ご当地サポーター
心が豊かになる、金沢のアートなスポットへ

工芸とアートの街・金沢には、新旧のアートスポットがたくさん揃っています。広場のような美術館で現代アートを楽しんだり、古九谷の色あせない美しさにほれぼれしたり、大正ロマン漂う建物を探訪したり…。心がときめく6つのスポットをご紹介します。

金沢を代表する現代アートの拠点

パトリック・ブラン「緑の橋」 2004 年 撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ 提供:金沢 21 世紀美術館
パトリック・ブラン「緑の橋」 2004 年 撮影:中道淳/ナカサアンドパートナーズ 提供:金沢 21 世紀美術館

金沢のアートスポットを代表する現代アート美術館。2004年に開館し、近年では年間200万人以上が訪れる人気スポットです。ガラス張りになった円形の建物は四方どこからでも入りやすく、トップライトなどから陽が差し込んで開放感たっぷり。無料の交流ゾーンも充実していて、屋外の芝生エリアにも様々な作品が展示されています。「緑の橋」は、ガラスの廊下をまたぐように、壁の両面が多様な植物で覆われた作品。南北の各面で印象が異なるのも特徴的で、四季折々の植物が目を楽しませてくれます。

展示空間そのものを楽しむ作品も

アニッシュ・カプーア「L’Origine du monde」2004 年 提供:金沢 21 世紀美術館
アニッシュ・カプーア「L’Origine du monde」2004 年 提供:金沢 21 世紀美術館

有料の展覧会ゾーンにある「L’Origine du monde」は、薄暗い展示室そのものが作品になっています。足元から天井まで部屋いっぱいに傾斜したコンクリートの壁面に、巨大な楕円形の色面が広がっていて、奥に窪んで見えるかと思ったら盛り上がって見えたり、こちらに迫ってくるように見えたりと、目の錯覚によって表情が変わる作品です。他にも、深い水で満たされたプールのように見えるレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」など、ゆっくり鑑賞したい作品が目白押しです。

撮影:渡邉修 提供:金沢 21 世紀美術館
撮影:渡邉修 提供:金沢 21 世紀美術館
金沢21世紀美術館
  • URLhttps://www.kanazawa21.jp/
  • 住所石川県金沢市広坂1-2-1 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅から北鉄バス城下まち金沢周遊バス「右・左回りルート乗車約20分、「広坂・21世紀美術館」下車徒歩すぐ
  • 営業時間展覧会ゾーン10:00~18:00、金・土曜日は~20:00
    交流ゾーン9:00~22:00
  • 定休日月曜日(祝日の場合は翌平日休み)、2019年12月20日~2020年2月3日は改修工事のため全館休館
  • 入場料展覧会ゾーン有料(展覧会により異なる)、交流ゾーン無料
  • TEL076-220-2800
  • 駐車場有料(30分無料)

海外にZENを伝えた鈴木大拙の思想に触れる

水鏡の庭。ときおり発生する波紋や、空や木々を映す水面に心が洗われます
水鏡の庭。ときおり発生する波紋や、空や木々を映す水面に心が洗われます

鈴木大拙は、東洋の思想や日本文化を欧米に広く伝えた金沢出身の仏教哲学者です。鈴木大拙館は大拙の生家近くに、その考えや足跡を知り、思索する場になるようにと開設されました。世界でも名高い建築家が手がけた建物は、石垣や水景などによって金沢らしい景観を創造し、その中で大拙の世界が展開されています。玄関棟、展示棟、思索空間棟の3つの棟と、玄関の庭、露地の庭、水鏡の庭の3つの庭からなる美しい空間を回遊することで、心静かに思いを巡らせることができます。

静かな心持ちで思索にふける時間

「水鏡の庭」に浮かぶように佇む思索空間。腰を下ろし、時間を忘れて過ごしたい
「水鏡の庭」に浮かぶように佇む思索空間。腰を下ろし、時間を忘れて過ごしたい

玄関から長い内部回廊を進むと、次第に心が穏やかになっていきます。展示作品のそばには解説もないため、心のままに過ごしてみましょう。思索空間は、窓から切り取られた絵のような水鏡の庭を眺めて、自分自身と向き合える場所。借景に森が広がり、みずみずしい新緑に紅葉、雪景色と、季節ごとに移り変わる風景が迎えてくれます。不定期で、開館時間を20時まで延長する「夜間開館」や、演奏会などの催しが行われる「金沢ナイトミュージアム」も開催。ライトアップされた幻想的な庭の観賞やコンサートなどが楽しめます。

