まずは「さわ茶屋」でひと休み
チェックインを済ませて、まず向かったのは2025年8月に新しくオープンした「さわ茶屋」。宿泊者が無料でお団子とお茶を楽しめるこの場所は、まさに旅のはじまりにぴったり。
お団子はとても柔らかく、口に入れた瞬間とろけてしまうほど。お宿の中で一つひとつ丁寧に手作りされていると聞き、納得の美味しさ。スタッフの方々のあたたかい笑顔にも癒されて、「これからの滞在がますます楽しみだな」と胸が高鳴ります。
旅人の声で綴る
十人十色の一人旅

AYUMI
トラベラー
初めてのひとり旅は世界一周。会社員として働きながら旅先の写真をSNSで発信し続けていたところ、旅行関係の仕事の依頼が増え、フリーランスに。訪れた場所の良さを最大限に伝えることを大切にしながら、写真や動画で旅の魅力を発信している。
Instagram:@ooooooayumioooooo
箱根の山々を越えてたどり着く温泉地。
そこに流れるのは、時間のゆるやかさと、自然の音。
今回訪れたのは、渓流沿いに佇む「界 箱根」。
誰にも気を遣わず、ただ自分の時間を楽しむ。そんな“ひとり旅”の魅力を改めて感じた旅。
チェックインを済ませて、まず向かったのは2025年8月に新しくオープンした「さわ茶屋」。宿泊者が無料でお団子とお茶を楽しめるこの場所は、まさに旅のはじまりにぴったり。
お団子はとても柔らかく、口に入れた瞬間とろけてしまうほど。お宿の中で一つひとつ丁寧に手作りされていると聞き、納得の美味しさ。スタッフの方々のあたたかい笑顔にも癒されて、「これからの滞在がますます楽しみだな」と胸が高鳴ります。
今回宿泊したのは、リバービューの「清流リビング付き和洋室」。畳の上を裸足で歩くと、さらりとした感触が心地よく、自然と深呼吸したくなる。大きな窓の向こうには、まるで絵画のように美しい渓谷の風景。何もせず、ただその景色を眺めているだけで、時間がゆっくりと溶けていく。
部屋のインテリアには箱根らしい寄木細工のアイテムが散りばめられていて、オセロなどの遊び道具もあり、今度は友達と来て対戦したい!(実はオセロ、けっこう得意なんです。笑)
個人的に嬉しかったのが作務衣。界ブランドで共通して使われていて、上下が分かれたズボンタイプ。動きやすく、館内の移動もとても快適でした。
下駄も厚底ではないので歩きやすく、ちょっとした散歩にもぴったり。館内を歩くたび、こうした細やかな配慮が感じられるのが嬉しいところ。
アメニティの風呂敷は、持ち帰りOK。界の施設ごとに色が異なり、箱根は新緑と紅葉をイメージした色合い。この風呂敷にお風呂グッズを包んで露天風呂へ向かうのが、なんとも趣深い。
緑に囲まれた露天風呂では、風が木々を揺らす音がBGM。泉質はナトリウム-塩化物泉で、少しとろっとした肌触り。ぬる過ぎず熱すぎず、まさに“ずっと浸かっていられる”絶妙な温度。紅葉の木々が湯面に映る様子は、まるで風景画のような美しさ。
お風呂上がりにはアイスキャンディーのサービスも。ひとり時間の中に、ちょっとした嬉しさが散りばめられている。
滞在中は、界ならではの“温泉いろは”というアクティビティにも参加。箱根の泉質や入浴法を学びながら、温泉の魅力を再発見できる。
参加すると“お湯印帳”をいただけて、お湯印を押してもらえるのも嬉しい。各地の界をめぐると、様々なお湯印がコレクションできるのも、魅力的。
夕食は「明治の牛鍋会席」。東海道を行き交う旅人の「挟み箱」から着想を得た木箱の中に、彩り豊かなお料理が並ぶ。ひとりでゆっくり味わう夕食の時間が、とても心地よい。
日が暮れると、さわ茶屋は昼とは違う表情を見せる。虫の音色と川のせせらぎが響く夜の空間で、お酒やハーブティーを味わう時間。 これが無料で楽しめるなんて、なんだか贅沢。穏やかな時間の流れの中で、心がすっと軽くなり、心地よい余韻に包まれながら眠りについた。
朝は「現代湯治体操」へ。昔、東海道を歩いた旅人が履いていたという“わらじ”を実際に履き、朝のストレッチを体験。
地面の感覚がダイレクトに伝わり、痛気持ちいい。いつもとは違う足裏の感覚に、少し戸惑ったり。笑
体の内側からリフレッシュできる、そんな新しい朝の時間。
ストレッチの後は、湯煙をイメージした「ご当地朝食」。湯気の立つ器と、出汁の香り。
ひとり旅の朝にふさわしい、優しくて温かい味わい。体を動かした後の食事は、何倍もおいしく感じる。
最後に体験したのは、箱根伝統の「寄木細工のずく引き体験」。カンナで紙のように薄く削り出すために行う、ずくを引く工程は一番難しいと聞いていたけれど、本当にその通り。木が想像以上に硬く、削るのに一苦労。結果は‥ボロボロ。笑
でも、男性の参加者は見事にきれいに仕上げていて、その差に感心。最後は撮影してくださった写真を、ずくを貼ったフォトフレームに入れて完成。思い出が形になるのは、なんとも嬉しい。
今回の旅で改めて感じたのは、ひとり旅の本当の魅力。誰かに合わせることも、気をつかうこともなく、ただ自分のためだけに時間を使うという贅沢さ。
界 箱根には、心を整えるためのヒントがたくさん散りばめられていました。気がつけば、自然と「また来たいな」と思っていたそんな滞在でした。
湯坂山から湧き出る箱根湯本温泉の旧街道沿いに佇む宿。東海道の宿場町として旅人をもてなしてきた箱根の風情を色濃く宿し、全室から須雲川を望み、鮮やかな箱根の四季を映します。