STRATEGY
経営戦略
教 科 書 通 り の 経営
私たちが目指しているのは、長期にわたり競争力を維持し続ける自律した組織です。1914年に長野県軽井沢に誕生した温泉旅館が、厳しい環境下では持続性を重視し、成長の機会には果敢に挑戦してきた結果、今の星野リゾートがあります。
その背景にあるのが「教科書通りの経営」です。
変わりゆく市場環境の中で頼るべきは、直感ではなく経営の定石だと考えます。教科書通りの経営判断をしつつ、時代の変化を捉えて、いざというときには大胆に道を切り拓いていくことを常に大切にしてきました。
これからご紹介する戦略の基本概念は、マイケル・ポーターの競争理論を教科書にしています。生産性のフロンティアを達成し、トレードオフをともなう活動を選択し、それら活動間のフィット感を醸成する。この理論に忠実であることを通して、競合他社に真似されにくいポジションを確保し、世界的に展開しているホテル運営会社が多く存在する中においても、収益率を高く維持しながら成長できると考えています。
星野リゾートの基本戦略
Branding
Branding
旅のニーズは、全国各地の色々なところに行って楽しむところにあると考えています。そうしたニーズを満たすためにも星野リゾートは、「旅を楽しくする」ことをブランドプロミスとして掲げ、全国各地で地域の特色を活かした個性豊かな施設を展開しています。
競争市場の中で選ばれるために欠かせないのが、ブランディングです。私たちは、ブランドとは他でもないお客様の体験そのものであると考えています。顧客体験を作るのは、全国各地で働くスタッフであり、そこでしか味わえない地域の魅力を提供し、期待を超える顧客体験を作ることで全スタッフがブランドの維持、強化に努めています。
Flatな
組織文化
Flatな
組織文化
文化とは、その組織にとって当たり前になっていることです。世界で通用するホテル運営会社になるための戦略として、星野リゾートはFlatな組織文化を大切にしてきました。Flatな組織文化とは、職責に関係なく、誰もが対等な立場で侃々諤々(かんかんがくがく)と議論ができる文化のことを指します。鮮度の高い情報を持っているのはお客様に最も近いサービスチームのスタッフです。サービスチームのスタッフ一人ひとりが自由に発想し、チームでフェアに議論を重ね、自らの頭で考え、正しい経営判断ができることが星野リゾートの強みであり、企業としての競争力に繋がっています。
運営特化
&REIT
運営特化
&REIT
星野リゾートは1992年から運営特化戦略を選択しています。軽井沢の老舗リゾートにとって、少資本・低リスクで多拠点化するには、運営に特化し、展開のスピードを速め、スケールメリットで運営の効率を上げることが大切だと考えたためです。
その後、運営会社として世界で通用する競争力をつけるために、安定して長く所有してくれるパートナーの必要性を感じ、2013年に日本で初めて観光に特化した不動産投資信託(リート)を立ち上げました。一般投資家が観光産業の成長に投資できる環境を整えたことは、観光産業を一流産業にするための大きな一歩であったと考えています。
サービス
チーム
サービス
チーム
星野リゾートの競争力の源泉はサービスチームという働き方にあります。サービスチームは、運営に関わるすべての業務を分断せず、商品開発(構想)から商品提供(実行)まで一貫して担当することを特徴としています。 基本業務は、フロントサービス、レストランサービス、客室清掃、調理であり、これらをマルチタスクで行うことで、多くの顧客接点を持つことができます。様々な顧客接点で得た気づきや、顧客満足度分析結果をもとに、新たな魅力を創出したり、業務設計・改善を行うことで、チームでお客様の滞在を演出しています。
サービスチームの仕事においても教科書通りにマーケティング理論に基づくことが重視されており、全スタッフが常に経営視点を持って、自身で判断し動くことが求められます。この独自の仕組みを競争力として、究極の顧客志向で、星野リゾートに関わるすべてのステークホルダーに価値を提供し続けることを目指しています。
独自の
魅力づくり
独自の
魅力づくり
その地で暮らしているからこそ分かる魅力を、スタッフ自身が感じ、チームで磨き、伝えていく。これが星野リゾートの「独自の魅力づくり」です。
スタッフが熱い想い、こだわりを持って、体験としてその地域の魅力を届ける。訪れたお客様は旅を通じてその地域を知り、文化を知る。ホテル運営を通じて経済効果を生むだけではなく、その地にしかない自然環境と、その環境が育んできた文化的資産を守り、次世代に継承していく。その一連の活動が星野リゾートにおける魅力づくりだと捉えています。
この使命を果たすためにも、星野リゾートのスタッフは、表面に表れるお客様のニーズに答えるだけでなく、様々な技能を身につけ、マーケティング志向で魅力を創出することに取り組んでいます。