生ごみを堆肥として再資源化する「環パイン プロジェクト」

西表島を代表する特産品の一つである「ピーチパイン」。ほんのり桃の香りがするのが特徴で、生産量が少ないため市場に出回ることも珍しい希少なパインです。そんなピーチパイン生産活動において、近年、肥料の価格高騰が課題に。その課題解決のために、島では島内で排出された生ごみを堆肥(たいひ)として再資源化する循環型農業に取り組んでいます。西表島ホテルでも2024年より「環パイン プロジェクト」として、島のパイン農家の方と一緒にその活動を行っています。

#01

「環パイン プロジェクト」とは

ピーチパインの栽培において、良質な肥料は欠かせません。そこで島のパイン農家では以前から、島内で排出された生ごみを堆肥として再資源化して活用する循環型農業を目指し活動をしていました。 西表島ホテルも島への貢献として2022年から当活動に参画。2024年からは、島内でのパインの消費と観光活用の部分を組み込んだサイクルとして「環パイン プロジェクト」と名付け、ホテルのレストランで出た生ごみをホテル敷地内で堆肥化してパイン農家へ還元する取り組みを行っています。最終的には、収穫したピーチパインを西表島ホテルのイベント「春のピーチパイン祭り」にて提供するというサイクルを目指しています。

プロジェクトの計画
2024年4月
西表島ホテルのレストランで出た生ごみを堆肥として再資源化する取り組みを開始
2024年11月
完成した堆肥を島のパイン農家に還元(これ以降も継続的に堆肥を還元)
2025年春
堆肥を蒔いた畑でピーチパインを栽培中(パインの収穫には2年かかるため)
2026年春
サイクル完成
堆肥を使用して栽培したピーチパインを収穫し、「春のピーチパイン祭り」にて収穫したピーチパインを提供
以降、このサイクルで継続的に循環

#02

「環パイン プロジェクト」の取り組み

ホテル敷地内でレストランの生ごみの堆肥化

水分条件を保つため、コンクリートで囲われたエリアに雨水の侵入を防ぐ屋根を設置

床材に使用するもみ殻と落ち葉

水分条件を保つため、コンクリートで囲われたエリアに雨水の侵入を防ぐ屋根を設置

床材に使用するもみ殻と落ち葉

西表島ホテルのレストランで出た生ごみの堆肥化は、島のパイン農家とホテルスタッフが協業し、ホテルの敷地内に設置した堆肥舎で行います。はじめに、1次処理として、生ごみを床材(とこざい)*1に混ぜ込む作業を行います。床材には、島の米農家から提供されるもみ殻や米ぬか、枯れ葉などを使用しました。今後はさらに、島内で課題となっている廃棄資源の活用も検討中です。最初の約2ヵ月間は、生ごみが腐敗しないよう、ホテルスタッフが毎日、堆肥の温度確認や混ぜる作業を行い、適切に堆肥を管理します。 その後、2次処理として、新たに米ぬかや水を混ぜ込んで堆肥を再発酵させます。週に一度必要に応じて水分を追加して撹拌し、3~4か月間発酵を継続させることで、完熟堆肥が完成します。 2024年4月からプロジェクトを開始し、11月に初めての完熟堆肥が完成しました。 *1:もみ殻と米ぬかを短期間発酵させて作った微生物が沢山いる資材。微生物が生ごみを分解する活動を助ける。

完成した堆肥を島のパイン畑に還元

ピーチパインの畑に堆肥を撒く様子

ピーチパインの植え付け作業の様子

ピーチパインの畑に堆肥を撒く様子

ピーチパインの植え付け作業の様子

24年11月に初めて完成した堆肥をパイン農家に還元し、パイン畑に肥料として散布しました。堆肥をパイン畑に撒く作業にはホテルスタッフも参加。堆肥を撒いた畑に、ピーチパインの植え付けも行いました。ピーチパインが収穫できる2年後まで、パイン農家と共に成長を見守ります。さらに、これ以降も継続的に生ごみの堆肥化を進め、パイン農家に還元していきます。

#03

堆肥で栽培されたピーチパインをホテルで提供を目指して

このプロジェクトでは、この堆肥を使って栽培されたピーチパインを、毎年パイン農家と協働してホテルで開催している「春のピーチパイン祭り」で宿泊者に振る舞うことを目標としています。 2021年から行っているこのイベントでは、西表島の特産品であるピーチパインを実際に味わい、美味しさの秘密を島のパイン農家から直接学ぶことができます。生ごみの再資源化だけでなく、観光資源としてのピーチパインの価値向上にも貢献したいと考えています。

<西表島トロピカルフルーツ生産組合>

西表島の西部地区にあるトロピカルフルーツ生産農家が集まって結成された組合。新たな発想を積極的に取り入れながら、地域の課題を農業を通じて解決するための活動に取り組んでいます。島内にあるものを利用して堆肥を作り、有機質肥料を使用した美味しい果物の生産ができる体制構築のための活動など、島内での持続可能な農業の循環の構築を目指して活動しています。

施設のご紹介
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西表島ホテル
沖縄県八重山郡竹富町上原2-2

世界自然遺産の島・西表島に佇むリゾートホテル。目の前に望むトゥドゥマリ浜は、古くから「神様が留まる場所」という言い伝えがある神聖な浜。 穏やかで、ゆったりとした時間が流れています。

#ステークホルダーツーリズム
2023年から星野リゾートが提唱している、アフターコロナの旅のキーワード「ステークホルダーツーリズム」。旅に関わる企業や人たちだけでなく、旅行者、地域の生活や経済、自然環境をも含めたコミュニティ全体にフェアなリターンを提供する、観光の新しいかたちです。