海に囲まれた絶景宿「界 出雲」で禊風呂に入る

こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。島根県にある出雲大社には、毎年のようにお参りに行っています。今回は、日御碕にある「界 出雲」に宿泊しました。日御碕まで足を伸ばすのは初めてです。

やすこーん

漫画家&文筆家

駅弁、駅そば、お酒、温泉を楽しむ「鉄道ひとり旅」が好き。 温泉ソムリエマスターで食べた駅弁の数は2500個以上。テレビやラジオでも活躍中。 最新刊は「ひとりで楽しむ鉄道旅 駅弁めぐり篇」(玄光社) 「イラストで読む!鉄道知識と旅の基本 鉄道イロハ」 (イカロス出版)yascorn.com

部屋はすべてが特別な「彩海(さいかい)の間」

「出雲大社バスターミナル」から、一畑バスに揺られながらやってきたのは、島根半島の西端に位置する日御碕(ひのみさき)。終点のバス停「日御碕灯台」は、「界 出雲」の目の前にあります。「界 出雲」は、左手に出雲日御碕灯台を仰ぎながら、日本海が目の前に広がる絶景宿です。

「界 出雲」のお部屋は、全室がご当地部屋「彩海(さいかい)の間」として造られています。お部屋は7タイプあり、今回は異なる2タイプをご紹介。コンセプトによってカラーが違います。

出雲日御碕灯台が見える側のお部屋では、灯台越しに夕日が目の前に落ちていくのが見られます。部屋のカラーは藍色。これは夕日のオレンジ色が映えるよう、補色にしたそうです。

海側は、出雲松島と呼ばれる景色と朝日が楽しめます。こちらは朝日の色に合わせ、全体にやわらかいピンク色。どちらも水平線をイメージしたヘッドボードなどが壁に飾られるなど、ご当地の職人さん、作家さんの作品が取り入れられていました。

「温泉いろは」を体験し、日御碕灯台へ

日が落ちる前に灯台へ行ってみようと思いますが、その前に館内で、「温泉いろは」を体験します。「温泉いろは」とは、「界の湯守り」による、温泉についての知識や湯治法を紙芝居形式で教えてもらうプログラムです。

こちらで「出雲ひのみさき温泉」の泉質や効能、現代に合わせた湯治法の「うるはし現代湯治」として界が行っていることなどのお話を聞きました。

さて、代謝を高めるために、無料でいただける出雲生姜ドリンクを飲み、教わった「現代湯治ウォーキング」に出かけたいと思います。

「現代湯治ウォーキング」は、「鼻から吸って口から吐く」を意識しながら大股で歩くことで、心肺と大きな筋肉を使うウォーキング。意識して歩いていると、けっこう筋肉を使うのがわかります。

実は私も、普段これに近いことをやっていました。歩く際に「フッ・フッ・フー」と口から息を吐きつつ、腹筋に力を入れて歩きます。これ、ちゃんと続ければ、かなりのダイエットになるんです。ただ、考え事をしたりして、歩いている途中につい忘れてしまうのが難。きちんとやっていた時は、みるみる効果が出てお腹が引っ込みました。ただし続けないとすぐ戻ります。

出雲日御碕灯台は、「界 出雲」から直接行けば、徒歩7分ほどです。入口で料金を支払い、スリッパに履き替えて入場。靴を脱いで上がる灯台は、めずらしいですね。

螺旋階段がなかなかキツかったですが、上がってみると、素晴らしい景色! 地平線が見える海を見るのはひさしぶりです。

そして反対側には、緑の中に、「界 出雲」が見えます。すばらしい環境の中に建てられているのがよくわかりますね。なかなかこんな風に俯瞰で宿を眺められることもないので、「今日はあそこに泊まるのだなあ」なんてニヤニヤしました。

宿に戻ったらちょうど夕日が沈むところでした。美しい景色に思わず見とれます。窓際のソファに座り、しばし眺めていました。

出雲ひのみさき温泉で芯から温まる

軽く運動をした後は、いよいよ温泉。初めて入る温泉は、いつもワクワクします。 こちらの「出雲ひのみさき温泉」の泉質は、「強塩温泉」。正式名称は、ナトリウム-塩化物強塩泉です。塩分強めですが、体の芯まで温まり、湯冷めしにくい温泉です。

