旅人の声で綴る

十人十色の一人旅

旅を美しく残すための、小さな工夫

AYUMI

トラベラー

初めてのひとり旅は世界一周。会社員として働きながら旅先の写真をSNSで発信し続けていたところ、旅行関係の仕事の依頼が増え、フリーランスに。訪れた場所の良さを最大限に伝えることを大切にしながら、写真や動画で旅の魅力を発信している。
Instagram:@ooooooayumioooooo

私は、旅が大好きです。

家族や友達と行く旅行ももちろん楽しいけれど、

ひとり旅にはまた違った魅力があります。

気の向くままに歩いて、好きな場所で立ち止まり、

自分のペースで風景や音を感じられるのが、ひとり旅の醍醐味。

そして、せっかくならその旅を「美しく残したい」。

今日は、そんな私なりの“ひとり旅を素敵に記録するコツ”を紹介したいと思います。

1. 「構図」よりも「感情」を撮る

私は旅をするとき、「美しく残したい」という気持ちはあるのですが、“完璧に撮ろう”とは思っていません。大切なのは、そのとき心が動いた理由を大切にすること。

写真を撮るとき、つい構図やバランスを気にしてしまいがちですが、 いちばん残したいのは「感じたこと」。「きれいだなぁ」と思った瞬間に、そのままの勢いでシャッターを切るようにしています。

光がまぶしすぎても、少し傾いていても、心が動いたその一瞬を逃さないことが、旅の記録を自然体にしてくれます。

この写真は、リゾナーレトマムに宿泊したとき、窓一面に広がった雪の結晶があまりに美しくて、思わず撮影しました。自然がつくる一瞬のアートのようで、その静けさまで写真に閉じ込めたくなった瞬間でした。

2. 自分の“存在”を少しだけ残す

旅の記録に、ちょっとだけ自分を入れてみるのもおすすめです。たとえば、足もとだけ、影だけ、後ろ姿だけ。顔を映さなくても、“今ここにいた”ということが残るだけで、見返したときにその瞬間の空気を思い出せるんです。

景色の中にちょこんと自分が写った写真を撮りたい時は、三脚を使ったり、近くに人がいる場合はその方にお願いすることもあります。界 箱根に宿泊したときは、スタッフの方に写真を撮ってほしいと伝えると快く対応していただけましたよ。

3. 鏡を上手に使ってみる

お部屋の撮影をするときに、鏡をうまく使うと写真に奥行きやおしゃれな雰囲気が生まれます。

鏡越しにお部屋の一部を映したり、自然な形で自分も写り込ませることで、“旅の中にいる自分”をやさしく残すことができます。

カメラを意識しすぎずに撮影ができて、よりナチュラルな写真に仕上がるので、この方法をよく使っています。

4. 前ボケを取り入れてみる

風景をそのまま撮るのも素敵ですが、少し工夫をして「前ボケ」を入れてみると、写真にぐっと奥行きが生まれます。

たとえば、この写真のように木の枝や葉を手前に入れるだけで、同じ景色でも立体感が加わって、より“印象に残る一枚”になります。

自然の中の小さなものを、そっとレンズの前に忍ばせるような気持ちで撮ってみてください。

5. 背景にもこだわってみる

写真を撮るとき、つい被写体ばかりに意識が向きがちですが、実は背景もとても大切なんです。

たとえばドリンクを撮影するとき、受け取ったその場で撮るのも良いのですが、ドリンクの雰囲気に合う背景を選ぶだけで、写真全体の印象がぐっと変わります。

この写真は西表島ホテルのトロピカルドリンク。室内で受け取ったものを、あえてプールサイドの近くに置いて撮影しました。すると、グラス越しの光と水面のきらめきが重なって、一気に“夏らしく涼しげな一枚”に。

少し視点を変えて、背景まで意識してみると、写真がその瞬間の空気ごと伝えてくれるようになります。

6. あえて“奥”にピントを合わせてみる

写真は、つい人や手前の被写体にピントを合わせがちですが、あえて奥にピントを当てるのもおすすめです。

たとえばこの写真は、西表島ホテルのお部屋のテラスで撮ったもの。目の前に広がる、きらきらと輝く海があまりに美しくて、あえて人ではなく“海”にピントを合わせました。

そうすることで、写真を見たときにまず視線が海へと誘われ、その奥に広がる光や空気の美しさがより伝わります。被写体の存在をほんの少しぼかすことで、風景そのものが語りかけてくるような一枚になります。

美しく残すとは、“素直でいること”

カメラを持って旅をするとき、「うまく撮ろう」と思うと、どこかで肩に力が入ってしまいます。でも、うまく撮れなくても、光が強すぎても、“その瞬間のリアルさ”こそが旅の記録。

美しく残すというのは、完璧に見せることではなくて、“そのままの自分を写すこと”なのだと思います。

今回は旅を美しく残すための、私なりの小さな工夫をご紹介させていただきました。ぜひ、次の旅のときに少しだけ意識してみてください。

きっと、自分だけの「美しい旅の記録」が残せるはずです。