「星野リゾートの常識」を脱ぎ捨てて。

金髪から始まった、1955年の夢の続き

わたしたち「1955 東京ベイ」には、揺るぎない一つの信念があります。それは、東京ディズニーリゾート®から帰ってきたゲストの胸にある高揚感を一秒たりとも途切れさせず、むしろその「夢の続き」を彩る場所であり続けることです。

施設の舞台設定は、世界初のディズニーランドが誕生した年である「1955年頃のアメリカ」。施設のコンセプトは、古き良きアメリカを意味する「OLDIES GOODIES」です。

ゲストがパークを出た後も、まるでテーマパーク内の新しいエリアに足を踏み入れたかのような、圧倒的な非日常の世界観に浸りながら滞在を楽しんでいただくこと。その滞在体験を完成させるために、わたしたちはこれまでの「接客業の常識」や「星野リゾートの当たり前」を一度脱ぎ捨て、自分たちの姿そのものを「世界観の演出」に変えるという挑戦を始めました。

「星野リゾートの常識」を揺るがした、衝撃の金髪実験

星野リゾートは、お客様に安心感と清潔感を与える身だしなみを大切にしています。

しかし、1955 東京ベイの開業にあたり、1955年のアメリカという世界観を本気で表現しようと考えたとき、わたしたちの議論は「当時のアメリカらしさを出すなら、スタッフが金髪であることも必要ではないか」という、これまでの常識では考えられない問いに行き着きました。

ただ、「ほかに金髪で接客をしている施設はないし、お客様が不快に感じられるかもしれない」と、どこまで表現することが良いか頭を悩ませていました。

「分からないなら、やってみよう!」

そこで開業前、一つの「実験」が行われました。白羽の矢が立ったのは、開業準備のメンバーの一人である坂井美穂さんです。

彼女はカトリック系の女子校出身で、厳格な両親のもとで育ち、明るすぎる髪色はNG。これまでブリーチをするほどの明るい髪色に染めたことは無かったといいます。そんな彼女が「仕事のために」と意を決し、人生初の金髪に染め上げたのです。

ゲストに夢の続きを見てもらうための世界観の表現。

社内では「何をしているんだ」と思わず絶句する人。「すごく良い!似合ってる!」と言ってくれる人。「今度開業する1955 東京ベイには金髪に染めている人がいるらしいよ」と噂が広まるほど、その姿は異彩を放っていました。

が、この「金髪実験」という試みがあったからこそ、わたしたちは「単なるお洒落」ではない「世界観としての身だしなみ」の境界線を、真剣に議論できるようになったのです。

「清楚」よりも「世界観」を優先した、徹底的な役作り

金髪実験を経て、わたしたちは独自の身だしなみ基準を構築していきました。それはゲストへのマナーという枠を超えた、舞台に上がる俳優のような「役作り」に近いものでした。

まず、ホテル業界で一般的なヘアスタイルとされる「お団子ヘア」を、1950年代のアメリカらしくないという理由で、あえてNGとすることに決めました。三つ編みや編み込みを交えたり、スカーフを使ってアレンジしていればOK。

さらに、当時の流行を象徴する赤リップを強く推奨し、それが似合うようなメイクや髪型を追求することにしたのです。

前髪についても厳格なルールを設けました。当時のスタイルを再現するため、前髪を上げて眉を出すことを基本とし、現代で主流となっている「シースルーバング(すかした前髪)」は、どれほど素敵であっても世界観を崩すものとして制限の対象としました 。

最初は「前髪を上げたくない」と戸惑うスタッフも多くいましたが、わたしたちは練習会を開き、当時のパーティーヘアやシニヨンのようなヘアスタイルを知っていく中で、次第に、スタッフが自主的にスカーフを使ったヘアアレンジを教え合ったり、ヴィンテージアイテムを取り扱うWEBサイトで自分たちに合うアクセサリーを探したりするような文化が育っていきました。

わたしたち自身がその姿を楽しむようになっていったのです。

総支配人の葛藤と、制服に宿したディテール

制服の開発においても、妥協なき戦いがありました。

デザイナーと共に考案したデザインは、女性スタッフからは「かわいい!」と好評でしたが、男性用については「普段着に見えてしまうのではないか」という懸念が最後まで残りました。

実は、総支配人は「私は完成した今の制服が、普通過ぎてまだ納得できていない」と言うほど、もっと世界観の表現ができるように、より尖った圧倒的なインパクトを求めて何度もフィードバックを繰り返していました。

しかし、開業までの限られたリードタイムという現実的な壁があり、理想をすべて形にすることは叶いませんでした。それでも、肩にチェック模様を加えたり、胸ポケットにハンカチーフを入れるようにしたりと、細かな修正を施すことで、今の形に辿り着いたのです。

ゲストが証明してくれた「本気」の価値

こうした常識外れのこだわりは、今、ゲストに最高の驚きとして受け止められています。

わたしたちは、午前中には「Howdy!(おはようございます)」、午後には「Good Day!(こんにちは / こんばんは)」と、テーマパークのキャストのように手を振り、時々ハイタッチを交わしながらゲストを迎えています。

「髪型やメイクが1950年代のアメリカの文化を体現できて素晴らしい」と当時の文化を愛する方からお褒めの言葉をいただいたり、SNSでも「スタッフの服が可愛い」と投稿がありますが、身だしなみに対する苦情は一度もありません 。

すべては、チェックインからチェックアウトまで、ゲストの胸にある余韻を一秒たりとも途切れさせないために。1955 東京ベイの姿には、星野リゾートの常識を脱ぎ捨ててまで「最高の非日常」を届けようとした、わたしたちスタッフの熱い魂が込められています。

1955 東京ベイ

OLDIES GOODIES

ディズニーランドが誕生した1955年頃のアメリカの世界観をモチーフにしたホテル。東京ディズニーリゾート®を目的に宿泊される方々にとって、便利で快適な滞在の実現を目指します。夢の続きをぜひお楽しみください。