#03
「ご近所さん」の店の方に聞きました。街・ゲスト・ホテルの素敵な関係
ご紹介してきたような星野リゾートの新たなビジネスモデルは、連携しているご近所店の目にどのように映り、事業や日々の生活に何らかの変化を生むきっかけとなっているのでしょうか。「レンジャーツアー」の受け入れをしてくださっている3軒の方にお話を伺いました。
◇「-Freehouse-THE YEAST」 代表・吉田周平氏、店長・木戸一馬氏
旭川の目抜き通り、平和通り買い物公園の角地に建つクラフトビール店。風味抜群のビールを楽しみながら、店内を彩る地元アーティストの作品にも触れられ、散策がてら立ち寄るのに絶好のスポット。
左・代表の吉田氏、右・店長の木戸氏。手前に並ぶのはオリジナルのクラフトビール缶。
「まずはシンプルに、大変助かっています。ありがたいですね。お客様が増えてたくさん来てくださっています。ローカルの方が多く来る時期と、ホテルのお客様が来る時期とは少し違うので、飲食の売上が通常は落ち込むといわれる2月、8月も、『OMO7旭川』とのホットラインのおかげでうちは例外な2月、8月を過ごさせてもらえています」(吉田氏)
「『OMOレンジャー』の方たちはトレーニングでも来店して、ビールの説明の仕方などをスタッフ間でやりとりされているので、うちの従業員と同じくらいのお客様への対応をしていただけています。安心してお任せできますね」(木戸氏)
「ただ近所にあるから地図で紹介するのではなくて、またある意味、SNSなどに載っている情報とも違って、お客様の目の前で誠実に語ってくれることなので、熱伝導がすごいですよ。まるで友だちみたいに、店での楽しみ方まで伝えてくれる感じです。店を大切にしてお客様につなげてくださるので、うちも『OMO7旭川』からのお客様には一気にローカルでおもしろい気分になっていただきたいと対応しています。
お客様からは、北海道ならではのビールが飲みたいという要望が多いですし、毎日飲みたくなるようなオリジナルビールをこれからも展開していきたいと思っています。機会があったら、「イースターズ」といううちのオリジナルビールと『OMO7旭川』の限定ラベルのコラボを、いつかやってみたいですね」(吉田氏)
◇「Japacheese Asahikawa」 長尾英次氏
旭川市東鷹栖の加藤牧場の生乳を使い、チェダーやモッツァレラなど日本人が食べやすいチーズを作る「ジャパチーズ」。ご夫婦で営む店舗は、アイコニックな黄色い丸を描いた旗が目印です。
宮城県の酪農一家に育った長尾氏。2016年の旭川市総合計画市民説明会では旭川の魅力や可能性を語るパネリストをつとめたことも。
「2015年に開店して何年かは、ゴールデンウィークも街に人が全然いなかったんです。でも『OMO7旭川』が開業して『レンジャーツアー』が始まった後くらいから、ゴールデンウィークに店を開ける意味が出てきたのです。お客様が増えた原因が何なのかは正直わかりませんが、ツアーでカフェやうちのような店があることを知ってもらえたのかな、ホテル開業がひとつの要因になっているのかな、という気はしますね。
普段はザ・ホテルマン、という感じのきちんとした方が、服装も変えてツアーガイドをしているのを見たときには、大人が本気でやっていることには本気で応えなくてはいけないだろう、と思いましたよ。そこまでして店にお客様を連れてきてくれる人に、半端な真似はしたくない。売上がどうこうよりは、ホテルと店とのそうした関係性が嬉しくて。もちろん商店街のためにもなっていると思います。
実は、私が開店当初に考えていたプランが、『OMOレンジャー』さんによって初めて活かされたんです。旭川のビジネスプランコンテストに出た際のことですが、『街の中でチーズ工房を開き、行動展示の窓を工房に設けます』とイメージを語りました。そのときは高評価をいただけたのですが、実際に始めて見ると一般のお客様が店の奥の工房まで来てくれることはなかなかなくて。でも『OMOレンジャー』さんが中へ促して説明してくれると、お客様もどれどれ、となりますよね。わざわざ設けた窓が『OMOレンジャー』さんを通して活用できるようになった。私たち夫婦だけでは難しかったことです。
少し前に、驚いた出来事があったんですよ。一人のおばあさんが、チーズを買うわけでもなく店の前で待っているんです。お声掛けしてみると『話がおもしろいって聞いて、聞きにきた』と仰るのです。『レンジャーツアー』で話している内容がおもしろい、と耳にされたらしく。まさかそんな話題になっているとは思いもよらず、おもしろいと思ってもらえていたんだ、良かった!と。
観光の方にも地元の方にも、酪農界や生産者さんに思いを馳せてもらうきっかけに、旭川の思い出の1つに、うちのチーズやソフトクリームがなれたらと願っています」(長尾氏)
◇「和酒角打 うえ田舎」 馬場剛氏
北海道の酒処である旭川。「和酒角打 うえ田舎」は隠れ家的な雰囲気で角打ちが楽しめるお店です。酒類の豊富なラインナップに加え、意匠を凝らした空間演出も評判。地酒のお土産選びにもぴったりです。
酒に精通したスタッフが多い中、「僕はおしゃべり担当」とユーモラスに語る馬場氏。
「うちには『レンジャーツアー』のひとつ『はしご酒ツアー』で『OMOレンジャー』さんとお客様が来てくださっています。海外からのお客様もかなりいらっしゃるのですが、店側がコミュニケーションをとりにくい場合でも、『OMOレンジャー』さんがうまくやり取りをしてくださるので助かっています。お客様がとても満足そうにしてニコニコ笑顔でお帰りになると、良かったなとホッとします。
酒の種類がとても豊富なので迷う方も多いのですが、そんなときもタイミング良く『OMOレンジャー』さんが選び方のアドバイスを店側に振ってくれて。とにかくコミュニケーションが上手で、フリートークもすごい。お客様が店にいる時間をトークで盛り上げてくれるので、僕らも安心して見ています。もちろん見ているだけでなく、掛け合いのように場を盛り上げてお客様に楽しんでいただけるようにしています。
常連客と観光客の交流の場ともなっている、角打ちスペース
『はしご酒ツアー』でいらっしゃるお客様は必ずしも、日本酒が大好きな方ばかりではありません。そうした方々が来てくださるのはツアーならではだと思うので、日本酒に触れるきっかけになる提供の仕方を工夫しています。例えばお酒が苦手な方にはハスカップ風味の甘酒を出したり。うちのことをよくご存じの『OMOレンジャー』さんが、お客様のお好みを見ながら『ビールもありますよ』などとうまくリードしてくれるのもありがたいです。
ホテルと、店や観光地というのは単純に考えると別個なものですが、こうして一緒に連携することでツアーとして楽しんでもらい、旅の時間を有効に使える提案をしていけるといいですね」(馬場氏)