旅人の声で綴る

十人十色の一人旅

朝霧に包まれた田園に、ひとり憩う。「界 由布院」

まろ

おひとりプロデューサー

ひとり時間の意義を伝え、過ごし方を提案する"おひとりプロデューサー"。漫画『おひとりさまホテル』(漫画:マキヒロチ/新潮社)の原案ほか、著書に『おひとりホテルガイド』(朝日新聞出版)、『ひとりがいい旅』(ワニブックス)。また、企業のひとり客向け企画のプロデュースも手掛ける。

Instagram:@ohitorigram

こんにちは、”おひとりプロデューサー”のまろです。私はひとり時間をテーマに活動をしていて、ホテルステイをはじめ多様な過ごし方を提案しています。

その活動の一環で、昨年星野リゾートさんの温泉旅館ブランド「界」を、ひとりで巡らせていただきました。なかでも今回ご紹介する 「界 由布院」 は、数ある施設の中でも「必ずまた訪れたい!」と強く思った特別な場所。ひとりで泊まったからこそ感じられた魅力を、ポイントに分けてご紹介します。

ひとり静かに、朝の”棚田”を独り占め。

「界 由布院」の最大の見どころは、なんと言っても眼前に広がるこの棚田の風景。稲作農業が盛んな由布院ならではの原風景には、心奪われます。

この景色を目当てに訪れる人が多いので、棚田を望むテラスは時間帯によっては混み合うこともあるのですが、おすすめは早朝。日の出より少し前にお部屋を出てテラスに向かうと、運良く誰もおらず、ひとりで朝焼けを堪能できました。

いつも手放せない携帯にこの日は目もくれず、絶景にうっとり。朝の静けさに包まれながら、刻々と移りゆく美しい景色を目に焼き付けました。そのうちに、山の方にうっすらと朝霧がかかり、一層幻想的に。

誰かと「綺麗だね」と言い合いながら一緒に景色を見るのも素敵ですが、こうしてひとりで景色にじっくり浸るのもまた格別。訪れてから一年以上経ちますが、この景色と空気を、今でも鮮明に思い出せます。

棚田に溶け込む建築に、魅せられて。

棚田だけでなく、建築も見逃せません。「界 由布院」の設計・デザインを手がけたのは、建築家・隈研吾氏。どこにいても、美しい田園の中に身を置いているんだなということが実感できるような空間に惚れ惚れします。

この建築のディテールを味わうのも、ひとりならではの贅沢。私の場合、特にお喋りなので(笑)、誰かといるとついおしゃべりに夢中になって、細かな意匠の数々を見逃してしまうことも多々あって...。それがひとりだと、隅々まで空間を愛でられるので、度々思いもよらぬ絶景に出会えるんです。

「界」はお食事処が半個室の場所も多く、ひとりで人目が気にならないところが魅力なのですが、こちらは棚田ビューのカウンター席まであって!景色を眺めながら、ゆったりとお食事が堪能できました。

”離れ”のお部屋で、とことん寛ぐ。

広大な敷地をもつ「界 由布院」には、本館の客室とは別に、”離れ”が点在しているのも特徴のひとつ。私は、くぬぎ林の中に2室しかない離れ客室「くぬぎ離れ」に宿泊させていただいたのですが、完全なプライベート空間が保たれていてとてもリラックスできました。

なかでも最高だったのが、専用の湯小屋。緑に囲まれた私だけの空間で、時間を忘れてゆったりとお湯に浸かる時間は、至福でした...

そして、ひとりで「界」に泊まる時にいつも楽しみにしているのがトラベルライブラリーの本。スタッフさんがセレクトしたその土地や、旅にまつわる本が並んでいて、なんとお部屋にも持っていけるんです。今回は世界各地の棚田の風景をまとめた本をチョイス。棚田を巡る旅もいいなあと、ページをめくりながら新しい旅に思いを馳せました。

「とはいえ、由布院は車がないと行けないでしょ?」と思われたみなさん。大分空港から由布院駅までは高速バスが運行しており、駅からお宿までも送迎があるので、交通面での心配は必要ありません。

実は私、車の免許を持っていないので、ひとり旅は決まって車なし。由布院だけでなく「界」は車なしでアクセスできる場所ばかりなのが嬉しいポイントです。他の施設についても、ご紹介したいところなのですが、キリがないのでこの辺で...。笑 全国に23施設もあるので、"わたし"好みの界をぜひ探してみてください。

<施設のご紹介>

界 由布院

棚田暦で憩う宿

由布岳に見守られるように建つ宿は、日本の原風景とも称される棚田をランドスケープとして望みます。稲作の暦を追う風景は四季を映し、心身が緩む滞在となります。由布岳を望む大浴場など、開放的な空間で寛ぐひとときをお過ごしください。

ひとり旅

1泊2日(1名・夕朝食付)
1泊1名
47700~