは、新町通四条の老舗印章店「京都インバン」で購入できます(1点から購入可能)。マスキングテープとぽち袋は、「伝統だって、かわいくなくちゃ」をテーマに展開する「乙女の祇園祭」プロジェクトのもの。地元の鉾町にあるデザイン会社が手かげており、ポップな御朱印帳も話題です。

鳩居堂 https://kyukyodo.co.jp/
京都インバン http://www.inban.co.jp/
乙女の祇園祭 https://otomenokyoto.stores.jp/

鉾町の中心である室町通や新町通は、長い歴史のある呉服の問屋街。山鉾の発展を数世紀にわたり支えてきた存在として知られています。そんなご縁から、宵山期間はあちこちで着物や浴衣、帯などのワゴンセールが行われています。浴衣を買うと、その場で着付けてくれる店も。浴衣姿にぴったりのかんざしや和小物もあるので、ぜひそぞろ歩きを楽しんでください。

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