総支配人がこだわった、最初の一手
「界 霧島」が鹿児島県・霧島温泉の地に誕生したのは、2021年1月のことでした。コロナ禍という厳しい社会情勢の中、当時の総支配人の永田が向き合っていたのは、施設の象徴になるはずの「すすき野原」の成長が思わしくないという予期せぬ課題でした。
しかし、永田はこれを「逆手にとって魅力にしよう」と考えます。野原の中に、霧島高原を特等席で見晴らすための櫓(やぐら)を組むことにしたのです。この櫓で、風に吹かれながら美味しいお酒を楽しんでいただこう――。その想いから、スタッフたちと共に作り上げたのが、鹿児島の名産、焼酎のセットでした。
「今振り返ると、開業当初から焼酎のことばかり考えて、焼酎まみれの毎日でしたね」と永田は当時を振り返ります。
この時、地元の和菓子屋さんのラム酒香るアイス最中と焼酎を合わせた「だれやめセット」も誕生しました。「だれ」は疲れ、「やめ」は癒やす。一日の終わりに焼酎を酌み交わし、一日の疲れをリセットする。この温かい鹿児島の習慣を、体験として提供することを決めたのです。地元では当たり前だった「割って飲む」提案ではなく、あえてストレートで、濃厚なスイーツと共に楽しむ。この意外性のある組み合わせは、焼酎に馴染みのなかったお客様からも「焼酎って、こんなにおいしいの?」という驚きの声を引き出しました。これが、焼酎を通じた界 霧島ならではのおもてなしを形にしていく、最初の一手となりました。