鈴木大拙館
  • URLhttps://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/
  • 住所石川県金沢市本多町3-4-20 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅から北鉄バス城下まち金沢周遊バス「右・左回りルート」乗車約20分、「本多町」下車徒歩約5分
  • 営業時間9:30~17:00(16:30最終入館)
  • 定休日月曜日(祝日の場合は翌平日休み)、年末年始
  • 入場料300円、65歳以上200円、高校生以下無料
  • TEL076-221-8011
  • 駐車場無し

貴重な九谷焼「古九谷(こくたに)」の美しさにうっとり

古九谷のコレクション。無料の音声ガイドを聞いてゆっくり眺めたい 
古九谷のコレクション。無料の音声ガイドを聞いてゆっくり眺めたい 

古くから美術工芸が盛んな加賀藩ゆかりの伝統的な芸術作品を集めた美術館です。高さ8.5mもの吹き抜けが開放的なロビーのある1階は、企画展示室のフロア。2階のコレクション展示室では、1650年〜1700年頃の古九谷や、1800年頃の再興九谷など、色彩豊かな色絵磁器の数々を鑑賞できます。この他、「前田家の刀剣・甲冑・陣羽織」「茶道美術」など、年間11回のテーマで変わる展示も必見です。

見どころは国宝「色絵雉香炉(いろえきじこうろ)」

国宝の「色絵雉香炉」(右)と重要文化財の「色絵雌雉香炉」(左)
国宝の「色絵雉香炉」(右)と重要文化財の「色絵雌雉香炉」(左)

ぜひ注目したいのは、野々村仁清作の国宝・色絵雉香炉。ほぼ等身大の雉の香炉は、至難な技が駆使された作品で、緑、紺青、赤などの絵具と金彩で羽毛などが美しく表現されています。他、加賀藩の美術工芸の高さが伺える国宝級の工芸も存分に楽しめます。
ゆったりと鑑賞したあとは、雉のTシャツや古九谷を模した小皿、クリアファイルなどが揃うミュージアムショップへ。石川県出身の有名パティシエがプロデュースするスイーツが味わえるカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュKANAZAWA」も館内にあります。

石川県立美術館
  • URLhttp://www.ishibi.pref.ishikawa.jp/
  • 住所石川県金沢市出羽町2-1 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅東口から北鉄バス兼六園シャトル乗車約16分、「県立美術館・成巽閣前」下車徒歩約2分
  • 営業時間9:30~18:00(17:30最終入館)、ル ミュゼ ドゥ アッシュ10:00〜19:00 (L.O.18:00)
  • 定休日無休(展示替え期間と年末年始は休み) ※ル ミュゼ ドゥ アッシュは営業
  • 入場料360円、大学生290円、高校生以下無料
  • TEL076-231-7580
  • 駐車場無料

格式とモダン、新旧が融合した建築を楽しむ

シンボルである左右対称のシイノキとレンガの建物が調和
シンボルである左右対称のシイノキとレンガの建物が調和

旧石川県庁舎をリニューアルした「しいのき迎賓館」。正面は、1924年(大正13年)建築の意匠をそのまま残した格調高い外観で、樹齢約300年のシイノキと一体になってどっしりと佇んでいます。一方、反対側から見ると、モダンな全面ガラス張りの外観で全く印象が異なります。建物内部の灯りがこぼれる夜の景観も素敵です。モダンな雰囲気の建物と融合した広大な「石の広場」は、音楽祭などのイベントが行われる他、憩いの場としても利用されています。

レトロな館内装飾に見ほれる

赤い絨毯が敷かれた重厚な階段。館内は自由に見学できる
赤い絨毯が敷かれた重厚な階段。館内は自由に見学できる

3階建ての建物内部には、兼六園周辺の総合案内やギャラリー、休憩室、レストランとカフェ、セレクトショップがあり、新たな交流とにぎわいを生み出しています。セレクトショップでは、金沢の作家による良質なクラフトプロダクトを多く取り揃えているのも魅力です。
玄関ホールから大きな大理石の階段を見上げると、ひときわ目を引くのは、正面に飾られた漆塗りの石川県地図。階段の上には、この建物が創建された当初から設置されているステンドグラスの装飾もあり、大正モダンな雰囲気をそこここに漂わせています。

