まるでテーマパーク!何度も体験したくなる「青森屋 」

こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。鉄道で旅しながら、駅弁や駅そば、お酒、温泉を楽しむのが大好きです。

青森は、私が生まれた土地。ただ、生まれて間もなく引っ越してしまったので、記憶にはありません。とはいえ「出身は?」と聞かれたら、必ず「青森です」と答えています。人は自分が生まれた季節が好きになるといいますが、私は1月に生まれたためか、雪が積もる景色が大好き。今回も、そんな季節に青森にやってきました。

やすこーん

漫画家&文筆家

駅弁、駅そば、お酒、温泉を楽しむ「鉄道ひとり旅」が好き。 温泉ソムリエマスターで食べた駅弁の数は2500個以上。テレビやラジオでも活躍中。 最新刊は「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」(玄光社) 「イラストで読む!鉄道知識と旅の基本 鉄道イロハ」 (イカロス出版)yascorn.com

たくさんの「青森ねぶた」がお出迎え

青い森鉄道の三沢駅から徒歩15分ほどにある「青森屋」は、客室が236室もある大きな施設。星野リゾートブランドでも、他とは趣向が違う、独自のホテルとなっています。敷地には、2012年まで運行していた、十和田観光電鉄線の廃線跡もあるとか。興味を惹かれます。

チェックインしてまずはお部屋へ。今回泊まるのは「あずまし半露天風呂」。離れのような入口の部屋の中に、ガラス張りの露天風呂が設置されています。畳に小上がり、そしてベッドがあり、和洋折衷で温泉との一体感があるお部屋。「青森ヒバ」でできている湯船や洗い場は、冬でも冷たくありません。

せっかくなので、さっそくお風呂をいただいてみます。 トロトロとした温泉は、24時間掛け流し! 壁がガラス張りなので、テレビを観ながら温泉に入ることができます。まるで自分の家でくつろいでいるみたい。好きな時にすぐ温泉に入れるって、すごく贅沢だなあ。

そろそろ夕食の時間なので、会場に向かいつつ、ホテル館内を探検してみます。じゃわめぐ広場にある見事な「ねぶた七福神」が目を惹き、思わず足を止めました。あまりに精巧な作りで、近づいてしげしげと眺めます。

広場を過ぎると今度は「りんごジュースが出る蛇口」がありました。蛇口をひねると、りんごジュースがいくらでも出てきます。子供の頃に見た夢のよう。うれしくなって、何杯もおかわりしてしまいました。周りに飾られているりんご1つ1つも、ねぶたのように、骨組みに和紙を貼って造られたもの。とってもかわいくて、お土産に買いたいくらいでした。

「のれそれ食堂」で目一杯食べる

ふと気づいたらまだ数メートルほどしか進んでいません。慌てて夕食会場の「のれそれ食堂」に向かいます。「のれそれ」とは青森の方言で、「目一杯」という意味だそう。青森生まれと言いつつも、そういったことは全く知らないので新鮮です。

ビュッフェレストラン「のれそれ食堂」では、まず入口近くで割烹着姿の「かっちゃ(お母さん)」がせっせと炉端焼きを作っていました。広い会場には青森の郷土料理を中心に、贅沢なビュッフェメニューがずらりと並んでいます。

ビュッフェレストランは、いつもまず一周して何があるのかを見てまわります。天ぷらはその場で揚げたて、ステーキも焼きたてがいただけるので、これは最後に取ろうとか、順番も考えます。とはいえ、いろいろあって目移りし、結局、計画があってないような盛り付けになりました。

さっそくテーブルでいただきます。おお、ステーキがめちゃめちゃやわらかい! 「鮪の漬けまんま」も美味。サラダの野菜がとても新鮮で、シーザードレッシングも大変おいしいです。

ビーフシチューは、ひとすくいしたら、お肉がゴロゴロと惜しみなく入っていました。テンションが上がって、明らかに取りすぎています。

さらに青森のお酒、特別限定の「田酒」を注文。素晴らしい料理とお酒の味に、食が進みます。 意外にもおいしかったのが、「りんごの天ぷら」。衣をまとったりんごは油を吸って甘さが増し、食感もシャキシャキといい感じです。りんごが油と相性よいことを、初めて知りました。 ほかにも、りんごのピクルスなど、いろいろな料理法のりんごが、すべておいしかったのが印象的でした。

