<第8回>温泉街の川をとことん活用する〜川床花見編〜

1.この春は川床テラスで贅沢な「夜桜川床花見」を

春です、桜の季節です。長門湯本温泉を流れる音信(おとずれ)川の桜並木も、もうすぐ花便りの頃。界 長門では2023年3月26日から4月9日、音信川に設置する「川床テラス」で、昨年好評だった「夜桜川床花見」を開催します。今年は「より贅沢な夜桜鑑賞」をテーマに、設えなどを進化させ、1日2組限定で貸し切り空間を用意します。(写真はイメージ、2022年撮影。以下同)

専属スタッフの手伝いのもと、春らしいデザインの「夜桜ころもセット」に着替えて、まずは温泉街のそぞろ歩きを楽しみましょう。夜は川床テラスで、特製スイーツとドリンクとともに夜桜鑑賞を。同じ時期、「界の花見温泉(全国21施設)」という館内企画も開催。大浴場や露天風呂から桜を眺められ、入浴前後に甘味セットが味わえるなど楽しみ満載です(いずれも宿泊者限定プラン)。

2.温泉街の春限定スイーツが今年も登場

「旬が連続する温泉街」を掲げ、エリアマネジメントをすすめる「長門湯本温泉まち株式会社」でも昨年に引き続き、春のイベントを開催します。温泉街各店舗の協力のもと、和洋菓子やフルーツをはじめ、春限定スイーツが今年も登場! エリア随一の桜スポット・一ノ瀬橋特設席での「桜咲く橋の上のアフタヌーンティー」を楽しみにするファンも多いです(写真は2022年撮影)。

近年、水辺を活用した再開発が全国で進んでいます。長門湯本温泉もそのひとつ。前述の川床テラスは今回の温泉街リノベーションで合計4ヶ所7基(大谷山荘前、界 長門前、立ち寄り湯・恩湯前、玉仙閣前)が、音信川と大寧寺川に誕生しました。新たな飛び石も設置。テラスは各宿が中心となり管理しながら、安全性を第一とした河川活用のまちづくりを実行。毎年3月末には、安全祈願祭「川床開き」が行われます。

3.河川が使えるかが温泉街再生の鍵だった

「賑わいを生むために、河川が使えるかが温泉街再生の大きな鍵だった」と、プロジェクトの司令塔を務めた泉 英明さん(有限会社ハートビートプラン代表、写真右)は話します。温泉街リノベーションである「長門湯本温泉観光まちづくり」計画は、そぞろ歩きの仕組みを作り、地域の活性につなげることが目標の一つでした。人が集まり、憩える場所を、温泉街の川を使って作ることです。

「本プロジェクト前、2000年頃に商工会議所青年部で、川床を設け、橋をライトアップし、星空を楽しむイベントを開催したことがあります」と長門湯本温泉・大谷山荘の大谷和弘さんは話します。「お客様に喜ばれましたが、河川本来の機能を損なうことなく、自分達が思ったように河川を使うことは困難を極め、みな疲弊し、継続しませんでした。今回は水辺まちづくりの専門家チームと進められ、行政も協力してくださり、音信川をとことん活用しています」とも。

4.「川という公共空間」を使い続けるために

音信川を活用できる背景には、特区指定(2018年10月23日)も挙げられます。公民で県や国に働きかけ、「川という公共空間」をこれまで以上にオープンに民間でも活用できるようになりました。これはチーム努力の成果であり、数多ある川沿いの温泉地再生の先進例となるべく期待されたことも大きいと想像します。写真は長門市役所成長戦略推進課(当時)に在籍した管田央信(かんだひさのぶ)さん。温泉街難工事の施設整備や現場調整役として奮闘した一人です。

工事が佳境を迎える2020年はじめ、管田さんにある質問をしています。「私の原動力? 他所から来た方が長門のためにここまで頑張ってくださる。かつ地域の方、年配者が掃除をされる姿がいつもある。『観光の街だからきれいに』と。私が頑張らない理由はない」と管田さん。川はもちろん、温泉街はいつもきれいで、そこには「長門湯本オソト活用協議会」の活動も。いずれレポートします。春です、旅です、桜の川床テラスへぜひ!

界 長門「夜桜川床花見」の詳細はこちらまで。

「桜咲く橋の上のアフタヌーンティー」の詳細はこちらまで。

~今月の立ち寄り~

大寧寺、お地蔵さまの前掛けと帽子

長門湯本温泉を見守る「大寧寺」も桜の名所です。桜吹雪が舞い、桜の絨毯に彩られる苔むす大地に愛らしいお地蔵さまが点在。赤い前掛けや帽子は地元の老人会のみなさんが毎年、ひとつひとつ手作りをして奉納されます。

写真提供> 木下清隆、のかたあきこ、長門湯本温泉まち株式会社

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