しいのき迎賓館
  • URLhttp://www.shiinoki-geihinkan.jp/
  • 住所石川県金沢市広坂2-1-1 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅東口から北鉄バス城下まち金沢周遊バス「左ルート」乗車約10分、「香林坊」下車徒歩約5分
  • 営業時間入館自由(営業時間は店舗により異なる)
  • 定休日無休(店舗により異なる)
  • TEL076-261-1111
  • 駐車場有料(30分無料 、手続きは総合案内にて)

直接見て触れることで「用の美」を感じる

カーテンも照明も柳宗理デザインの作品
カーテンも照明も柳宗理デザインの作品

戦後の日本を代表するインダストリアル・デザイナー、柳宗理。彼が約50年にわたって金沢美術工芸大学で教鞭をとっていた縁から、作品をはじめとするデザイン関係資料約7,000点が柳工業デザイン研究会より寄託されています。常設展示室に入ると、家具やテーブルウェア、キッチンツールなどが展示され、おしゃれなリビングやダイニングにいるように感じられます。展示品は触ったり、座ったりすることが可能。作品についての説明文は一切なく、余計な知識や先入観なしにモノと向き合い、自分の目や手で素直に美を感じてほしいという思いが込められています。

調理器具から歩道橋まで、ジャンルを超えてデザイン

シンプルで使い勝手のいいテーブルウェアが並ぶ
シンプルで使い勝手のいいテーブルウェアが並ぶ

展示されているプロダクトは、現在も一般に販売されているものばかり。中には「家にもある」「実家で使っていた」というアイテムに出合えるかもしれません。今なお色あせないシンプルなデザインと使いやすさは折り紙付き。パネルで紹介している柳宗理の作品年譜もぜひチェックを。札幌オリンピックの聖火台に、地下鉄駅内にある水飲み場、車(オート三輪)や歩道橋など、幅広いデザインを手がけた柳宗理の考えや姿勢を知ることができます。

金沢美術工芸大学 柳宗理記念デザイン研究所
  • URLhttp://www.kanazawa-bidai.ac.jp/yanagi/
  • 住所石川県金沢市尾張町2-12-1 1階 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅東口から北鉄バス城下まち金沢周遊バス「右回りルート」乗車約12分、「橋場町」下車徒歩約3分
  • 営業時間9:30~17:00
  • 定休日月曜日(祝日の場合は開館)
  • 入場料無料
  • TEL076-201-8003
  • 駐車場無料

金工作家が作るジュエリーと生活道具

古い町家が素敵なショップに。オーダーメイドの結婚指輪も人気
古い町家が素敵なショップに。オーダーメイドの結婚指輪も人気

金沢出身の金工作家によるアトリエ兼ショップ。大正時代に建てられた元文房具店をリノベーションした空間に、ジュエリーやお茶道具、器、カトラリーなど、オーナーが手がけた作品が美しく並びます。得意とする素材は金やプラチナ、真鍮、銅、鉄、アルミ、チタンといった金属全般で、作りたいものに合わせて素材と技法を選択。とりわけ出発点でもあるジュエリーは、男女ともに付けられるさりげないデザインが魅力。修理もしてもらえるので、愛着を持って長く使えます。

クラシカルな佇まいのオリジナルカトラリー

素材も技法も異なるカトラリーが並ぶ
素材も技法も異なるカトラリーが並ぶ

端正なカトラリーもファンが多い作品です。真鍮に銀メッキを施すことで、アンティークな風合いを醸すカトラリー(上写真右3点)は、独特の重厚感ある佇まいに惹かれます。プロダクトデザイナーが古い金型を使ってデザインを、新潟・燕のカトラリーメーカーがプレスし、オーナーが監修・仕上げを施したステンレスのカトラリーシリーズ(左2点)もあります。クラシカルな雰囲気がありながら、シルバーと違ってお手入れもラク。食卓に美しく映える逸品です。

KiKU
  • URLhttp://www.kiku-web.com/
  • 住所石川県金沢市新竪町3-37 MAP
  • バスアクセスJR金沢駅東口から北鉄バス城下まち金沢周遊バス「左回りルート」乗車約10分、「香林坊」下車徒歩約10分
  • 営業時間11:00~20:00
  • 定休日水曜日
  • TEL076-223-2319
  • 駐車場無し
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