入ってみると、肌がピリッと引き締まる感じがしました。その後、体の内側にじわ〜っと浸透してきます。寒い時期は特に、この温泉のありがたみがわかります。

だいぶ暗くなっていましたが、露天風呂からは「出雲松島」と呼ばれる見事な風景が広がっていました。こちらからは朝日が上るのも見られるので、早起きできる方は朝風呂もおすすめです。

界では御朱印帳ならぬ、「お湯印帳」というものを無料でもらえます。宿を利用すると、オリジナルのスタンプが、それぞれ押してもらえるのです。鉄道の各駅に置かれている駅スタンプを集めるのも趣味なので、これも喜んで集めたいと思います。

夕食は7種のお酒とペアリング

そしてお楽しみの夕食です。夕食は「福神会席」のコースをいただきました。さらにお酒は、お料理に合わせてちょっとずつ違うものを出してくれる「日本酒ペアリング」を選択。もちろん、すべて出雲の地酒です。

先付けから始まり、煮物鍋、宝楽盛り、揚げ物、台の物、最後のデザートまで、すべて違うタイプのお酒が少しずつ出されました。しかもお料理に合わせて、熱燗だったり、ぬる燗だったりと温度が調整してあります。

界のお料理で一番楽しみにしているのが「八寸」です。いろいろな種類の食材が使われ、美しく盛りつけてあるお皿は、見ても満足。これをいただきながら、お酒をちょこちょこ飲むのが大好きです。この料理には確かにこのお酒が合うな、なんて納得しながら、ペアリングを堪能しました。

食事を終えて一旦部屋に戻ったら、灯台がライトアップされていました。庭園もライトアップされていて、昼だけでなく夜も景色を楽しめました。

石見神楽で日本神話を知る

夜21時30分から20分ほど、ロビーでご当地楽「石見神楽」が行われます。毎度驚くのですが、神楽を演じるのは、なんと「界 出雲」のスタッフさんたち! ちゃんとプロの指導のもと訓練しています。さらに演技の質が保てるよう、時々プロの方にチェックしてもらっているそうです。

神楽は宮崎県の高千穂神社で見た「夜神楽」以来です。その時も思いましたが、先に物語のあらすじを知ってから見たほうが、演技を理解できます。今回の演目「国譲り」は、出雲神話に基づいたお話で、始まる前にあらすじを読んでから観劇しました。

温泉とかわたれテラスから朝日を望む

翌朝は、がんばって早起きして温泉に入りました。温泉後に無料のアイスをいただき、「かわたれテラス」でコーヒーを飲みながら朝焼けを眺めます。

なんとここは24時間、自由に使えてお茶やコーヒーを飲むことができます。テラス席があるので、そちらに出てお茶を飲むことも可能。温泉に関する本なども置かれていて、のんびり過ごせる場所でした。

朝食は、焼き魚を中心に、玉子でとじた、あらめ磯鍋なども付き、ボリュームたっぷり! いつも朝は適当に済ませてしまうので、こんなにちゃんとした朝食をいただくのはひさしぶりです。個人的にお豆腐に使った「しじみと昆布のだししょうゆ」が気に入りました。

「界 出雲」では、「出雲大社お詣り支度プラン」というコースも提供しているそう。こちらはそのプランの「神饌朝食」で、神様に献上する食事を模しています。

ほか、部屋には「参拝指南書」や「オリジナル御朱印帳」など4点も用意され、出雲大社をガイド付きで参拝できます。私は来る前に参拝してきてしまいましたが、こちらの強塩温泉に浸かって「禊」をしてからお詣するのもよさそうですね。

ご紹介した温泉宿

界 出雲

灯台と水平線を望むお詣り支度の宿

出雲神話が根付く日御碕(ひのみさき)は、日本の夜を護る聖地。水平線に沈む夕日、暮れゆく宵闇、昇る朝日を望む絶景を楽しめる宿です。