「みちのく祭りや」でショーを観る

すっかり重くなった体を運び、ショー会場の「みちのく祭りや」へと向かいます。21時からこちらで、大人気のオリジナルのショーが上演されるのです。

会場へ続く道に飾られた、切り絵風のねぶたが祭り気分を盛り上げてくれます。広々とした会場のステージに向かって、座席は階段状に配置されていました。前方で迫力あるショーを楽しむのもよし、全体を見渡せる後方で観るのもよし、です。

ショーはプロジェクションマッピングをふんだんに使い、とても華やか。スクリーンに映し出され、2次元だったものが3次元になって飛び出してきたりして、驚かされました。そこに笛や太鼓の音が加わると、まさに賑やかなお祭りです。

ここでは青森の4大祭り、五所川原立佞武多、弘前ねぶたまつり、八戸三社大祭、青森ねぶた祭りが一気に楽しめます。「ラッセラー、ラッセラー」という掛け声などと共に、それぞれのお祭りを演者さんたちが一気に盛り上げてくれました。

最後は踊りたいお客さんを募り、みんなステージに出て踊ります。私は踊る勇気はなかったので、後ろで静観。観ているだけでも楽しかったです。

ところでこの演者さん達は、なんと青森屋の従業員さんたち。楽器演奏や踊りなど、かなり慣れてらっしゃったので、まさか従業員さんとは思いもしませんでした。みなさん、とても楽しそう。これは何度も観たくなりますね。

締めは演者のみなさんと、津軽地方の方言で「さようなら」や「またね」を意味する「へばな」という言葉でお別れ。もちろんこの言葉も知りませんでした。

ねぶたが浮かぶ!? 温泉

さて、お腹も落ち着いてきたので、寝る前に温泉に入ります。内湯は天井、壁、浴槽すべてに「青森ヒバ」が使われていて、木の香りと湯船のやわらかさが落ち着きます。泉質は「アルカリ性単純泉」で、窓の外の風景を見ながら、長く浸かっていられるお湯です。

外にある露天風呂は、湖と続いているかのような造りになっていて、とても広く感じます。「浮湯」という名称の通り、ねぶたが本当に浮かんで見えるのです。近づいて見るよりも、遠くから見た方が幻想的なので、ぜひ遠くから眺めてほしいです。

冬の露天風呂は、外の冷たい空気とお湯の温かさで、いつまでも浸かっていられます。おかげで夜はぐっすりと眠ることができました。

朝湯は青森の文化

起きたらまず、朝湯です。敷地内の少し離れたところにある「元湯」へ向かいます。こちらは共同浴場で、外来客も入ることができます.青森屋の宿泊客は無料です。

露天風呂はありませんが、カラフルな「津軽びいどろ」のガラスから赤青黄に染まった光が差し込み、大変美しい。これは冬の朝の時間にしか見られない光景のようです。

泉質は青森屋と同じ「アルカリ性単純温泉」ですが、源泉が近いためか、さらにぬるぬるとした化粧水のようなお湯で驚きました。なんとシャワーから出るお湯も温泉を使っているので、よりいっそう肌がすべすべに。これは毎日入りたいです。昭和を感じる空間も、とてもよい雰囲気です。

「ストーブ馬車」で庭園を楽しむ

宿に戻って朝食は「のれそれ食堂」でビュッフェ。自分で作る海鮮丼が楽しい! 夜のメニューとはまた違って、再び目一杯食べてしまいました。

その後は「ストーブ馬車」で敷地内を周回しました。ポニーの引く馬車の中には、なんと薪ストーブがあり、冬でも暖かく過ごせます。雪の降り積もった庭園の見事な景色を見つつ、案内役の方のお話を聞きつつ、ゆっくり堪能しました。

「星野リゾート 青森屋」は宿泊客を楽しませる仕掛けからおもてなしまで、アミューズメントパークそのものでした。子どもも大人も、心から楽しめます。私のようなひとり客でも大変楽しく過ごせました。

ここは個人的にまた絶対に来たい場所になりました。それまで、「へばな〜!」。

ご紹介した温泉宿

青森屋

青森県・三沢市にある青森文化を体感する宿

「のれそれ(*青森の方言で目一杯の意味)青森 ~ひとものがたり~」をコンセプトに、青森の祭りや方言などの 文化を満喫できる温泉宿。約 22 万坪の敷地内には、池や古民家が点在する公園もあり、食事や多彩なアクティビティを楽しむことができます。